不動産投資

なぜ公務員が不動産投資をしても副業にならないのか

公務員は原則副業が禁止されているため「本業以外で収入を得ることはしないほうがいい」と考えられがちです。しかし、不動産投資は副業に当たりません。しかも公務員は金融機関から「属性」が高いと評価されるため「他業種の人たちよりも融資を受けやすい」というメリットがあります。ただし、度を越している判断されると痛い目にあうこともあるため、その境界を確認しておきましょう。

なぜ公務員が不動産投資をしても副業にならないのか

不動産で収入を得ることが副業にならない理由

例えば、国家公務員が他県への転勤を余儀なくされた場合、その期間だけ住居用に購入したマンションや一戸建てを他人に有料で貸すケースがあります。公務員だからといって、住居の貸し出しを禁止されてしまうのは公平さを欠いてしまうでしょう。

また、両親が経営していた賃貸アパートを相続した場合はどうでしょうか。相続した不動産を所有することが副業になってしまい「仕事を放棄するか」「相続財産を放棄するか」など職業を理由に選択を迫られては問題です。

これらのケースを鑑みると、不動産で収入を得ることは一定の規模以内であれば副業に当たらないと解釈することができるでしょう。

越えてはならない一線がある

憲法15条2項で「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定されています。国や地域、国民や地域住民のために働くことが公務員の職責で「自分や家族などのためだけに時間や労力を使ってお金を稼ぐことはできない」と解釈することができるでしょう。

しかし賃料収入を得るためには様々な手続きや作業を行い、時間と労力を割くことが必要になります。そのため「国全体の奉仕者という立場と矛盾している」という見方もあるのです。これらに折り合いをつけるための規定が、国家公務員法と人事院規則にあります。まず、国家公務員法104条には以下のような内容が定められています。

国家公務員法104条
「職員が報酬を得て、(略)いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する」
出典:電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)

つまり、上司の許可を得ることができれば公務員が報酬を得る活動は例外的に可能になるということです。また、人事院規則14-8には許可を得なければならない基準が書かれています。不動産に関する部分をまとめると、以下の通りです。

  • 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること
  • 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一(大規模に経営され客観的に営利を主目的とすると判断される場合)の部分の数が10室以上であること
  • 不動産または駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額が年額500万円以上である場合

これらの条件に該当する場合は上司から許可を得る必要がありますが、組織への貢献度によっては好ましく思われないかもしれません。人事院規則から判断すると、経営している物件が「5棟10室未満で年間の家賃収入が500万円未満」といった規模の場合は許可を取る必要はありません。

この先も公務員として仕事を長く続けるつもりの人は、この“一線”に注意しておくのが賢明です。また注意点として、賃貸業務に関する管理業務は管理会社に委託するようにしましょう。管理委託費を節約して管理業務を自分で行ってしまうと、実際の作業が発生するため「副業」と見なされる可能性が高まります。

越えてはならない一線がある

属性が強くて融資に困らない

公務員は民間企業の会社員と違い勤務先が倒産する可能性が極めて低く、よほどのことがない限り免職されることもありません。言い換えると分厚い身分保障があります。そのため、不動産投資資金を融資する金融機関側から見ると、公務員は安定性と信頼性が高く「属性が高い」業種に分類されるのです。公務員は、融資を引き出す際に「金利」「借入額」「借入期間」で優遇されるケースもあります。

しかし自営業者や民間の会社員の金融機関から見た「属性」は、公務員ほど評価が高くありません。不動産投資を行うには、「金融機関でローンを組めるかどうか」がスタートラインです。公務員は、他の職業・職種の人たちよりも有利な位置に立っているといえるでしょう。

一般的に公務員の毎月の給料は、安定しているものの大企業のサラリーマンに比べるとそれほど多くないとされています。将来に備えて本業以外の柱を作っておきたいとお考えの人は、公務員ならではの強みを生かして、不動産投資をはじめてみてはいかがでしょうか。

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