不動産投資

不動産投資のローンは固定金利と変動金利のどちらが良いか?

不動産投資は、たいていの場合、ローンを組んで行います。ローンの金利には固定金利と変動金利があり、どちらにしようかと迷う人も少なくありません。どちらが有利かは今後の景気動向や経済、金融政策などによって変わるので、一概に「こちらが有利」とは言い切れません。その時々でどちらが有利かを判断できるように、今回は固定金利と変動金利のメリット・デメリットについて考えてみましょう。

不動産投資のローンは固定金利と変動金利のどちらが良いか?

固定金利のメリット・デメリット

ご存じのとおり、金利は絶えず変動しています。金利には「固定金利」と「変動金利」のふたつがあり、「固定金利」の場合は全期間固定金利の他に、3年、5年、10年といった固定金利期間を選ぶことも可能です。「固定金利」でローンを組むと指定した全期間、金利は変わりませんが「変動金利」でローンを組むと長期プライムレートや債券市場の価格変動の影響から、金利の見直しが行われることがあります。

まず、固定金利のメリットはローンの返済額と金利分の支払い額が事前に確定するので、資金計画が立てやすくなることです。また、将来インフレが起きて金利が急上昇したとしても、契約時の低い金利が維持されます。

一方、固定金利の最大のデメリットは金利の高さです。変動金利の1.5倍ほどになるものが多く、金利が固定されているので将来金利が下がったとしてもその恩恵を受けることができません。なお、返済期間が長くなるほど、金利は高くなります。

変動金利のメリット・デメリット

変動金利の場合、ローン期間中、金融機関は4月と10月に金利の見直しを行います。その時々の金利政策で金利水準が変化するため、金融機関はローンの金利を変更することができるのです。ただし、借主保護の観点から、返済額は5年に1度のペースで見直されることになっており、その期間中に金利が変更されても、返済額は変わりません。また、「125%ルール」というものがあり、金利見直し後の返済額が見直し前の返済額の1.25倍を超えないようになっています。

変動金利の最大のメリットは、契約時の金利が固定金利よりも低いことでしょう。日銀のマイナス金利政策が実施されている現在、変動金利の金利水準は過去に例がないほどの低金利が続いています。そのため支払利息の総額は固定金利の場合よりも安くなることが期待されます。

デメリットは、長期金利が上昇すると固定金利でローンを組んだ場合よりも支払利息が多くなる可能性があることです。その結果、毎月のローン返済額が増え、利息分を支払いきれないといった事態にもつながる可能性もあります。

変動金利のメリット・デメリット

売却予定も踏まえて判断を

それでは、固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきなのでしょうか。

変動金利は長期金利の変動に左右されます。不動産投資では、ローンの返済期間が長くなるケースが多いようです。20年後、30年後の変動金利まで予想できる人はいないので、一概に「こちらがいい」と言うことはできません。

不動産を長期保有せず、そう遠くない将来に売却や買い替えを考えているなら、金利水準の低い変動金利を選ぶほうが賢明かもしれません。短期的には有利になる可能性が高いからです。

日本では安倍政権下で実施された日銀のマイナス金利政策などの影響で、空前の低金利が長い間続いています。また、今年に入って世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、国内の経済活動が停滞し景気が減速してしまうことを恐れて、日銀はさらなる金融緩和を実施しています。

この問題は長期化する可能性が高いと推測する専門家は多く、金融緩和策は長期にわたって継続される可能性が高いと言えます。これらを踏まえると金利の安い「変動金利」を選択するほうが、毎月の家賃収入からの手残りを増やせるため、当面は有利と言えそうです。

利回り評価において金利は重要

不動産投資ローンで固定金利、変動金利のどちらを選んだとしても、借主によって金利水準は変わります。金融機関は投資家の年収や勤め先などの属性、投資物件を見て融資総額と金利水準を決めるからです。同じ物件でも投資する人によって融資総額と金利水準は変わり、同じ人でも物件によって融資総額と金利水準は変わるということです。

ローンを組む際は、このように金利水準が変わることを正しく理解し、事前に対策を考えておくことがとても重要になります。

例えば、利回り5%の物件を購入する際に金利3%で融資を受けるケースと、利回り4%の物件を購入するのに金利1.5%で融資を受けるケースでは、収益性はどちらが高くなるでしょうか。融資を受けるタイミングによって、このように融資金利が1.5%程度変わってくるケースは十分に考えられます。一見すると利回り4%の物件のほうが収益性は低く感じてしまいがちですが、この場合は融資金利が1.5%に落ちたタイミングで購入できる利回り4%の物件のほうが利回り5%の物件よりも収益性が高くなるのです。

金利水準を考えず、都心の物件は利回りが低く、うま味がないという不動産投資家もいます。不動産投資の成功が利回りだけで決まるのであれば、それは正解でしょう。しかし、一般的にアパートよりもマンション、地方よりも東京のほうが金利水準は低く設定される傾向があります。融資金利も考慮した上で投資判断をし、低い空室率や管理のしやすさまで考えると、東京の都心のマンションは十分に競争力があると言えるのではないでしょうか。

「都心のマンションは価格が高くなっていて、とても手が出ない」という人も多いでしょう。しかし、比較的価格の安い中古マンションを購入し、リノベーションで間取りやデザイン、設備を一新して賃貸に出すことも視野に入れれば、都内にも購入しやすい価格の魅力的な物件はあるはずです。価格が安定している中古物件は、購入前に管理体制をジャッジできるといったメリットもあります。

不動産投資における収益性は利回りと金利水準で決まります。中古物件の競争力について、ぜひ一度考えてみることをおすすめします。都内の中古マンション販売やリノベーションの経験が豊富な不動産会社を見つけて、相談してみるといいでしょう。金融機関との交渉でも、心強いパートナーになってくれるはずです。

「固定金利」と「変動金利」のどちらを選ぶのか、長期的な視点で状況を分析した上で決めるべきです。そのためにも、信頼できるパートナーの存在は不可欠と言えるでしょう。

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