不動産投資

オリンピック1年延期&コロナでマンション価格はどうなる?

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年の夏に開催予定だった東京オリンピックは2021年7月に延期となりました。さらに日本政府は2020年4月7日に全国へ向けて「緊急事態宣言」を発令。国民に外出自粛や移動制限、飲食店などには営業自粛を要請したことにより、国民の生活は大きく制限され日本経済も大きなダメージを受けています。

このような状況下の中、不動産投資家にとって最大の関心事は「都心のマンション価格がこの先どうなるのか」ということではないでしょうか。本記事ではコロナウイルス感染拡大に伴うオリンピック延期の影響で、マンション価格が今後どのように変化していくのかについて考察します。

オリンピック1年延期&コロナでマンション価格はどうなる?

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて減速

2020年の東京オリンピック開催に向けて、首都圏ではインフラ整備やインバウンド需要を受けてのホテルや民泊施設の建設、オフィスビルやマンションの建設などが一気に進められていました。

これに伴って東京の不動産価格は伸び続け、不動産経済研究所の「全国マンション市場動向」によると2019年度の首都圏における新築マンションの平均価格は、前年比1.9%アップの5,980万円でバブル期の1990年(6,123万円)に次ぐ高水準を記録しています。

中古マンション市場においても、東京カンテイの「中古マンション価格(年間版)」によると2019年度の価格は3,709万円(2%)と2013年以降順調に増加していました。

ところが東日本不動産流通機構の「月例速報Market Watch」によると、2020年1~2月の首都圏の成約件数は前年同月比で増加していたのにもかかわらず、同年3月は-11.5%、4月は-52.6%と大幅に減っており、2020年4月の減少率は1990年5月に同機構が発足して以来最大となっています。

また2020年4月の平均成約価格は3,201万円(前年同月比-5.8%)、1平方メートルあたりの単価は50万8,800円(同-4.5%)と、成約件数においても価格においても減速してしまっていることが分かります。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて減速

今後の不動産市場環境

東京オリンピックの開催は、日本の景気回復のシンボルとしても一役買っていました。もし東京オリンピックの中止が決まっていたら、2008年のリーマンショックを超える閉塞感が国内に広がっていた可能性も十分にあったといえるのではないでしょうか。

ただし中止にはならなかったものの、現状では価格上昇のきっかけになりそうな要因は見当たらないため、当面は厳しい不動産市場環境が続くことが予想されます。また、世界各国で移動が制限される状況が続けば訪日外国人の数は減少し、ホテルや民泊などにおいても厳しい経営環境が続くことになるでしょう。これにより不動産の流動性が高まる可能性が出てきます。

コロナ危機を乗り越えることができず資金を捻出するために不動産を手放したり、客足が途絶えてホテルや民泊物件、飲食店を手放したりする人もいるはずです。優良な物件ですら市場に出回る可能性は否定できません。

ピンチをチャンスに

東京オリンピックは2021年7月に延期となりましたが、本当に開催できるかどうかは2020年6月時点の状況では分かりません。世界中で新型コロナウイルスのワクチン開発が急ピッチで行われていますが、これ以上の感染拡大を防ぎ誰もが安心して暮らせるようになるかどうかは、未知数といえるでしょう。

インフルエンザのように季節性があれば、これから冬を迎える南半球は新型コロナウイルスの感染が拡大する恐れもあり、「東京オリンピックの開催が中止になるのではないか」という声も上がっています。

ただし仮に中止にはならず1年後に開催できれば、日本経済や不動産市況において明るい材料になることは間違いありません。インバウンドビジネスを原動力に大きな需要が発生することも期待できます。個人の不動産投資家にとって大切なことは、こうしたピンチをチャンスに変えられるかどうかです。

このような状況下でも確実に利益を上げている人はいます。同時に不動産投資家は、「こうした状況下でも利益が上げられるかどうか」といった個人の能力が試されているといってもいいでしょう。はたしてあなたは、「勝ち組」「負け組」のどちらでしょうか。それを証明できるのはあなた自身です。

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