不動産投資

不動産を買って投資をしたら相続のときにどんな役に立つのか

「節税対策」が目的で不動産投資を始める人は少なくないでしょう。不動産投資で「節税」と聞くと、まず減価償却費などで発生する経費を利用して所得税を減らすことを真っ先に考える人が多いのではないでしょうか。しかし不動産の節税メリットは所得税だけではなく相続税においても効果があります。そこで本記事では「不動産投資がなぜ相続のときに役立つのか」について解説します。

不動産を買って投資をしたら相続のときにどんな役に立つのか

そもそもなぜ不動産投資が「節税」になるのか

不動産投資が節税になる理由は、家賃収入から経費を差し引いた所得がマイナスになった場合、給与所得など他の所得と合算する「損益通算」を利用し所得を圧縮できるからです。例えばサラリーマンなら不動産所得のマイナス分を給与所得から差し引くことができます。損益通算することで所得が減るため、すでに源泉徴収されていた所得税が確定申告によって還付されることが可能になります。

不動産投資の経費には、建物の「減価償却費」など実際に現金の支出が伴わない帳簿上だけのものがあるためキャッシュフローの観点で考えると大きな効果があるといえます。なお減価償却費が計上できる期間には限りがあり、計算方法にも規定がありますので事前にしっかりと確認をしておく必要があります。

相続税における3つの重要ポイント

「不動産投資がどのように相続税対策になるか」についても知っておくことは重要です。先代の遺産を複数人で相続する場合、上手に相続税を節税するには以下の3つを押さえておきましょう。

  • 相続税評価額を圧縮
  • 上手な遺産分割
  • 納税のための現金

相続税評価額の圧縮

資産は現金で持つよりも不動産で持ったほうが格段に評価額は低くなります。現金の場合は、額面の金額が評価額です。一方、不動産の場合は時価で評価します。時価の算出には、1年に1度国税庁が発表する「路線価」が使われ適正価格(公示価格)の8割程度に設定されるのが一般的です。これは実勢価格が急落した場合、課税が不適正になってしまう事態に備えてのことだと考えられています。

そのため現金を不動産という資産にしておけば評価額は2割も減らせるというわけです。ただ2019年の東京地裁で「特別の事情がある場合には路線価以外の合理的な方法で評価することが許される」として相続したマンションの評価額を購入価格の約4分の1の路線価で申告した男性に対する追徴課税を認める判決が出ました。

これは「路線価の価格があまりにかけ離れていたら別の評価を使うように」という意味です。そのため最終的に判決が確定すれば節税額が大きい路線価は、そのまま使えない可能性も出てくるため、今後の判決の進捗に注目する必要がありそうです。

相続税評価額の圧縮

上手な遺産分割

例えば節税目的で大きなビルを建てた場合、単独名義にしてしまうと相続人一人あたりの財産に偏りが出ることがあります。そのため「共有名義にする」という場合も出てきますが、共有名義ではさまざまな手続きでデメリットになりかねません。なぜなら建て替えをしたり売却をしたりリフォームをしたりする際に名義人全員の同意が必要になってしまうからです。

そのため収益物件を複数のワンルームマンションとすれば被相続人が1戸ずつ分け合うことができ、不公平感は低くなるでしょう。また分割しにくい不動産の場合は、一人が不動産を相続し残りの共同相続人には、生命保険などを利用して用意した資金を代償金として渡す「代償分割」も方法の一つといえるでしょう。

納税のための現金

相続税は被相続人が亡くなったことを知ってから10ヵ月以内に原則現金で一括納付を求められます。そのため手持ちの現金が足りなければ不動産などの資産を売却して現金を用意することが必要です。しかし不動産は他の金融商品などと比べて流動性が低いため、現金化するのに1ヵ月~半年以上かかることもあります。

不動産の早期現金化のためには、買い手が付きやすい物件を選んでおくことが重要です。例えば都心部で立地が良く価格が比較的抑えられるワンルームマンションなどが有利といえるでしょう。不動産を相続対策に役立てるためには、このように出口戦略で有利になる優良物件をあらかじめ選んでおくことも大切です。

このように不動産投資による「節税効果」は、所得税に限らず相続税対策にも十分に効果があるといえるでしょう。不動産投資においては毎月しっかりと家賃収入を確保し、さらに節税も意識しながら長期的に安定した運用を目指してしていくのが賢明だといえるでしょう。

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