不動産投資

投資用不動産の建築構造の種類とそれぞれの見るべきポイント

アパートやマンションは、建設時の構造(躯体の建材)によって木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造(以下RC造)・鉄筋鉄骨コンクリート造(以下SRC造)などに分けられます。それぞれの構造ごとに物理的な耐用年数も税法上の耐用年数も変わるのが一般的です。

また構造ごとに住み心地や建築費用、取得費用も変わってきますので、不動産投資家としては必ずおさえておきたいポイントとなるでしょう。ここでは投資家が知っておきたい建築構造の違いについて解説します。

投資用不動産の建築構造の種類とそれぞれの見るべきポイント

建物構造で何が変わるのか?

具体的な構造ごとの違いや特徴の説明に入る前に、まず構造の違いによって何が変わってくるのかを見ておきましょう。

1建築・メンテナンス費用と賃料
構造によって必要な建材と工期が変わり、それに伴い建築費用も異なります。当然費用が高くなれば家賃も相応に高く設定することになります。

2住み心地
隣の部屋や上下の部屋との間の遮音性、空調の効きやすさは、構造によってかなり変わってきます。つまり部屋としての住み心地にも影響が出てくるでしょう。

3安全性
耐震性や耐火性も構造で変わります。RC造やSRC造のマンションで多く採用されているオートロックは、木造や鉄骨造ではほとんど採用されていない傾向です。つまり防犯面でも違いがあるといえるでしょう。

4耐用年数
耐用年数には物理的なものと税制上のものの2つがあり、物理的な耐用年数は当然建材の種類によって大きく変わります。また、税制上の耐用年数は減価償却費を算出する際に使用されます。建物の購入費用を構造ごとに法律で定められた耐用年数の期間で分割し、減価償却費として経費計上することができます。例えば、定められた耐用年数は木造22年、鉄骨造34年、RC造・SRC造47年と異なります。

構造ごとの特徴

  • 木造
    木造は日本の風土にあった伝統的な建築様式といえるでしょう。一戸建ての建物では、現代でも木造が一般的です。環境負荷の少なさから、近年では欧州からも注目されているようです。建築にかかる費用は比較的抑えられるので、その分、賃料も低い傾向となります。湿気の多い時期に木は空気中の水分を吸収し、乾燥している時期には水分を放出する性質のため、高温多湿の地域では暮らし心地が良くなるといわれています。

    一方で冷暖房の効きが悪く遮音性もコンクリートなどと比較すると劣っているため、集合住宅ではあまり好まれない傾向のようです。また耐震性や耐火性も他の構造に比べて低く、物理的な耐用年数も短くなりがちといえるでしょう。

  • 鉄骨造
    鉄骨造とは、柱や梁(はり)など骨組みとなる部分を鉄骨、それ以外は木材を使った建物です。建築費用やその他のポイントなどは、次に説明するRC造と上述した木造のちょうど中間と考えるとよいでしょう。なお外断熱工法という断熱性の高い工法で外壁が作られることが多いので断熱性が高いことが特徴です。
  • C造(鉄筋コンクリート造)
    柱や梁、床や壁が鉄筋コンクリートといって鉄筋で組まれた枠にコンクリートが流し込まれた頑丈な建材を使用する建物です。建築費用は木造や鉄骨造と比較するとかなり高くなるため、家賃設定も高めとなります。「遮音性や断熱性」「地震や火災」などへの安全性はかなり高くなるでしょう。デメリットとしては、初期費用だけでなく将来の解体コストなどが木造や鉄骨造に比較して高くなることです。
  • SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)
    鉄筋鉄骨コンクリート造とは、中心に鉄骨を用いて、さらにその周りを鉄筋で組み、そこにコンクリートを流し込んだ建材で組まれた建物です。鉄筋コンクリート造よりも建築費用は高くなりますが、安全性は最も高く大型の建築物で使われます。
  • 構造ごとの特徴

    構造によって運用やメンテナンスが変わるので注意

    上述したような建築構造の違いが入居者にどのようなことをもたらすのでしょうか。一般的には木造や鉄骨造はRC造やSRCと比べると家賃は低くなる傾向であり、また住み心地や安全性も低くなるといえるでしょう。逆にRC造やSRC造は、住み心地や安全性は高く、家賃設定も高くなることが特徴です。

    メンテナンス方法も大きく異なり木造や鉄骨造の場合は15~20年に1度、屋根や外壁への塗装工事が必要といわれています。鉄骨造の場合は、鉄骨部分に塗装のハゲやさびが生じる場合があり、その度に修繕が必要になるでしょう。

    一方のRC造やSRC造の場合、外壁などの修繕は必要になりますが、木造や鉄骨造と比較してメンテナンスのスパンは長くなる傾向です。ただ代わりにエレベーターや共有スペースなどの定期点検やメンテナンスが必要となってくることもあります。

    建物の構造の種類は賃料の設定やメンテナンス費用にも大きく関わってきます。これから不動産投資を区分所有で検討している人は、物件の家賃収入はもちろんメンテナンス費用などの経費についても十分にシミュレーションした上で投資物件を選ぶようにしましょう。またマンションの管理組合がきちんと機能しているかも物件購入前に確認しておくと安心です。

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