不動産投資

単身高齢者向け不動産投資について考えてみよう

これまで単身高齢者は生活や健康面の不安や孤独死の懸念などの理由から、入居者としてあまり好まれる存在ではありませんでした。しかし、日本の少子高齢化とライフスタイルの多様化に伴い、東京などの首都圏の不動産市場では単身高齢者が有望な顧客層となりつつあります。

ここでは新たなビジネスチャンスとして注目されている単身高齢者向け不動産投資について考えてみましょう。

単身高齢者向け不動産投資について考えてみよう

少子高齢化で伸びる単身高齢者向けマーケット

国立社会保障・人口問題研究所が発表した推計資料によると日本の人口は2019年の1億2,577万人から、2045年には2,000万人以上減少し1億642万人になるとされています。日本の少子化は深刻な状況でこのままでは1億人を切ってしまうのも時間の問題です。そして少子化が進む一方で高齢者の人口は現状から急速に増加傾向と予測されています。

2019年9月時点で約162万人いる都内の後期高齢者(75歳以上の人)は、2045年に227万人まで増えるとされています。これまで賃貸不動産のオーナーたちが敬遠していた高齢者が重要な顧客になりつつあるのです。むしろ高齢者は引越しの心配もなく、年金という安定した収入源もあり、騒いでトラブルを起こすことも少ないので高齢者特有のリスクさえクリアできれば優良入居者とみなされるまでに変化してきています。

単身高齢者に好まれる物件のポイント

ではどのような物件が高齢者に適しているのでしょうか。周辺環境、ハード(建物・設備)、ソフト(サービス)に分けて考えてみます。

●周辺環境
病院やスーパーマーケットなどの買い物施設に近く、最寄り駅にも近い物件が好まれるでしょう。また、仕事を引退した高齢者はどうしても時間を持て余し、時には孤独に陥りやすいのでシニアクラブや地域のコミュニティーが充実したエリアが適しているでしょう。

●ハード(建物・設備)
エレベーターやスロープはもちろん、バリアフリーなどの配慮が重要です。また若い人たちには敬遠されがちな1階の物件が逆に好まれることも多いようです。

●ソフト(サービス)
もしもの場合に備えて、管理会社と連携して定期的な連絡・見守りサービスを取り入れましょう。見守りに関しては、近年はAIが電気メーターを測定・分析し自動でアラートを送ってくれるサービスも登場していますので最新のサービスを調べて導入を検討するのも良いでしょう。

単身高齢者に好まれる物件のポイント

高齢者向けの審査のポイント

最後に高齢者向けに物件を貸し出す場合のリスクとリスクを低減するための入居審査について見ていきましょう。

オーナーの立場で最も懸念するリスクは、身体・健康面での不安ではないでしょうか。特に単身高齢者の場合、部屋の中で体調を崩して自力で移動できなくなったり、連絡が取れなくなったりすることもあるでしょう。そのため入居審査では可能なら面談なども行い、本人の健康状態や家族関係はもちろん、緊急時の連絡体制やかかりつけ医の有無などを確認しておくと良いでしょう。

また高齢者はすでに引退しており定職に就いていないケースが多いでしょう。そのため本人に家賃を支払っていけるだけの十分な資産や年金収入がある場合は問題ありませんが、そうでない場合は家賃保証サービスもうまく活用してみましょう。

例えば一般財団法人高齢者住宅財団が提供している高齢者向けの家賃債務保証サービスに加入してもらったり、収入や資産が安定している家族に保証人になってもらったりするのも対策の一つです。

高齢者は年金などの安定した収入源があるため家賃滞納のリスクは少ないと考える見方もありますが、その一方で健康面や安全面でのリスクに対する不安は拭いきれないでしょう。これらのリスクに十分に備えた上で顧客ターゲットとして検討してみることも、これからは一つの選択肢と言えるのではないでしょうか。

不動産投資家としては単身高齢者に対する従来の考え方やイメージを改める時期が到来しているのかもしれません。

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