不動産投資(管理)

2020年4月、民法改正で賃貸借契約の連帯保証人に関するルールが変わる

2017年の民法改正により賃貸借契約の連帯保証人に関する法律が変わり施行は2020年4月1日からです。今回の改正で従来よりも借主(入居者)に有利になるといわれています。そこで今回は家賃を回収するうえで重要なポイントについて解説します。

2020年4月、民法改正で賃貸借契約の連帯保証人に関するルールが変わる

120年ぶりの民法改正で連帯保証人制度の規定が厳格化

わが国の民法は1896年に制定されました。その民法が2017年に119年ぶりに改正されることになりました。契約にまつわる全般を見直すもので不動産賃貸借の実務に大きく影響します。特に連帯保証人に関する項目は、以前よりも貸主に対して厳しい内容です。これまで賃貸アパートの入居者(借主)と賃貸借契約をするときは、家賃滞納や支払不能時に備えて連帯保証人を立てるのが原則でした。

民法改正後も連帯保証人の制度自体は残りますが、かつてのように連帯保証人に対して全責任を求めることができなくなります。

120年ぶりの民法改正で連帯保証人制度の規定が厳格化

連帯保証人に関する3つのポイント

●責任限度額(極度額)の義務化
これまでの連帯保証人制度は、根保証契約といって連帯保証人は借主がつくった債務をすべて支払う必要がありました。そのため火事を起こしてアパートが全焼してしまうような大きな損害を出してしまったとき請求額が巨額になることもあったのです。今回の改正では、個人が保証人となる根保証契約を結ぶ際は極度額(上限額)を定めて契約書面に記載することが義務化されました。もし定めていなければ保証契約は無効です。

●借主死亡後の債務は保証対象外
借主が死亡した後に発生する債務については、保証の対象外になります。すなわち借主が死亡した時点で連帯保証人の債務の保証責任額が確定するのです。例えば借主が死亡した後、借主と同居していた配偶者が契約を引き継いで、そのまま住み続けた場合、その引き継がれた契約に関しては連帯保証人の責任はなくなります。同様に連帯保証人が破産したときもその後に発生する主債務は補償の対象外です。

●事業と無関係の場合は公証人による保証意思の確認が必要
法人や個人事業主が事業のために融資を受ける場合に事業とは無関係の人を保証人とする場合、公証人による保証意思の確認が必要になりました。この意思確認の手続きを経ずに保証契約を締結しても契約は無効です。この意思確認の手続きは以下のようなポイントがあります。

  • 主債務者が法人の場合
    その法人の理事、取締役、執行役、議決権の過半数を有する株主などは不要
  • 主債務者が個人の場合
    主債務者と共同して事業を行っている人や主債務者の事業に現に従事している主債務者の配偶者は不要

また法人や個人事業主は保証人に財務状況について情報提供をしなければなりません。

2020年4月以前の契約はそのまま

改正の大きなポイントは以上ですが2020年3月31日までの賃貸借契約書は、従来通りで大丈夫です。2020年4月1日以降に無効になることはありません。しかし2020年4月1日からの契約では、以下のような対応が求められるためしっかりと押さえておきましょう。

●公証人による意思確認
公証人による意思確認は、保証契約をする前に公証役場に出向いて手続き(保証意思宣明公正証書の作成の嘱託)を行うことになります。保証意思宣明公正証書は契約締結まで1ヵ月以内に作成されている必要があり本人以外は手続きができないため、注意しましょう。

●極度額の設定について
これまで賃貸借契約書には「丙(連帯保証人)は本契約に基づく乙(借家人)の甲(賃貸人)に対する一切の債務について、乙と連帯して債務を履行する責を負う」という条文を入れていました。しかし2020年4月1日以降は必ず限度額を賃貸借契約書に記入し合意しておく必要があります。

例えば「丙(連帯保証人)は本契約に基づく乙(借家人)の甲(賃貸人)に対する一切の債務について、金100万円(あるいは賃貸借契約締結時の賃料の○カ月分相当額)を極度額として乙と連帯して債務を履行する責を負う」というような条項に差し替えるようにしましょう。

この取り決めによって入居者の家賃滞納が続いた場合、連帯保証人は限度額の範囲までは家賃を建て替える義務を負いますが、限度額を上回る滞納が続いてもその責任は負わなくて良いことになります。

不動産投資家にとって家賃回収は損益を左右する非常に重要なポイントですので、改正内容をしっかりと把握した上で注意深く対応する必要がありそうです。

キーワード: 不動産投資(管理)
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