不動産投資

不動産投資では、どのような人を入居者のターゲットにすべき?

不動産物件を購入し不動産経営をする際には、「こんな人が住むだろう」「こんな人に住んでほしい」というような入居者ターゲットが必ず設定されます。このターゲット設定が正しくなければ、不動産投資の成功率が低くなってしまいます。

たとえば、学生街や若い人が多く住んでいるエリアでファミリータイプのマンションを購入しても入居者はつきにくいですし、逆も然りです。どんな商品やサービスにもマーケティングと商品開発があるように、不動産投資でもしっかりとターゲットを設定し、そのターゲットに選ばれる物件づくりが求められます。

そこで今回は、入居者ターゲットの設定方法やその考え方について解説します。

1.入居者ターゲットを明確にすべき理由

そもそもなぜ、入居者ターゲットを明確にすべきなのでしょうか。
入居者ターゲットを「広く、浅く」設定した物件の方が、どんなタイプの人にも気に入られ、入居者が付きやすいように思われます。しかし実際は逆で、ターゲットを絞ったほうが決まりやすくなる事実があります。

例えば、「大学に通う一人暮らしの女性」と「会社勤め30代の男性・既婚・子どもあり」とでは、必要な広さや間取り、好まれる設備やデザインがまるで異なります。ターゲットが絞りきれていない物件は、結局その物件が誰のためのものなのかが分かりにくい、ありきたりな物件になってしまいます。

一方、ターゲット設定が明確で、それが反映されている物件は、対象が一部の人であったとしても「これは、私に向いている部屋だ」と思ってもらいやすいのです。対象になる人は少なくなりますが、このように特定の人たちに支持されることで、選ばれるマンションとなります。

実際に募集してみると、想定していたターゲットとは違った入居者が入る場合もありますが、「住みたい」と思わせる何らかの特徴付けや差別化は必要です。

それともうひとつ、マーケティングの必要性も見逃せません。どんなターゲットの人が最も多いのかを知ることにより、そのターゲットに選ばれる物件づくりをすれば入居者を最も集めやすい物件になります。

日本では全国的に人口の減少が始まっていますが、それと同時に進んでいるのが単身者世帯の増加です。それは東京など大都市圏で顕著になっており、非婚化、晩婚化の進行によって単身者世帯は今後も増えることが予想されます。

こちらは、東京都が発表している1世帯あたり人員の推移です。

出典:東京都 調査結果概要

平成12年には東京都全体で2.22だった1世帯あたりの人員数が、令和2年には2人を割り込んで1.95に減少しています。区部(つまり東京23区)ではさらに顕著で1.87です。今後もこうした傾向は続くと考えられるので、単身者をターゲットに設定するのはひとつの戦略となります。

2.入居者ターゲット例と特徴

不動産投資のターゲットにはどんな種類があるのでしょうか。主なターゲット例と、その特徴について解説します。

2-1.ファミリー向け

ファミリー向けのマンションは、3LDKから4LDK程度の間取りが一般的です。家族4人を想定すると、4LDKの間取りが最適といえます。マンションとは関係ありませんが、戸建て住宅は全体的にファミリー向けに設計されています。

家族の人数が多いことから家事の量も多くなるため、家事に利用する設備やスペースも必要になります。また、キッチンや浴室も単身者向けの物件によくあるようなユニットバスではなく本格的な設備が必要になるでしょう。

さらに子育てをすることが前提になるため、子供のおもちゃや三輪車、自転車などを置く収納スペースも充実していることが望ましいです。

立地条件としてはアクセス重視というより環境重視の物件が支持されます。近隣に公園や学校などが揃っていて治安が良好であることも、ファミリー向け物件では重視されます。

2-2.単身者向け

先ほど今後のターゲットとして有望だと述べた単身者向け物件は、大半がワンルームマンションです。広さについては地域特性や住む人の価値観によって分かれるところがありますが、おおむね20平方メートル前後、もしくはそれよりも小さめの物件が大半を占めます。

若い人が住む可能性が高く、家は寝に帰るだけという人も少なくありません。そこで重視されるのが、利便性です。最寄駅までの距離と、その最寄駅から都心までのアクセスはワンルームマンションにおいてとても重視されるポイントです。

その一方で部屋の広さや設備については画一的な物件が多く、あまり差別化されてないのもワンルームマンションの特徴です。しかし、これからの不動産投資では差別化が大切なポイントになります。その差別化についての詳細は、後述します。

2-3.女性の一人暮らし向け

女性の一人暮らし向けの物件も、やはり単身者向けなのでワンルームマンションが軸になります。女性の一人暮らしで重視されるポイントは、何といってもセキュリティです。

1階エントランスのオートロックやインターホンが設置されていることはもちろん、最寄駅からマンションまでのルートに危険を感じないかどうかも重視されます。最寄駅から近いか遠いかだけでなく、明るくて人通りが多い大通りに面していたり、大通りから入ったすぐのところにあるマンションであれば、女性が安心して歩くことができます。

ワンルームマンションが軸になるので若干矛盾するのですが、近隣にファミリー向けのマンションが多いエリアも好まれます。なぜなら、子供が多いエリアは治安がよく女性が一人暮らしをするのにも安心感が大きいからです。

公園が近くにあることはプラス要因になると思われがちですが、夜の公園は不良少年のたまり場になったり、ホームレスが住み着くなど治安面でネガティブな影響を及ぼすことがあります。そのため、女性の一人暮らしをターゲットにする場合は公園が近くにあることがプラスになるとは限らない場合があります。

2-4.ペット飼育希望者向け

最近、「ペット可」のマンション物件がとても多くなりました。以前は賃貸住宅でペットを飼うことはタブーとなっていましたが、犬や猫などのペットと一緒に暮らしたい人のニーズが多くなっていることを受けて、ペット飼育可能にすることで差別化を図る物件が供給されています。

「ペット可」というのは室内でペットを飼育してもよいという意味ですが、近年ではそれよりも一歩進んで「ペット共生型」と呼ばれるマンションもあります。最初からペットと暮らす人が入居することを前提としており、共用部分にはペット用の足洗い場やグルーミングスペースがあるなど、ペットと生活をするのに役立つ設備が整っています。

一般社団法人ペットフード協会が、ペットの飼育意向について調査を行っています。2021年の調査結果によると、18.4%の人が犬を、15%の人が猫を新たに飼いたいとの意向 をもっています。ペット飼育希望者向けのマンションはすでにペットと暮らしている人、そしてここで挙げた新たに犬や猫と暮らしたいと考えている人たちがターゲットです。

逆にペットがいる環境を好まない人たちを敢えてターゲットから外すことでもあるので、ペット飼育希望者向けのマンションに投資をする場合は、ペットと暮らしたい人に支持される物件づくりに特化する必要があります。

2-5.高齢者向け

日本は着実に高齢化社会に突き進んでいます。不動産投資においても、高齢者をターゲットとして考えなければなりません。ここでターゲットとなるのは、介護付き有料老人ホームやサ高住と呼ばれる介護や介助が必要な住宅を求めている高齢者ではなく、自立した生活ができる高齢者のことです。

住宅として求められる性能は、バリアフリーです。車いすで生活をしている人はもちろん、そうでなくても段差がなく生活動線に障害物や危険がない設計が好まれます。

現役世代の人たちをターゲットとするマンション物件では交通アクセスがとても重視されますが、高齢者向けの場合は通勤や通学がないため交通アクセスはそれほど重視されません。むしろ自然が多いことや静かな周辺環境が好まれる傾向があります。低層マンションであってもエレベーターは必須で、人に優しい物件である必要があります。

3.今後、狙うべき層とは?

入居者ターゲットは、その物件を建てる前である、不動産会社やデベロッパーが企画する時点から決まっています。投資家はターゲットを誰にするかを決める企画段階から関われるケースは、そう多くありません。大抵の場合、自分で入居者ターゲットを決めて、そのターゲットに気に入られそうな物件を「選ぶ」ということになります。

では、今からマンション投資を始める場合、どんな人をターゲットに据えて、どんな物件を選ぶべきなのでしょうか。

一般的に、男性よりも女性の方が住まいへのこだわりが強いといわれます。自分のこだわりが叶う物件には、お金を惜しまない傾向があると指摘する専門家もいます。こうしたことから、女性のニーズを満たす部屋を用意すると、競争力の高い物件になる可能性が高いと言えます。差別化のポイントは、主に内装デザインとセキュリティ設備です。

また、家族住まいか単身者かという観点ではどうでしょうか。ファミリー向けの物件は、比較的長く住んでもらえる傾向にあります。ただし、金利が低い状況だと、ファミリー層は資産形成の一環で賃貸よりは購入に向かう傾向にあります。

今後世帯数が増えることで有望なマーケットになりうる単身者向けの物件は入居期間が短くなる傾向にありますが、ニーズが絶えないため空室期間が比較的短くすみます。ただし、今後は少子高齢化で、若い単身者が減っていくと考えられます。都心部に限れば、人口はまだ増え続ける傾向にあるので、単身者の賃貸ニーズが見込めるのは大都市圏や都心部でしょう。

また単身の高齢者も今後増加していくので、高齢の単身者をターゲットとした物件選びも有効になることが考えられます。

4.リノベーション済み中古マンションのメリット

都市部に暮らす人のライフスタイルは、多様化しています。以前は新築物件が圧倒的に人気でしたが、現在は、中古物件できれいにリフォームされている物件の人気も高まっています。中古物件は新築よりも利回りが高くなる傾向にあるので、投資家視点では、中古物件の人気上昇は歓迎すべきことといえるでしょう。

そこで、単なるリフォームではなく、品質の高いリノベーションを施して、ターゲットのニーズを満たす部屋づくりを目指すという方向性も考えられます。

リフォームであれば古くなった箇所を修繕して新しくするといった小規模なものが主体になりますが、リノベーションによって本来画一的なイメージでしかないマンション物件をオリジナリティの高いものに再生し、そのコンセプトに共感してもらえる人たちをターゲットとする考え方も今どきの不動産投資にフィットしているといえます。

不動産会社にもそれぞれ得意とするターゲットがあります。例えば、単身・女性客を得意とする不動産会社は、人気のデザインを取り入れたリノベーション物件であれば、積極的に顧客に紹介してくれる可能性が高くなるでしょう。

4-1.リノベーション物件の強み

リノベーション物件とは、中古マンションを全面的にリフォームしてコンセプトから刷新した物件のことです。中古マンションは新築マンションと違って価格が安く、「新築プレミアム」と呼ばれる価格の上乗せもないため市場価格で購入できます。

しかも中古マンションは立地条件に恵まれた場所に建っていることも多く、もはや新築マンションではなかなか見られないような好立地の物件を見つけることもできます。

それをリノベーションで再生することにより新築と同等、もしくはそれ以上の価値を創造することができます。多くのマンションは画一的なコンセプトとデザインで建てられていますが、そんな画一的なイメージとは違う差別化されたマンションを創り出すことができるのも、リノベーション物件の強みです。

4-2.選ばれるリノベーション物件とは?

選ばれるリノベーション物件のキーワードは、差別化です。同じ設計図で建てたのではないかと思われるほど、多くのマンションは同じような間取り、同じような内装です。これだと立地条件や家賃だけの比較検討になってしまい、家賃引き下げのスパイラルに陥ってしまう恐れがあります。

そうではなく、中古マンションを根本的にリノベーションして再生し、特定の人にしか支持されないかもしれないほどエッジの効いた物件にすることが差別化につながります。

都市部でマンションに住む人の価値観は、以前と比べて多様化しています。この多様化している価値観に応えられるのは、差別化されたオリジナリティあふれるマンション物件です。特定の人だけに支持される物件づくりをして、その人たちに満足度の高い生活をしてもらうことが、選ばれるリノベーション物件づくりの本質です。

5.まずは入居者ターゲットを考えることから

このように、入居者ターゲットから考えると物件選びに軸ができ、何を選び、どれを捨てるかが明確になります。これから投資を始める人は、ぜひ頭の片隅に置いておきましょう。

ますます多様化する入居者のニーズに応えるには従来の画一的なイメージのマンションではなく、特定の人たちに強く支持される差別化されたマンションです。これを実現できるのが中古マンションのリノベーション投資です。

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