市況

東京都内の下町、その投資価値を考える

不動産投資を行ううえで、立地の重要性は言うまでもありません。もちろん、建物のグレードや設備も重要ですが、たいていの場合、入居者は自分が住みたいエリア定めてから、物件の検索を行います。人口減少が進むこれからの日本で、不動産投資を成功させるためには、賃貸ニーズの高いエリアで、駅近など好条件の物件を購入しなければなりません。

不動産投資の地域としては、やはり東京を中心とした首都圏がおすすめです。しかし、都心部の場合、近年のアベノミクスによる景気回復や2020年開催予定の東京オリンピックの影響もあって、物件価格が高騰しており、東京の不動産を購入したくても「予算的に難しい」という人もいるでしょう。ただ、世界的に見ても東京は本当に大きな街で、都市圏という定義(横浜・埼玉・千葉も含んだ)で見ると推定人口も3,800万人を超えて、2位のジャカルタと約600万人の差があります。

江戸時代に日本の首都となり、400年以上日本最大の都市として成長を続けてきたこの都市は、当然、街やエリアで、それぞれに特徴が異なります。そこで、今回は東京で「下町」と呼ばれる地域の不動産にフォーカスし、その投資価値について考えてみます。

そもそも下町とは?

全国のどの都市でも下町と呼ばれるエリアがあります。辞書を引いてみると、下町の意味は「低いところにある市街。商人、職人などが多く住んでいる町」(広辞苑)です。それでは、東京の下町というとどのエリアを指すのでしょうか。代表的な下町としては、浅草や深川でしょうか。加えて、日本橋や神田、京橋なども下町と言われていました。しかし、現在の日本橋や神田を思い浮かべて、下町と思う人はあまりいないでしょう。

下町という言葉から、「庶民的」というイメージを感じ取る人は多いかもしれません。もともと下町は読んで字のごとく、地理的・空間的に下方にある地域を指しました。江戸時代、大名屋敷などが作られた丘のある地域は「山の手」と呼ばれ、その下方にある地域には、商店や職人の住む長屋などが建築されていったのです。

これは日本に限りませんが、古くから都市が形成される過程で丘の上や高台などは、王族や貴族が暮らす地域となり、下方の麓は庶民が暮らす地域になります。排水技術が未熟だった近代以前では、必然的に下方エリアは水害などの災害が多くなり、丘の上や高台のほうが過ごしやすいことなどから、このような住み分けが行われたのでしょう。

ちなみに、大名屋敷があった山の手は、現在、高級住宅街となっているケースが多い傾向です。現在、東京の下町と呼ばれるエリアは、関東大震災や太平洋戦争の戦災なども影響して、江戸時代よりも拡大しています。一般的に、浅草、押上、向島、深川、上野、日暮里などの台東区、墨田区、葛飾区、江東区、そして中央区の一部がそう呼ばれているのです。下町の定義が拡大解釈され、場合によっては豊島区、中野区、荒川区北区などが下町エリアに含まれることがあります。

下町エリアの投資価値

下町エリアの投資価値についてですが、基本的に高いといえるでしょう。下町エリアの魅力は、何といっても都心部へのアクセスが良いことです。特にビジネスの中心地である丸の内に近く、JRをはじめとする複数の路線が網目のように走っており、非常に利便性が高いのです。また、下町と呼ばれるエリアは一部の例外を除いて東京の東側に位置しています。

東京の開発は、西高東低と言われ、渋谷区や世田谷区、杉並区などの西側ばかりに注目が集まっていました。しかし、近年、丸の内エリアへのアクセスの良さなどから、東京の東側に注目が集まっており、開発も盛んに行われています。また、少子高齢化が加速度的に進む日本では、単身女性や高齢者などが、今後の賃貸住宅の居住者として、重要なターゲットになるのです。

しかし、最近は街のイメージやブランド力よりも、実際の利便性と生活コスト低さなどを重視して物件を選ぶ傾向にあります。その点、下町は利便性だけでなく物価も比較的安いため、より一層人気が高くなっているのです。

下町で進行する再開発

現在、東京ではさまざまなエリアで再開発が進行しています。その点でも下町エリアは魅力的です。例えば、2018年に都市計画が決定し、2025年の完成を目指す西日暮里の都市開発は、その代表的なものといえるでしょう。しかし、下町エリアでは地域の防災性向上を目的とする再開発が続々と進行しており、駅前の高層ビル建設や駅の改修などが進んでいます。

ショッピングのための新たな商業施設やオフィスビルの建設なども盛んで、下町の利便性はさらに高くなると考えられます。今後さらに下町に集う人の数は増えるでしょう。そのため、賃貸需要は高まるでしょう。こうした状況を考えると、下町の投資価値は非常に高いのではないでしょうか。

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