不動産投資

「新築マンションが月1万円の負担で」という不動産投資は大丈夫?

不動産投資の勧誘を行う業者の中には「月々1万円でマンションを所有できます」などと宣伝しているところがあります。とくに、新築の区分所有マンションを販売している不動産業者には、そのような“月々1万円の負担”というキャッチコピーを活用し、はじめて不動産投資に着手する人を勧誘する傾向があるようです。

たしかに、毎月1万円の負担で新築マンションを所有できるのであれば、お得に感じられるかもしれません。しかし、こと不動産投資の収益モデルについて考えてみると、毎月1万円負担して新築区分マンションを所有することは、かなり危険であるといえそうです。なぜなら新築の場合、たとえ購入当初は負担が月1万円であったとしても、その後負担金額が拡大していく可能性が高いからです。

“月1万円の負担”が意味するもの

そもそも、不動産投資の収益モデルは「家賃収入-(ローン返済+諸経費)」が基本です。つまり、賃借人から得られる家賃によってローン返済および諸経費をまかない、残った部分が利益になります。その点、返済額やローン金利を含む諸経費よりも、家賃収入のほうが多ければ、不動産投資で得られる収入はおのずとプラス(黒字)になるわけです。

しかし、とくに新築区分マンションに投資する場合、収支がマイナスになるケースが少なくなく、築年数が経つごとにそのマイナスが大きくなる傾向にあります。なぜなら、新築マンションの販売価格は、建築費用や人件費、広告費といった積算法で決定されるため、その物件が本来持つ資産価値と、実売価格が大きくかけ離れてしまう傾向があるからです。そのため、家賃収入と比較したときの月々の返済額のほうが大きくなりやすく、「家賃収入<ローン返済+諸経費」となってしまいます。さらに、諸経費もずっと新築当時のままということは考えにくいでしょう。

「新築マンションが月1万円の負担で」のワナに注意

このように、赤字の状態が続く新築区分マンション投資は、投資対象として考えると健全であるとはいえません。やはり、どのような物件に投資するにしても、収支状況がプラスか、ほぼプラスマイナスゼロに近い状態を維持できることを目指すのが基本でしょう。なぜなら、不動産投資の旨味は「レバレッジを効かせて大きな資産を築ける」ところにあるので、負担はできる限り少ないほうが望ましいからです。

とくに、35年など長期ローンを組んで不動産投資を行う場合には、キャッシュフローが極力プラスマイナスゼロ以上になることを意識する必要があります。キャッシュフローがマイナスな状況が続くと、それだけ日々の負担が大きくなりかねないためです。たとえば、月々1万円のマイナスが35年続くと、それだけでトータル420万円(年間12万円×35年)の出費となってしまいます。

また、月々のマイナスが必ずしも1万円で済むとは限りません。購入した物件が古くなればなるほど、入居者の獲得・維持のために、追加出資や家賃減額が必要になるものです。そうした経年の支出も加味すると、「新築当初からマイナスである状況がいかに厳しいのか」が理解できるのではないでしょうか。“月1万円の負担”というのは表面的なものでしかないのです。

もちろん、ローンの繰り上げ返済をすることによって、キャッシュフローを改善することは可能です。しかし、繰り上げ返済をしなければならないのであれば、最初から収益がプラスかプラスマイナスゼロに近い物件を購入したほうが得策でしょう。区分マンションに投資する場合であっても、中古の優良物件をきちんと探せば、そのような不動産を見つけることは可能です。

不動産投資の判断は慎重に

“月1万円の負担”という言葉には、「月1万円の負担で将来の不安に備えることができる」などのセールストークが続きます。そのような話を聞くと、「月1万円だけで年金代わりになるのならお得」と思ってしまう人がいるのも無理はありません。しかし、そこで安易に決断してしまうのではなく、不動産投資の仕組みから考えて、慎重に判断することが大切です。

安易に新築区分マンションに投資してしまった結果、将来の年金代わりになるどころか、月々の出費がかさむ“不安の種”になってしまう可能性もあります。そのようなことにならないよう、あらかじめ不動産投資の収益モデルを俯瞰しつつ、キャッシュフローを意識して投資判断を行うようにしましょう。

事前のシミュレーションが大切です

新築を購入するにしても中古を購入するにしても、必ず事前にしっかりと先々の諸経費も含めたシミュレーションを行っておくことが不可欠です。もし検討中の物件もしくは購入した物件の収支に不安がある場合は、無料でシミュレーションを承りますのでお問い合わせください。
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