不動産投資

意外に簡単、不動産の価格を割り出す方法

不動産投資で買いたい物件が見つかったときに、「その物件の価格が適正かどうか」は、なかなか判断ができるものではありません。不動産会社も自分たちの利益を確保する必要がありますから、すべての会社が顧客最優先で動いているとも限りません。悪徳業者ともなれば、自分たちばかりが得するような価格を明確な根拠を示すことなく、吹っかけてくることだってあるのです。こんなとき、自分で物件価格を計算する方法を知っておけば、業者に対して対抗しやすくなります。

公示価格、路線価とはなにか

同じ物件でも、不動産につけられる価格には何種類もあります。不動産に関連する価格は主に公示価格、固定資産税評価額、相続税評価額、鑑定評価額、取引価格、売却希望価格、購入希望価格などです。自分で物件価格を割り出すために、公示価格、路線価、固定資産税評価額の3つは押さえておきましょう。

公示価格は毎年3月下旬に国が発表するもので、公共事業から民間の土地取引でも指標として利用されているものです。路線価とは、相続税や贈与税を算出するときの基準となる1平方メートルの土地あたりの評価額で、公示地価の8割を目安につけられます。一方、固定資産税評価額は、一般的に、土地については公示価格の7割、家屋については建築費の4~7割が目安です。

価格を算出するための3つの方法

不動産価格を算出する方法は3つあります。それは「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」です。それぞれの方法によって求められた価格を、順に「積算価格」「比準価格」「収益価格」と呼びます。それぞれ簡単に説明すると、積算価格は、同じものを今建てる場合に、いくらでできるかという「費用性」の観点で求めています。

比準価格は、同じような物件を市場で取引する場合、現在いくらで取引されているかという「市場性」で示されています。収益価格とは、その物件がどれだけの価値を生み出せるかという「収益性」に注目しています。

簡便法で実際に計算

これらの手法を駆使して、不動産の価格を求めることが、不動産鑑定士の仕事です。積算価格と収益価格については、だれでも簡単に求めることができる方法があるので、ここで紹介しましょう。積算価格ですが、土地と建物に分けて求めます。まず、土地です。対象地の相続税路線価を、国税庁のウェブサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」(http://www.rosenka.nta.go.jp/)で確認してください。その価格を0.8で割り、公示価格ベースの単価を求めて土地の面積をかければ、対象地の価格が出てきます。

次は建物です。構造(鉄骨造り、木造など)に応じた標準的な建築単価を、
国土交通省のウェブサイト(http://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_000657.html)などで調べます。そのうえで、延べ床面積をかけると、新築価格が算出でき、そこから、築年数と耐用年数に応じて減価償却をしていくのです。例えば、木造で築5年の場合は、新築価格に(20年-5年)÷20を乗じれば算出できます。

一方の収益価格ですが、対象物件の周辺類似物件について、推定家賃をネットで調べて、年あたり額を算出します。そこから周辺類似物件の表面利回りを算出し、それで割り戻したものが収益価格です。その際に、稼働率を加味しておくと、より正確な数字になります。

概算値があれば、値付けや利回りの根拠を不動産業者に確認できる

購入するときも、売却するときも、概算値でいいので、自分で価格を計算したうえで、不動産会社が査定した価格について、値付けや利回りの根拠を尋ねてみましょう。業者が値付けの根拠としているのは、上記の価格算出方法に加え、売り主と買い主の属性や売買の理由、稼働率などの個別事情でしょう。これらについても、尋ねてみることをおすすめします。理路整然と説明できる業者は良心的で、レベルも高い傾向です。

もし、きちんと説明してくれない場合は、他の業者に変えることを考えるのが賢明かもしれません。いずれにしても、不動産投資は自己責任です。不動産投資を成功させるためには、業者の言うことを、「鵜呑み」にしてはいけません。なぜなら、自分できちんと納得したうえで、投資する必要があるからです。上述したような判断材料を用意して相談することが大切になります。良い不動産会社であれば、あなたの真剣さに誠実に応えてくれるはずです。

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