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中古マンション購入時に消費税はかかる?基本ルールや発生する・しないケース

不動産は高額商品であるため、消費税の金額も大きくなりがちです。しかし、中古マンションであれば購入時に消費税が発生しないケースがあることをご存じでしょうか。中古マンションといっても数千万円規模の価格になるだけに、消費税がなければ数百万円の費用を節約できることになります。

そこで、中古マンションと消費税の関係について、基本ルールや消費税がかかる・かからないケースを解説します。

中古マンション購入時に消費税はかかる?基本ルールや発生する・しないケース

1.中古マンションを購入する際に消費税はかかる?

不動産の購入にかかる消費税の有無は、売主が誰であるかによって異なります。結論から述べると「売主が課税事業者」の場合は消費税がかかり、「売主が個人」の場合、消費税は発生しません

例えば新築マンションは、一般的に売主が不動産会社やディベロッパーになるため、10%の消費税がかかります。一方、中古マンションを購入する場合は売主が事業者と個人どちらなのかは事例によって異なります。前者であれば消費税が課税され、後者であれば消費税は課税されません。

このように書くと「個人間で不動産の売買なんてありえるの?」と感じる方もいるかもしれません。たしかに、個人間の取引で直接不動産を購入するケースはまれでしょう。しかし不動産会社の紹介(仲介)を受けて中古マンションを購入する場合、その売主が個人であれば消費税は非課税となります。

現状不動産会社が仲介する中古物件の大半は個人が売主なので、実質は「中古物件を仲介で購入する場合は消費税非課税」と考えてもよいかもしれません。

数百万円の消費税が非課税となれば買主にとっては大きな負担の軽減となります。不動産情報サイトやチラシの物件情報は法律で表示義務があるため、物件の取引態様の記載が必要です。その種類は「売主」「代理」「媒介(仲介)」の3パターンです。

このうち「売主」とあるのはその情報を出している事業者が売主、つまり消費税がかかるケースです。一方で「代理」や「媒介(仲介)」の場合は、売主が事業者と個人のいずれの可能性もあります。このケースでは、課税の有無も含めて不動産会社に直接確認してみるようにしましょう。

1-1.消費税の基本ルール

消費税は、「商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税」です(国税庁ホームページより引用)。商品やサービスの対価を受け取る際に事業者が徴収し、消費者に代わって納税します。この「事業者が徴収」という部分が重要で、消費税が課税されるのは消費税の課税事業者のみです。

例えば、メルカリなどフリマアプリで個人間による商品の売買をしたとしても、それが事業者でなければ消費税は発生しません。また、事業者であっても年間の課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者となり、消費税は発生しません

もう一点、消費税には軽減税率の適用があります。生活用品や飲食料品などは消費税率が8%で、2%だけ低く設定されています。マンションは新築、中古にかかわらず軽減税率の適用外なので、消費税が発生する場合は税率10%となります。

1-2.消費税がかかるケース

中古マンションの購入時に消費税が発生するのは、売主が課税事業者であり、その事業者が事業の一環としてマンション物件を売却する場合です。不動産会社や建設会社などが中古マンションを所有し、それを顧客向けに売却する場合は事業の一環なので、消費税が発生します。

よくあるのが、中古マンションを購入した事業者がリノベーションなどをして付加価値を高め、再販売するケースです。この場合は事業の一環としてマンションを売り出しているので、消費税の課税対象となります。

ここでいう事業者には、個人も含まれます。個人事業者であっても不動産投資をしていて課税売上高が年間1,000万円以上で、事業の一環として所有物件を売却するのであれば消費税が発生します。

1-3.消費税がかからないケース

中古マンションの購入時に消費税が発生しないのは、「事業の一環としての売却」ではない場合です。

個人が自己居住用に所有していたマンションを売却した場合はもちろん非課税ですし、事業者による売却であってもそれが自己居住、自己使用していた物件で、プライベートで売却するのであれば消費税の課税対象にはなりません。重要なのは、「事業の一環」であるか否かです。

2.そもそも土地分は非課税

そもそも土地分は非課税

ここまで中古マンション購入時における消費税の有無について述べてきましたが、これはあくまでも「建物」に関しての話です。不動産には建物と土地がありますが土地については、そもそも消費税がかかりません。これは売主が誰であるかは無関係で、売主が不動産会社などの事業者であっても土地の場合は消費税がかからず購入できます。

また、建売住宅などは「土地・建物セット」で販売されるケースも珍しくありません。この場合、販売価格の総額のうち「建物分がいくら」「土地分がいくら」という内訳が契約書に記載されています。この内訳を必ず確認するようにしてください。当然、建物の割合が大きければ消費税は高くなり、割合が小さければ消費税は安くなります。

マンションの場合は建物部分だけを売買しているように見えるかもしれませんが、マンションの区分所有者はマンションが建っている敷地の持ち分も所有しています。そのため、中古マンションを購入した際には土地の持ち分も購入することになります。売主が事業の一環として中古マンションを売却する際には消費税が発生しますが、あくまでも建物部分のみであり、土地部分に消費税の課税はありません

3.購入にかかる諸費用には課税される

マンション購入にかかる費用は、マンションそのものの販売価格だけではありません。付帯するさまざまな手続きや書類の提出などにかかる手数料・諸費用が発生します。そして、これらの諸費用は消費税の課税対象となるため注意が必要です。

課税対象となる主な費用を3つ紹介します。

3-1.仲介手数料

仲介手数料は、不動産仲介会社に支払う手数料です。個人が自己居住用のマンションを売却する場合であっても、自分で買主を見つけることは簡単ではありません。

そこで不動産会社に仲介を依頼して、買主探しを委託します。依頼を受けた不動産会社は買主探しや、買主との契約などの業務を代行します。こうした一連の売却活動の報酬として支払われるのが、仲介手数料です。

仲介手数料の上限は売買価格が400万円を超える場合「売買金額×3%+6万円+消費税」と法律で定められています。仮に3,000万円のマンションを仲介で購入し、仲介手数料の上限額(3,000万円×3%+6万円=96万円)を支払う場合、消費税は96万円×10%の計算式で算出され9万6,000円です。

3-2.事務手数料

事務手数料は、ローンを組む際に金融機関に支払う手数料です。金額は金融機関によって異なり、事務手数料がないというところもあります。事務手数料を設定している金融機関は借入金額の2%程度が相場です。

借入金額が3,000万円で手数料が2%(60万円)とすると、事務手数料に対する消費税は60万円の10%なので税額は6万円です。

3-3.登記費用

不動産登記の際には、登録免許税や司法書士報酬が発生します。登録免許税はそもそも税金なので課税されませんが、司法書士報酬は消費税の課税対象です。

4.消費税以外にかかる税金も把握しておこう

ここまでは中古マンション購入時の消費税について解説してきましたが、税金は消費税だけではありません。消費税以外にも関わりがある税金について解説します。

4-1.中古マンション購入時にかかる税金

中古マンションの購入時に関わりのある税金として知っておくべきものは、3つあります。

印紙税

不動産の売買においては、売主と買主による売買契約書が交わされます。この契約書には印紙を貼付する必要がありますが、その税額は以下のとおりです。

中古マンションに多い価格帯で印紙税額を整理しました。

契約金額 印紙税額
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 1万円
5,000万円超1億円以下 3万円

多くの中古マンションは「1,000万円超5,000万円以下」もしくは「5,000万円超1億円以下」に該当すると思われるので、印紙税額は1万円か3万円であると認識しておけば問題ないでしょう。

不動産取得税

不動産を取得した際に発生する税金です。税率は固定資産税評価額に対して3%です。取得した際に発生する税金なので、課税されるのは購入時の1回のみです。ただしこの税率は軽減税率であり、本来の税率は4%です。

登録免許税

購入した中古マンションは所有権移転登記をすることで、法的にも自分の所有物として効力をもちます。この登記には登録免許税が発生し、税率は固定資産税評価額に対して0.2%です。

ただし、一定の条件を満たしている住宅などの登記では軽減税率が適用され、税率が0.1%になるケースもあります。

4-2.中古マンション購入後にかかる税金

中古マンションを購入した後には、「所有していること」に対する税金として、固定資産税と都市計画税が発生します。

固定資産税の税率は固定資産税評価額に対して1.4%、都市計画税の税率は0.3%を上限としていますが、実質的にほとんどの都道府県が上限の0.3%を適用しています。

5.中古マンション購入時は、消費税の発生の有無をしっかりチェック

「中古マンションは購入時に消費税が発生しない」という事実について、その理由と具体的に消費税が発生しないケースなどについて解説しました。「事業の一環」として売却される不動産以外は原則として消費税はかからないので、中古マンションの購入時には消費税の発生の有無をしっかりチェックするようにしてください。

また、中古マンション購入時には消費税以外にもさまざまな税金との関わりがあるので、購入前の段階でこれらの税金についてしっかり理解し、正確性の高い資金計画を立てるようにしましょう。

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