資産運用

クラウドファンディングでも不動産投資ができる

近年、新たな投資手法としてクラウドファンディングが注目を集めています。不動産投資でもクラウドファンディングが可能です。不動産投資では、どんな小規模な物件でも、数百万円単位の予算が必要なことが多いのですが、クラウドファンディングの仕組みを用いることで、数万円程度の予算からでも不動産投資ができるようになりました。その詳細についてみていきましょう。

クラウドファンディングとは?

近年、金融業界において、ITなどの最新テクノロジーを活用し、新しい価値を生み出し、生産性を向上させるフィンテック(FinTech)が大きな注目を集めるようになりました。

IT技術の中でも、特に重要となるインターネットは、1990年代後半以降、急速に普及し、私たちの日常生活やビジネスの領域に大きな影響を与えました。金融自由化とともに登場したインターネット証券やネット決済などは、IT技術が金融業界にもたらした変革と言えるでしょう。個人のファイナンシャルプランニングや資産運用でも、これまでとは違ったかたちでIT技術が応用されるようになりました。それらもフィンテックと呼ばれています。

その中でも、特に注目されているのが、クラウドファンディングでしょう。クラウドファンディングは群衆(Crowd)と 資金調達(Funding)という言葉を組み合わせた造語です。

これまで金融機関や法人などでしか行えなかった資金調達を、インターネットを通じて、個人でも法人でも、世界中の不特定多数の人から集めることが可能になりました。資金調達の形態はさまざまです。出資者に対して商品やサービスなどを提供する購入型や、出資先の事業収益の配分を得られるようにする出資型、貸借の形式で出資して貸主側が利息を受け取る貸付型、リターンを求めない寄付型、などがあります。

資産運用の要素が大きいのは出資型と貸付型です。貸付型のクラウドファンディングはソーシャルレンディングとも呼ばれます。企業にとっては金融機関以外の資金調達先が生まれ、貸付を行う個人は、銀行預金などよりも高い金利を得られるメリットがあります。

不動産投資のクラウドファンディングの魅力

こうしたクラウドファンディングの仕組みは、不動産投資にも応用されています。不動産投資は、家賃収入が得られたり、不動産価格の上昇局面では、その売却益が狙えたりする魅力的な投資手法です。

ただ、実際に不動産投資を行うには、物件を購入するために多額の資金を調達する必要があり、頭金となる初期費用を用意したり、金融機関からローンを組んだりしなければなりません。そのため、株式投資などと異なり、少額から始めることが難しく、不動産に精通していない人には、リスクが大きい投資と思われてきました。

しかし、クラウドファンディングの仕組みが不動産投資に応用されたことで、そうした前提条件は大きく変わりました。ネットを通じて多くの人が資金を出し合うクラウドファンディングなら、1人(1口)あたりの負担額を小さくして、不動産投資を行うことが可能なのです。

不動産投資のクラウドファンディングの仕組み

不動産投資のクラウドファンディングは、大きくは事業型と貸付型の2パターンに分けられます。

事業型の場合、多くの投資家から出資してもらい、その資金をもとに不動産投資が行われ、その収益が還元されます。平成29年に不動産特定共同事業法の改正が決定されました。これにより共同事業の運営に伴う各種書類の交付などがオンライン上で可能になりました。また、投資家1人あたりの出資金上限が100万円以内で、かつ出資総額が1億円以内であれば小規模不動産特定共同事業者とみなされ、クラウドファンディング事業への参入ハードルが低くなりました。

貸付型の場合、投資家は不動産投資を行う事業者や個人に対して、ソーシャルレンディングで融資を行うことになります。投資リターン(貸付金利)は事前に定まっており、貸付先が破産などしてしまわない限り、その回収が確実に行われるため、手堅い資産運用といえます。

不動産市場は首都圏を中心に活況を呈しています。2017年の首都圏の新築マンションの平均価格は、バブル期以来27年ぶりの高値水準となりました。だからこそ、不動産投資のハードルは高くなってしまっている部分がありますが、クラウドファンディングを利用した不動産投資なら、1万円からでもスタートできます。現物不動産に投資する前に経験を積むという意味でも、有望な選択肢とのひとつと言えるでしょう。

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