不動産投資

新築 VS 中古の比較から見えてくる「最強の不動産投資」とは

不動産投資を始める際にはどのような物件を選ぶべきか、最初に決める必要があります。マンションかアパートか、単身世帯向けかファミリー向けかなどに加え、「新築物件か中古物件か」ということは重要なポイントになります。

新築と中古、この両者は単に築年数が異なるだけでなく、根本的に不動産投資の価値観が異なります。2022年現在、新築マンション価格が高騰していることを考えると、その差はますます大きいと考えるべきでしょう。

岸田政権は「貯蓄から投資」を掲げて国民に投資を促していますが、今や不動産投資は一部の資産家だけのものではなく、サラリーマンなど標準的な収入の方も取り組める開かれた投資です。このような方が取り組むべき不動産投資を考えるうえでも、新築か中古かの選択はとても重要です。

本記事では、不動産投資における新築物件と中古物件の違いをそれぞれの特徴からみていきましょう。両者の特徴を理解すれば、ご自分が投資すべき物件が具体的にみえてくるかもしれません。ぜひ、参考にしてみてください。

1.新築物件と中古物件、不動産投資で成功しやすいのは?

新築物件と中古物件のどちらが投資に有利なのか、これは不動産投資において永遠のテーマともいえるものです。なぜならこの両者は物件によって一長一短であり、一概にいうことができないからです。

そもそも新築物件と中古物件では購入価格が異なりますので、賃貸に出したときの収益率も大きく異なります。さらに投資としての収益には家賃収入のみならず、売却時の価格も含まれます。このことから、新築物件と中古物件のどちらにおいても「収益性」と「資産価値」が下がりにくい物件を選ぶことが、失敗しないための鉄則といえます。

ただし、物件の価値は築年数だけで決まるわけではないことにも注意が必要です。不動産には立地という条件も含まれるため、1つとして同じ物件があるわけではありません。たとえ、築年数が古くても賃貸に出したときに借主にとって利便性がよい立地であったり、人気エリアであったりすれば空室リスクが低いと考えられるため、投資対象として注目すべきでしょう。

中古物件は建物が古いため人気が出にくい場合もあります。しかし、利便性や立地条件が良ければリフォームやリノベーションによって価値を再生できる可能性があるのも事実です。新築物件と中古物件のどちらにも共通していえることは、築年数以外の諸条件を見据えた物件選びが重要になることです。これこそが、その後の結果を大きく左右するポイントになります。

1-1.新築物件に投資するメリット・デメリット

新築物件の最大の魅力は、貸し出すときに家賃を高く設定できることでしょう。また、新築マンションは建物や設備がどれも新しいため、当面は突発的な修繕が少ないこともメリットの1つです。

定期的なメンテナンスはある程度計画することができますが、突発的な修繕は想定外の出費につながります。こうしたリスクが低いことで、新築マンションは不動産投資の初心者向きであるとの考え方もあります。

ただし価格面においては、新築マンションの場合「新築プレミアム」と呼ばれる業者利益が乗せられ、購入価格も高くなることを知っておかなければなりません。中古物件と同等条件の物件でも購入価格は20~30%ほど高くなる傾向があります。

中古マンションは市場の需給で価格が決まりますが、新築マンションは業者利益を含む「そのマンションを用意するために要した費用」から決められるため、これが「新築プレミアム」となって物件価格を押し上げてしまうのです。

賃貸に出すときは「新築」という付加価値を付けられ、周辺相場より高い家賃設定ができますし、新築物件に住みたいというニーズは多いため、入居者も見つけやすいでしょう。しかし、一度貸し出した物件は後に中古物件として扱われることになりますので、幾度かの貸し出しを経て、家賃は徐々に下げられることになります。

首都圏では2020年頃から新築マンション価格の高騰が起きており、新築マンションの取得価格はますます高くなっています。その一方で、取得価格が高かったからといって家賃を大幅に引き上げられるわけではないので、新築マンションの収益性はどうしても下がってしまいます。

また、貸し出した物件を売却する際は、物件の立地などにもよりますが、新築プレミアム分を値下げせざるをえないでしょう。2022年現在も進行中のマンション価格高騰はいつか収束すると考えられるため、高い価格で買ったマンションなのに売却する頃には「本来の相場」でしか売れないかもしれません。

1-2.中古物件に投資するメリット・デメリット

中古マンションは新築マンションと違って「新築プレミアム」がなく市場価格で取引されているため、基本的に購入額を安く抑えることができます。しかも中古マンションは流通量が豊富で、物件の選択肢も増えます。

これら2つのメリットをいかして、中古マンションは自分の予算やプランに応じた無理のない投資をできることが特徴として挙げられます。また、中古物件は「新築プレミアム」がないことで新築と比較すると家賃は相対的に安価になり、家賃の下落率も低減しますので家賃収入の安定が見込まれます。

その一方で、中古マンションは状態によって建物や設備の老朽化による維持費の発生や物件としての魅力の低下が起こる可能性が高く、空室率が高くなってしまうリスクがあります。そこで物件の集客力を高めるために室内のリフォームや設備のリニューアルを行う手法がとられることもありますが、もちろんこれにはコストがかかります。

「新築プレミアム」がない分コストパーフォーマンスに優れているため、収益性は新築物件よりも高くなる傾向にありますが、安いからといって築年数の古すぎる物件や付加価値の再生が困難な物件買うと、空室リスクに悩まされることになります。

中古物件は、コストパーフォーマンスのみならず、その物件の競争優位性にも着目して、顧客視点で選ぶことが重要です。

2.新築と中古、両方の「いいとこどり」を狙える物件

新築マンションと中古マンションはそれぞれが一長一短であり、相反するメリットとデメリットがあることがおわかりいただけたと思います。

冒頭で「根本的に価値観が異なる」と述べた両者ですが、それぞれの「いいところどり」をすることはできないのでしょうか。そんな願いをかなえることができる「いいところどり」物件が2つあるので、それを1つずつ解説します。

2-1.築浅の中古物件

新築と中古の「いいところどり」ができる物件選びの1つめは、築浅の中古物件です。この場合の「築浅」に明確な定義はありませんが、築5年以下程度の物件であれば新築に準ずる価値があると見なされるでしょう。

すでに解説したように新築物件には「新築プレミアム」がありますが、新築同様であっても一度でも誰かが住んだ物件は中古物件になります。それは築2年、3年であっても同様です。中古物件になった瞬間に市場価格で取引されるため、「新築プレミアム」の上乗せはありません。

それでいて築浅物件は新築マンションと同様に集客力が高く、それでいて修繕が発生する可能性が低いため、「新築プレミアムのない新築同然のマンション」となるわけです。

2-2.リノベーション物件

リノベーションとは、一部の修繕やリフォームではなく物件全体に抜本的な工事を行い、それまでにはなかった新しい付加価値を創造することです。

リノベーションの業界団体である一般社団法人リノベーション協議会はリノベーションを「中古住宅を現代のライフスタイルに合った住まいによみがえらせること」と定義しており、この「現代のライフスタイル」というのがポイントです。

築年数が経過している家やマンションはその当時の価値観で建てられているため、今の時代にマッチしない可能性があります。しかし、古い不動産は土地の選択肢が広かった時代に建てられているケースが高く、立地条件に恵まれているものも少なくありません。

このような好立地の中古マンションのなかから状態のよいものを厳選し、リノベーションを施して提供することで集客力を高めるというのが、リノベーション物件です。

3.増え続けるリノベーション需要。現状と今後の市場予測

上記の解説でリノベーション物件が新築と中古の「いいところどり」ができることを解説しましたが、このことに魅力を感じる人はとても多く、リノベーションの需要は拡大し続けています。

公益財団法人東日本不動産流通機構が発表している「首都圏不動産流通市場の動向」の2021年版では、首都圏の不動産成約状況において中古マンションと中古戸建て住宅が高い伸びを示しており、高騰する新築に対して中古物件が見直されていることがうかがえます。

コロナ禍を契機に普及したリモートワークやオンライン授業などのニーズを受けて、自宅を職場や学校としても活用できる空間にするリノベーションの人気が高まっていると語る業者もいます。

住まいに対する価値観や生活スタイルの多様化は、今後ますます進むでしょう。このような流れのなかで、画一的な価値観の賃貸マンションではニーズに応えられるとはいえず、今後さらに中古マンションをリノベーションすることによる不動産投資が活発になっていくと考えられます。

4.結論、今考えられる「最強の不動産投資」はリノベーション投資

新築と中古にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、不動産投資家としてはそのどちらかを選ぶのではなく、両者の「いいところどり」を狙うのが成功のカギです。

その意味で築浅の中古物件とリノベーション物件を推奨しましたが、物件の選択肢の広さや時代に合った付加価値を創造できるなどの観点から、後者のリノベーション物件に高い優位性があるといえるでしょう。

「貯蓄から投資」の機運が高まるこれからの時代、今考えられる「最強の不動産投資」としてリノベーション投資を検討してみてはいかがでしょうか。

iDeco、NISAの次は 不動産投資?いいえ、リノベ 不動産投資です。
あわせて読みたいおすすめコラム