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不動産投資
不動産を活用して不労所得を手に入れる3つの仕組みとスタート前の注意点
不労所得とは、毎日あくせくと働かなくても入ってくるお金のことです。不労所得を得るには、収入が自動的に入る仕組みを事前に作っておく必要があります。
本記事では、サラリーマンを続けながら始められる不動産投資を例に、不労所得を得る仕組みや、具体的な方法について分かりやすく解説します。

目次
1.不動産を活用して不労所得を得る3つの仕組み
不労所得とは、配当金収入・不動産収入・印税収入などのように、働かなくても得られるお金のことです。一方、サラリーマンのように、日々汗水たらして働いて得るお金を「労働収入」といいます。多くの方は、労働収入を得ながら暮らしています。
本業のサラリーマンを続けながら、不労所得を得る方法のひとつが「不動産投資」です。不動産投資とは、区分マンションなどの物件を購入し、入居者に貸し出すことで家賃収入を得る投資手法のことです。不動産投資で不労所得が生まれる仕組みを、以下の3つに分けて解説します。
- 毎月、家賃収入が入る
- 物件の権利を得られる
- 自分が関与しなくても良い
1-1.毎月、家賃収入が入る
入居者が支払う家賃が、不労所得となります。不動産投資では、物件を購入し、入居者に貸し出すことで家賃収入を得ます。物件購入の際にローンを組むことが一般的ですが、その返済原資は入居者の家賃であるため、実質的には入居者がローンを返済してくれる仕組みです。
毎月の手残りが出るようにローンの返済額を調整すれば、初月からでも不労所得を得ることが可能です。ローンを完済すれば、賃料から必要経費を差し引いた分が、そのまま不労所得になります。入居者がいる限り、毎月安定して家賃収入が入るため、まさに「不労」所得です。
1-2.物件の権利を得られる
不動産の権利を所有することで、不労所得を得ることができます。購入した投資用物件の名義は自身のものとなり、不動産に対する権利が発生します。ローン返済中は金融機関の担保となりますが、完済後は名実ともに自分の所有物となります。
物件を貸して家賃収入を得るだけでなく、その物件を担保にして新たな不動産投資を行うことも可能です。また、売却すれば大きな売却益を得られることもあります。不動産の権利を持つことで、さまざまな形で不労所得を生み出すことができるのです。
1-3.自分が関与しなくても良い
不労所得を得るためには、自動でお金が発生する仕組みを作ることが必要です。この仕組みが機能し始めれば、働かなくても収入を得られるようになります。
例えば、不動産投資では、物件を購入し、入居者が決まるまでが仕組み作りの段階です。その後は、家賃が自動的に振り込まれるため、自分が関与しなくても収入が入り続けます。
また、物件の管理は不動産管理会社に委託できるため、不動産オーナーが現場で何かをする必要はありません。このように、一度仕組みを作ってしまえば、自分が関与しなくても収益が生まれ続けるのが、不動産収入による不労所得の特徴です。
2.不動産で不労所得を得る5つの投資方法を比較

不動産投資にはさまざまな種類があり、どの方法でも不労所得を得ることが可能です。以下に、代表的な投資方法を比較した表を用意しましたので、参考にしてください。難易度は星の数で表しています。
投資方法 | 難易度 | かんたんな投資内容 |
---|---|---|
区分マンション賃貸経営 | ★ | マンションの1室を購入して賃貸に出す |
一棟アパマン経営 | ★★★ | マンションやアパート一棟を経営する |
ビル・施設経営 | ★★★ | 商業ビルや施設を企業に貸し出す |
駐車場経営 | ★ | 土地に駐車場を設営して経営する |
不動産投資信託 | ★★ | 不動産に、証券を購入する形で投資する |
サラリーマンを続けながら、不労所得を得ることを前提としていますので、なるべく失敗しにくい方法から検討してみてください。
- 区分マンション賃貸経営
- 一棟アパマン経営
- ビル・施設経営
- 駐車場経営
- 不動産投資信託
2-1.区分マンション賃貸経営
区分マンションとは、一棟のマンションの中の1戸(1部屋)のことです。ワンルームからファミリー向けまでさまざまなタイプがありますが、一般的に区分マンション投資といえばワンルームタイプが中心になります。マンション1戸分だけ購入すればよいため、資金面でのハードルが低く、サラリーマン投資家に人気があります。
特に、都心部でニーズの高いエリアに物件を購入すると、安定した経営がしやすくなります。1戸の価格が手ごろで、売却時にも買い手がつきやすいため、はじめての不動産投資に適した選択肢といえるでしょう。また、一棟マンションと比較すると、複数の物件を分散して所有できるため、自然災害や火災時のリスクヘッジがしやすい点も魅力です。
2-2.一棟アパマン経営
「アパマン」とは、アパート・マンションの略称です。一棟まるごと購入し、賃貸経営を行う投資方法で、マンションは鉄筋コンクリート造、アパートは木造が一般的です。新築または中古の一棟を購入するか、土地を購入して建設するのが一般的な方法です。戸数が多いため、経営が軌道に乗れば、大きな不労所得を得られます。
ただし、購入資金が高額になるため、初心者には向いていません。一方で、相続などで土地を所有している場合は、土地活用の一環として、一棟アパートやマンションを経営するケースもあります。また、売却時には買い手が不動産投資家や事業家に限定されるため、流動性が低い点も考慮が必要です。
2-3.ビル・施設経営
ビルや大型施設を購入または建設し、区分・エリア・フロア単位で企業に貸し出す不動産経営の形態です。方法としては、既存のビルを一棟購入する、土地を購入して新たに建設する、相続した土地を活用してビルを建てるといった選択肢があります。
ビルの種類には、オフィスビル(事務所)、商業ビル(店舗)、メディカルビル(医療施設)などがあり、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの福祉施設として活用するケースもあります。規模は、土地やエリアの条件によって低層から高層までさまざまで、大規模な建物では上層階をマンションとする複合型の施設もあります。どの形態でも、入居企業からのテナント料が不労所得となり、安定した収益が期待できます。
ただし、企業を相手とするため、投資規模が大きくなりがちで、初心者向きではありません。興味がある場合は、信頼と実績のある不動産会社のコンサルティングを受けながら慎重に進めることが重要です。
2-4.駐車場経営
土地に駐車スペースを設置し、それを賃貸する不動産経営です。駐車場には月極タイプと時間貸しタイプがあり、どちらも駐車場代が不労所得となります。土地は購入しても、借りて運営することも可能です。
月極駐車場は、指定された区画を月額で貸し出す方法です。土地があれば、ロープで区画を作るだけでスタートできるため、初期投資のハードルが非常に低いのが特徴です。契約の更新タイミングは一般的に半年〜1年ごとで、賃料は都心部ほど高額になります。ただし、1区画につき1台分の賃料しか得られないため、経営効率を高めるには、土地を購入する方が有利です。
時間貸し駐車場(コインパーキング)は、土地にコインパーキングを設営し、利用料から運営委託費を差し引いた分が不労所得となる仕組みです。1つの区画で24時間稼働できるため、ニーズの高いエリアであれば、土地を借りての経営でも十分に採算が合う可能性があります。
さまざまな運営プランがありますが、コインパーキング会社が設営・運営・撤収までを代行するプランを選べば、オーナーは完全ノータッチで運営することも可能です。また、駐車場経営は撤収時の負担が少ないため、一時的な資金作りの手段として活用されることもあります。
2-5.不動産投資信託
不動産経営を証券化したものでも、不動産投資を通じて不労所得を得ることができます。不動産投資信託は「REIT(リート)」と呼ばれ、株式市場で取引されており、一般的な金融商品として誰でも1口から少額で投資できます。
REITは、複数の大規模ビルの運営資金を投資家から募り、その運用を専門家に委託する仕組みです。ビルの賃貸収入や不動産の売却益が、購入した口数に応じて分配され、不労所得として収益を得ることができます。
一般的な不労所得と異なるのは、不動産そのものを所有するのではなく、証券を通じて投資する点です。収益は口数に応じて分配されるため、大きな不労所得を得るには、一定以上の投資額が必要になります。
3.不動産による不労所得7つのメリット
不労所得に関心を持ち、不動産投資を始めることを決めた方は、将来的に以下のような7つのメリットを得られる可能性があります。
- 働かなくても収入が入る
- 将来の年金代わりになる
- 生命保険の代わりになる
- インフレ対策ができる
- 節税対策ができる
- 自由な時間が増える
- 資産が増える
3-1.働かなくても収入が入る
不動産投資による収入は「不労」所得なので、将来は働かなくても収入を得られるようになります。ただし、不労所得を得るためには、事前に収入が発生する仕組みを作る必要があるため、全く何もしなくてもよいというわけではありません。とはいえ、サラリーマンのように生活費を稼ぐために働き続ける日々からは解放されます。
3-2.将来の年金代わりになる
不動産投資は、将来の年金代わりになります。投資用物件はローンを組んで購入しますが、ローンの返済が終わると、家賃収入から経費を差し引いた分が、全額不労所得になります。例えば、月10万円の家賃設定であれば、入居者がいる限りその金額が継続的に入ります。
鉄筋コンクリート造のマンションは建物としての寿命が長いため、若い頃に不動産投資をスタートすれば、定年後も継続して家賃収入を得られます。入居者がいる限り収入は発生し続けるため、老齢年金の補填として活用することが可能です。
3-3.生命保険の代わりになる
不動産投資は、生命保険の代わりとしても活用できます。投資物件を購入する際、多くの方が団体信用生命保険(団信)に加入します。団信に加入していれば、ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合、生命保険会社がローン残債を肩代わりし、家族に返済の負担がかかることはありません。
さらに、団信によってローンの返済が不要になれば、家賃収入はそのまま利益として残ります。そのため、不動産という資産だけでなく、継続的な収入源を家族に引き継ぐことができます。
3-4.インフレ対策ができる
インフレ時はモノの値段が上昇し、お金の価値が下がります。このような状況で資産を現金のまま保有していると、実質的な価値が目減りし、経済的に不利になる可能性があります。そのため、お金を価値が上がる資産に換えておくことで、資産を守りながら増やすことができます。
例えば、不動産に投資しておけば、インフレによる不動産価値の上昇に伴い、資産の評価額も高まります。不動産は一般的な金融商品と比べて急激に価値が下落しにくいため、売却時にも高い価値を維持しやすく、現金化しやすいのが特徴です。さらに、所有期間中は家賃収入を得られるため、資産価値の上昇と安定した収益の両方が期待できます。
このように、不動産投資は家賃収入と売却益という2つの不労所得を得られるため、インフレ対策として有効な資産運用の手段といえます。
3-5.節税対策ができる
不動産投資をすると、所得税・復興特別所得税・住民税を抑えられることがあります。サラリーマンの給与は「給与所得」、不動産投資の収入は「不動産所得」として扱われ、それぞれ課税対象となります。
不動産投資を始めた年は、初期費用が多くかかるため、不動産経営の収支が赤字になることがあります。不動産投資を行う場合、確定申告が必要となり、その際、給与所得と不動産所得を合算して税額を算出します。不動産所得が赤字だった場合、その赤字分を給与所得と相殺することで、課税所得を減らすことができます。これを「損益通算」といいます。
課税所得が減れば納める税額も抑えられ、手元に残るお金が増える可能性があります。ただし、節税を目的に意図的に赤字を作るのは本末転倒です。適切な経営を心がけたうえで、結果として赤字が出た場合に活用できる制度であることを理解しておきましょう。
3-6.自由な時間が増える
十分な不労所得が得られるようになると、生活費を稼ぐために毎日仕事に出る必要がなくなります。つまり、経済的に自立できるため、早期リタイアをするなど、自分の時間を自由に使えるようになります。
もちろん、サラリーマン生活が気に入っている場合は、そのまま続けることも可能です。大切なのは、働き方を自分で選べるようになり、労働に縛られない生き方ができることです。
3-7.資産が増える
不動産投資を続けることで、資産形成が着実に進みます。たとえ1戸の物件でも、ローンを完済すれば、その不動産の価値が資産として残ります。さらに、その資産を活用して新たな区分マンションを購入し、経営を拡大すれば、少しずつ確実に資産を増やしていくことができます。
複数の不動産を所有するようになれば、空室のダメージも分散でき、資産形成のスピードが加速します。無理のないペースで投資規模を拡大することで、希望する不労所得額を得やすくなるでしょう。
4.不動産による不労所得4つのデメリット
不動産投資で不労所得を得ようと考え、実際に行動を起こした場合に直面する可能性のあるデメリットを紹介します。対策もあわせて解説するので、参考にしてください。
- 勉強が必要
- 初期費用がかかる
- 税金が発生する
- 経営リスクへの対策が必要
4-1.勉強が必要
不動産投資を成功させるには、一定の知識が必要です。不動産投資に興味を持ち調べ始めると、はじめて聞く専門用語や、説明を読んでも理解しづらい内容に戸惑うことがあります。多くの人は学校で不動産投資の知識を学んでいないため、何歳から始めても初心者です。
不労所得を得るためには、収益を生み出す仕組みをしっかり理解しておく必要があります。動画・ネット記事・書籍・雑誌・DVD・セミナーなど、さまざまなメディアを活用して情報収集を進めましょう。ただし、学生時代のように勉強する習慣がないと、最初は学習に負担を感じることもあります。また、仕事をしながら学ぶ場合、時間の確保が課題になることもあります。
4-1-1.【対策】
最初は、自分が興味を持てるメディアを活用して情報を得ましょう。動画が理解しやすければ、まずは動画を何本も見ても問題ありません。ただし、ある程度知識がついたら、書籍や記事など、別のメディアでも同じ内容を確認することが大切です。
複数のメディアから情報を得ることで、知識が定着しやすくなり、誤った情報を見極める力も養われます。異なる視点から学ぶことで、理解がより深まるでしょう。
4-2.初期費用がかかる
不動産投資を始めると以下のようなお金が必要になるため、ある程度の資金準備が必要です。投資のためのお金をローンでまかなう場合でも、このようなお金は現金で支払うことが多いため、あらかじめ準備しておく必要があります。
- 物件の頭金
- ローンの事務手数料
- ローン保証料
- 収入印紙代
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 仲介手数料
- 不動産取得税
- 固定資産税・都市計画税
- 保険料
物件価格の1~3割程度が必要
ローンを組む際に金融機関に支払う手数料
ローンを組む際に保証会社に支払う保証料
契約書に貼る収入印紙の費用
不動産の所有権移転や抵当権設定の登記にかかる税金
登記手続きを代行する司法書士に支払う報酬
投資物件を仲介した不動産会社に支払う手数料
不動産を取得した際に課税される税金
不動産を所有していることで毎年かかる税金
火災保険・地震保険・団体信用生命保険への加入費用
4-2-1.【対策】
準備すべき資金の目安は、物件価格の15%程度とされています。例えば、3,000万円の物件を購入する場合、450万円程度を別途用意しておく必要があります。
ただし、必要な資金は購入する物件や経営プランによって異なります。具体的な金額を把握するためにも、不動産会社の無料相談などを活用し、事前に確認しておくことをおすすめします。
4-3.税金が発生する
不動産投資では、毎年支払う税金として所得税・住民税・固定資産税があります。不動産投資を始め、物件に入居者が決まると家賃収入が発生します。年間の家賃収入から必要経費を差し引いた所得が20万円以上になる場合、確定申告を行い、所得税を納める必要があります。住民税は所得税と連動し、自治体ごとに算出されます。
また、不動産を所有している限り、固定資産税と都市計画税が毎年発生します。どちらも1月1日時点で不動産を所有している人に課される地方税で、都市計画税は市街化調整区域にある物件のみ課税対象となります。
4-3-1.【対策】
年間の家賃収入から必要経費を差し引いた手残りが20万円以上になった場合、所得税の納税義務が発生します。必要経費には、不動産投資に関わるさまざまな費用が含まれるため、適切に計上することで課税対象となる所得を抑えることができます。
不動産投資が赤字となった場合は、給与所得と損益通算を行うことで所得税を軽減できる可能性があります。特にサラリーマンの方は、節税の仕組みを理解し、確定申告を活用することが重要です。税金の詳細な計算方法について知りたい方は、関連記事も参考にしてください。
住民税は、会社の給与から天引きされることが多いため、不動産投資によって収入が増え、課税対象額が上がると、会社が算定した住民税額よりも高くなり、不動産投資をしていることが会社に知られる可能性があります。
住民税の納付方法には、給与天引きされる「特別徴収」と、自分で納付する「普通徴収」があります。現在どちらになっているかを確認し、「特別徴収」の場合は、会社が不動産投資の副業を許可しているか事前に確認しておくと安心です。なお、所得税が減ると、それに連動して住民税額も減少します。
4-4.経営リスクへの対策が必要
不動産投資にはさまざまな経営リスクがありますが、特に注意すべきなのが「空室リスク」と「滞納リスク」です。どちらも家賃収入が途絶える原因となり、不労所得の仕組み自体に支障をきたす可能性があります。
4-4-1.【対策】
空室リスクへの対策としては、投資を始める前の物件選びが重要になります。具体的には、人口が多く賃貸需要の高いエリアで、駅から近い、築年数が比較的新しい、間取りがニーズに合っているなど、入居者にとって魅力的な物件を選ぶことが大切です。こうした物件は購入価格が割高になることもありますが、その分、空室期間を短く抑えられ、家賃を下げる必要も少なくなります。
滞納リスクに対しては、入居者の審査を厳格に行い、職業や収入、過去の滞納履歴などをしっかり確認することが必要です。また、連帯保証人を設定するか、家賃保証会社の利用を義務付けることで、万が一、家賃の滞納が発生した場合でも、影響を最小限に抑えることができます。
不動産投資による不労所得は、入居者が家賃を滞りなく支払うことが前提となります。そのため、適切なアドバイスができる不動産会社を選び、物件選定や管理をサポートしてもらうことも、安定した運用のためには欠かせません。
5.不動産を使って不労所得を得るために押さえておくべき3つのこと
不労所得とは、労働による対価ではなく、資産から継続的に得られる収入のことを指します。不動産投資においては、購入した物件を賃貸に出し、入居者からの家賃収入を得ることで不労所得が実現します。ただし、適切な物件選びや管理が必要であり、完全に手放しで収入が入るわけではありません。
この前提のもと、不動産投資で安定した不労所得を得るために、押さえておくべき3つの重要なポイントを解説します。
- 不労所得で欲しい金額をハッキリさせる
- 準備をしっかり整える
- 良質な不動産会社を探し出す10のチェックポイント
5-1.不労所得で欲しい金額をハッキリさせる
まず、自分がどれくらいの不労所得を得たいのかを明確にしましょう。そのためには、ライフプランをしっかり立てることが重要です。例えば、サラリーマンを続けながら定年後の年金の補填として活用したいのであれば、月10万円程度の不労所得があれば十分かもしれません。
一方で、50歳くらいで早期退職し、自由にお金と時間を使いたい場合は、生活費・活動費・将来の蓄えを含めた金額が必要になります。このような生き方は「セミリタイア」や「FIRE」と呼ばれ、働かなくても生活費をまかなえるだけの資産や不労所得がなければ実現できません。
ベストセラーになった「FIRE」によれば、年間生活費の25倍以上の準備資金がないと、働かない状態で長期間生活を続けるのは難しいとされています。例えば年間の生活費が400万円であれば、400×25=1億円の準備が必要です。FIREの概念はアメリカのミレニアル世代向けのライフプランを前提としたものであり、日本ではそのまま適用できるわけではありません。しかし、不労所得の考え方や資産形成の視点として、参考にする価値はあります。
5-2.準備をしっかり整える
不動産投資は、いつでもスタートできます。そして、スタートの時期によって結果が大きく変わることはあまりありません。なぜなら、不動産投資は長期的に資産を拡大していく投資方法であり、1年や2年の違いが大きな影響を与えるケースは少ないからです。
そのため、不労所得を得るために不動産投資を始めようと考えたら、焦らずに半年から1年ほどかけて、しっかりと準備を整えることが大切です。準備には、情報収集、不動産会社選び、物件の比較、経営シミュレーション、ライフプランの作成などが含まれます。
特にライフプランの作成には十分な時間をかけましょう。これからの人生で必要になる資金、万が一の備え、家族構成の変化に伴う支出、老後の生活費などを想定し、将来の設計を行います。これにより、不動産投資でどのような物件を選び、どれくらいの規模で運用するべきかが明確になります。
また、不動産投資に関する知識を深めることも重要です。書籍やネット記事、動画など複数のメディアを活用し、セミナーにも積極的に参加しましょう。対面で相談できる機会があれば、信頼できる不動産会社を見極めるのにも役立ちます。
こうした準備をしっかりと進めることで、不労所得を得るための基盤が整います。この期間に得た知識や人脈は、将来的に安定した収益を生み出すための大きな支えになります。準備には十分な時間をかけ、納得のいく形でスタートを切ることが大切です。
5-3.良質な不動産会社を探し出す10のチェックポイント
良質な不動産会社をパートナーにできると、不動産投資は非常にスムーズに進められます。不動産業界には実績のある優良な会社もあれば、そうでない会社も存在するため、慎重に見極めることが大切です。
良質な会社には、以下のような10の特徴があります。全部そろっていれば理想ですが、そういう会社は少ないといえます。そのため、不動産会社選びで迷った際は、次の10項目で優先順位をつけていくと、自然と良質な会社がわかってきます。
- 社歴・業歴
社歴は長いほうが望ましく、特に10年以上の経営実績があれば、多くの投資家に信頼されてきた証といえます。 - 社員数
社員の数は多いほうが、会社としての信頼度は高くなります。少数精鋭の会社でも、1人社長ではなく、複数の従業員がいるところを選ぶようにしてください。 - 管理実績
不動産会社が賃貸管理もしている場合、管理実績が多い会社を選んでください。賃貸管理の数が多いということは、販売だけではなく、その後の経営状態にも責任をもってくれる可能性が高くなります。目安として、累積で5,000件以上、理想は1万件です。 - ネットの評判
会社名を入れて評判やレビューを読んでみてください。良い内容は、広告レビューである可能性も高いため、参考程度にします。不動産投資に関した悪質な内容が書かれている会社は、真偽に関係なく、すぐに候補から外してください。 - 取引金融機関
取引先の金融機関が多い会社は、投資家にとって有利な融資条件を提案できる可能性があります。会社のホームページに「取引先金融機関」が掲載されているか確認してみましょう。 - 専門家の有無
自社または委託で、税理士や弁護士などの専門家との提携があるかをチェックしてください。なくても問題はありませんが、何か確認したいことがあるときには、自分で専門家を探す必要があります。 - 自社物件の有無
仲介のみの会社よりも、自社で物件を所有・販売している会社のほうが、物件に対する責任感が強い傾向があります。仲介のみの会社は、仲介手数料が発生するほか、物件の状態を購入前に確認しづらい場合があるため注意が必要です。 - エリア情報
自分が住んでいる場所から離れたエリアで不動産投資をする場合、不動産会社がエリア情報に詳しくないと、物件の良しあしを投資家が判断できません。すべての物件に精通している必要はありませんが、「ここはどんな感じですか」と聞いたときに、初心者向けにわかりやすく解説できるくらいの、おおまかなエリア情報を持っている会社のほうが、頼りにできます。 - 相談会
投資に関する相談を気軽にできる会社かどうかもチェックしましょう。有料・無料にかかわらず、相談が必ずしも契約に直結しないような、フラットな対応をしてくれる会社が望ましいです。 - セミナー・講習
不動産投資のセミナーや講習会が多い会社は、スタッフもよく勉強をしているため、アドバイスが的確です。何度でもセミナーや講習会に参加できる、オープンな空気のある会社を選んでください。また、オンラインだけでなく、対面でのセミナーを実施しているかどうかも確認しましょう。実際に参加することで、会社の雰囲気やスタッフの対応を直接確かめることができます。
6.不動産投資で不労所得を得るために大切なこと
不動産を活用して不労所得を得る方法と、そのために押さえておくべきポイントを解説しました。不労所得とは、生活費を稼ぐために毎日働かなくても得られる収入のことですが、その仕組みを構築するためには、適切な準備と行動が必要です。
不動産投資は、サラリーマンをしながらでもスタートできる、不労所得が得られる投資方法です。自分のライフプランに合わせて、必要な不労所得額を自由にデザインできる点で、心理的な負担の少ない投資方法といえます。
まずは、複数のセミナーに参加をして、不動産投資と不労所得の仕組みを理解するところから、スタートしてみてください。