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老後資金はいくらあれば安心?必要な額をシチュエーション別に解説

「人生100年時代」を迎えた今、老後資金の準備は誰にとっても避けられない課題です。公的年金や退職金だけに頼るのでは不十分な時代となり、自ら資産を築く意識と行動が求められています。本記事では、平均的な支出データやシチュエーション別の必要額、具体的な対策までを網羅的に解説します。

老後資金はいくらあれば安心?必要な額をシチュエーション別に解説

目次

1.老後資金を2,000万円以上貯めた方がいい理由

「人生100年時代」という言葉が現実味を帯びる現代日本において、老後資金の準備はもはや他人事ではありません。かつての日本社会は、手厚い企業福祉と安定した公的年金制度により、老後の生活が保障されると考えられていました。しかし、社会構造や経済状況は大きく変化し、私たち自身が主体的に老後に備える必要性が急速に高まっています。

少子高齢化は加速し、平均寿命は延び続ける一方で、公的年金制度の持続可能性や給付水準には不安の声が聞かれます。また、終身雇用制度の形骸化とともに、退職金制度を持たない企業も増えつつあり、企業からの手厚い給付を期待することも難しくなってきました。

さらに、物価上昇、いわゆるインフレのリスクも無視できません。これらの要因が複雑に絡み合い、私たちの老後生活への経済的な備えを「待ったなし」の状況にしているのです。ここでは、こうした日本の現状と将来予測を踏まえ、なぜ今、老後資金の準備がこれほどまでに重要なのかを深掘りしていきます。

1-1.高齢化と長寿化。人生100年時代の到来

日本が直面している最も大きな社会変化の一つが、急速な高齢化と長寿化です。総務省統計局のデータによると、日本の総人口は平成20年(2008年)をピークに減少に転じ、65歳以上人口の割合(高齢化率)は上昇を続けています。内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によれば、2023年時点で日本の高齢化率は29.1%に達し、世界で最も高い水準です。

平均寿命も著しく延びており、厚生労働省のデータでは、令和2年(2020年)には女性87.71歳、男性81.56歳となりました。さらに2040年には女性89.63歳、男性83.27歳に達すると予測されています。まさに「人生100年時代」が到来しつつあるのです。

しかし、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を示す「健康寿命」との間には、2020年時点で女性で約12年、男性で約9年の差があります。この期間は医療や介護が必要になる可能性があり、経済的な負担も考慮しなければなりません。長生きは喜ばしいことである一方、それに伴う経済的、健康的な備えの重要性が増しているのです。

参考:
総務省統計局「統計が語る平成のあゆみ」
内閣府「令和6年版高齢社会白書」
厚生労働省「平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容」

1-2.公的年金制度の現状と「老後2000万円問題」

老後の生活を支える柱の一つである公的年金制度ですが、その現状と将来については多くの方が不安を抱いているのではないでしょうか。少子高齢化の進行により、年金制度の支え手である現役世代が減少し、受給者が増加するという構造的な課題に直面しています。

厚生労働省の財政検証によると、現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合を示す「所得代替率」は、令和6年度(2024年度)で61.2%ですが、将来的には低下が見込まれています。例えば、経済成長が一定程度進む「成長型経済移行・継続ケース」でも、最終的な所得代替率は57.6%と予測されています。

この給付水準の調整には、「マクロ経済スライド」という仕組みが関係しており、賃金や物価の伸びほどには年金額が伸びないように調整されるため、実質的な価値が目減りする可能性も指摘されています。

こうした状況の中、2019年には金融庁のワーキング・グループ報告書を発端としたいわゆる「老後2000万円問題」が大きな話題となりました。これは、高齢夫婦無職世帯が公的年金以外に約2000万円の金融資産が必要になるという試算でしたが、あくまで平均的なモデルケースであり、個々の状況によって必要額は大きく異なります。しかし、この問題提起により、多くの国民が老後資金について真剣に考えるきっかけとなったと言えるでしょう。

1-3.退職金制度廃止の動き

老後資金のもう一つの大きな柱と言えるのが退職金ですが、そのあり方も変化しています。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業は74.9%ですが、裏を返せば約4社に1社は退職金制度がないということになります。平成30年には退職給付(一時金・年金)制度がある企業は80.5%でしたので、5年間で5%以上減少しています。

特に企業規模が小さいほどその割合は高くなる傾向にあり、従業員30~99人の企業では29.5%が制度なしと回答しています。

また、退職金制度がある企業においても、その内容は変化しています。従来主流だった企業が給付額を約束する「確定給付企業年金(DB)」から、従業員自身が運用リスクを負う「確定拠出年金(DC)」へ移行する企業が増えています。

企業年金がある企業の割合は減少傾向にあり、退職一時金のみの企業が増加、全体として退職給付水準も低下傾向にあると指摘されています。こうした動きは、企業に頼るだけでなく、個人が主体的に老後資金を準備する必要性をより一層高めていると言えるでしょう。

参考:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 3退職給付(一時金・年金)制度」

1-4.インフレが老後に与える影響

老後資金を考える上で、見過ごせないのがインフレ(物価上昇)のリスクです。現在の低金利環境下では、預貯金だけで資産を保有していると、インフレによって実質的な価値が目減りしてしまう可能性があります。例えば、年間2%のインフレが続けば、20年後には現在の100万円の価値が約67万円にまで減少してしまう計算になります。

インフレが老後に与える影響

老後生活は何十年と続くため、このインフレリスクは非常に重要です。第一生命経済研究所のレポートでは、長期的なインフレ率を2%と仮定した場合でも、高齢夫婦無職世帯が必要とする追加資金は約1,200万円程度に縮小するものの、依然として大きな金額が必要であるとの試算も出ています。

このインフレリスクに対応するためには、現預金だけでなく、株式や投資信託といった価格変動リスクのある資産も組み入れ、資産全体でインフレに負けない運用を目指すことが大切です。NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用しながら、長期的な視点で資産形成に取り組むことが、インフレ時代における有効な対策の一つと言えるでしょう。

参考:第一生命研究所「老後資金4000万円必要」に対する誤解

2.あなたの老後資金はいくら必要?状況別に試算

老後の生活設計を考える上で、まず把握しておきたいのが「一体いくら必要なのか?」という具体的な金額です。しかし、この問いに対する答えは一つではありません。家族構成、住まいの状況、そして老後にどのような生活を送りたいかによって、必要な資金額は大きく変わってきます。

ここでは、いくつかの代表的なケース別に、老後の生活費や収入の目安、そして考慮すべき支出について見ていきましょう。

2-1.単身世帯(独身)の平均的な老後の収入と支出

まず、一人で暮らす場合の老後の生活費と収入について見ていきましょう。総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の1ヶ月間の家計収支は以下のようになっています 。

単身世帯の老後の収入と支出
費目 金額(円) 構成比 (%)
実収入 134,116 100
うち社会保障給付 121,629 90.7
可処分所得 121,469
消費支出 149,286 100
食料 42,085 28.2
住居 12,693 8.5
光熱・水道 14,490 9.7
家具・家事用品 6,596 4.4
被服及び履物 3,385 2.3
保健医療 8,640 5.8
交通・通信 14,935 10
教養娯楽 15,492 10.4
その他の消費支出 30,956 20.7
非消費支出(税・社会保険料など) 12,647
実支出合計(消費支出+非消費支出) 161,933
不足額(実収入 – 実支出合計) -27,817

出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」

このデータを見ると、平均的な単身高齢無職世帯では、毎月約2.8万円の赤字が出ていることがわかります。収入の約9割を社会保障給付(主に公的年金)が占めていますが、それだけでは生活費を賄いきれていない状況です。特に食費や光熱・水道、交通・通信費などが支出の多くを占めています。もちろん、これはあくまで平均値であり、個人のライフスタイルや健康状態によって支出は大きく変動します。

この毎月の不足額が、老後生活の期間全体でどれくらいの総額になるのか、いくつかのケースで試算してみましょう。ここでは、65歳からそれぞれの年齢まで生存すると仮定して計算します。

単身世帯における老後期間別推計不足総額
老後期間 生存年数(年) 月額不足額(円) 推計不足総額(万円)
平均寿命まで(男性:81.56歳) 16.56 27,817 約552
平均寿命まで(女性:87.71歳) 22.71 27,817 約759
90歳まで 25 27,817 約835
100歳まで 35 27,817 約1,168

出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」及び厚生労働省「令和2年簡易生命表」をもとに作成

平均寿命まで生きると仮定した場合でも、男性で約552万円、女性で約759万円の不足が見込まれます。もし100歳まで生きるとすれば、その不足額は約1,168万円にもなります。これはあくまで平均的なデータに基づく試算であり、個々人の状況によって大きく変動することにご留意ください。

2-2.夫婦2人世帯の平均的な老後の生活費と収入

次に、夫婦二人で暮らす場合の老後の生活費と収入を見てみましょう。同じく総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の1ヶ月間の家計収支は以下の通りです。

夫婦2人世帯の老後の収入と支出
費目 金額(円) 構成比 (%)
実収入 252,818 100
うち社会保障給付 225,182 89.1
可処分所得 222,462
消費支出 256,521 100
食料 76,352 29.8
住居 16,432 6.4
光熱・水道 21,919 8.5
家具・家事用品 12,265 4.8
被服及び履物 5,590 2.2
保健医療 18,383 7.2
交通・通信 27,768 10.8
教養娯楽 25,377 9.9
その他の消費支出 52,433 20.4
非消費支出(税・社会保険料など) 30,356
実支出合計(消費支出+非消費支出) 286,877
不足額(実収入 – 実支出合計) -34,059

出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」

夫婦2人世帯の場合、毎月の不足額は約3.4万円となっています。単身世帯と同様に、収入の大部分を社会保障給付が占めていますが、支出全体をカバーするには至っていません。生命保険文化センターの調査(平成30年度)では、「ゆとりある老後生活費」として月額平均36.1万円という数字も示されており、どのような生活水準を目指すかによって必要な金額はさらに変わってきます。

この毎月の不足額が、老後生活の期間全体でどれくらいの総額になるのか、いくつかのケースで試算してみましょう。ここでは、夫婦のどちらか一方がそれぞれの年齢まで生存すると仮定して計算します(実際には夫婦の年齢差や同時に生存する期間などを考慮する必要がありますが、ここでは簡略化しています)。

夫婦2人世帯における老後期間別 推計不足総額
老後期間 生存年数(年) 月額不足額(円) 推計不足総額(万円)
平均寿命まで(男性:81.56歳) 16.56 34,059 約676
平均寿命まで(女性:87.71歳) 22.71 34,059 約929
90歳まで 25 34,059 約1,022
100歳まで 35 34,059 約1,430

出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」及び厚生労働省「令和2年簡易生命表」をもとに作成

夫婦の場合、平均寿命まで(例えば夫の平均寿命で計算)でも約676万円、もし100歳まで長生きすると仮定すれば、不足額は約1,430万円にも上ります。これらの金額は、公的年金だけでは賄えない部分であり、自助努力による準備の必要性を示しています。

2-3.持ち家と賃貸の差

老後の住居費は、生活費全体に大きな影響を与える要素の一つです。持ち家か賃貸かによって、毎月の支出は大きく異なります。

総務省の家計調査における高齢者無職世帯の平均住居費は、単身世帯で約1.3万円、夫婦世帯で約1.6万円と比較的低く抑えられています。これは、高齢者世帯の持ち家率が高い(約6割以上とのデータもあります)ため、住宅ローンを完済していれば、主な住居関連費用は固定資産税、都市計画税、火災保険料、そして将来の修繕費に限られるためと考えられます。

一方、賃貸住宅に住み続ける場合は、毎月の家賃が発生します。国土交通省の調査などによると、都市部であれば月額5万円から10万円以上の家賃がかかることも珍しくありません。この家賃負担は、老後の家計にとって大きな固定費となります。

持ち家であっても安心はできません。経年劣化による修繕費は避けられず、外壁塗装や水回り設備の交換など、大規模な修繕には数百万円単位の費用がかかることもあります。内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、60歳以上の約3割が住み替えの意向を持っており、その理由として健康面の不安や現在の住宅の住みづらさを挙げています。持ち家を売却してサービス付き高齢者向け住宅に移る、あるいはコンパクトな住まいにダウンサイジングするといった選択も、老後の住まい戦略として考えられますが、これらにも一時的な費用やその後の月額費用が発生します。

出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書 第3節 高齢者の住宅と生活環境にめぐる動向について」

2-4.医療・介護など老後の臨時支出

平均寿命が延びるにつれて、医療費や介護費への備えの重要性はますます高まっています。これらの費用は個人差が大きく、予測が難しいものですが、ある程度の目安を把握しておくことは大切です。

厚生労働省のデータによると、生涯にかかる医療費のうち半分以上が65歳以上でかかると言われています。一般的な所得の方が65歳から平均寿命まで(男性81.56歳、女性87.71歳と仮定)に支払う医療費の自己負担額(窓口負担1~3割)は、男性で約176万円、女性で約191万円との試算があります。ただし、これはあくまで平均であり、大きな病気や手術をすれば、高額療養費制度を利用しても一時的に大きな出費となる可能性があります。

介護費用については、生命保険文化センターの調査(2021年度)によると、介護にかかった一時的な費用(住宅改修や介護用ベッド購入など)の平均は74万円、月々の介護費用の平均は8.3万円でした。また、平均的な介護期間は約4年7ヶ月というデータもあり、単純計算すると介護費用の総額は500万円を超える可能性も考えられます。在宅介護か施設介護かによっても費用は大きく異なり、施設介護の場合は月額12万円以上かかることもあります。

健康寿命と平均寿命の間には、2020年時点で男性約9年、女性約12年の差があり、この期間は医療や介護が必要になる可能性が高い期間と言えます。これらの費用は公的保険でカバーされる部分もありますが、自己負担分だけでも数百万円単位の準備が必要になることを念頭に置いておきましょう。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」

3.年金受給額を確認する方法

将来の生活を支える大切な年金。自分が一体いくら受け取れるのか、きちんと把握していますか?
年金制度は複雑で分かりにくいと感じる方も多いかもしれませんが、自身の受給額を確認する方法はいくつかあります。ここでは、代表的な確認方法と、その際に注意すべきポイントを分かりやすく解説します。

3-1.「ねんきん定期便」の正しい見方と詳細なチェックポイント

毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」は、自身の年金記録を手軽に確認できる重要な書類です。ハガキ形式または封書形式で届き、年齢によって記載内容が異なります。

最低限確認したいのは、「これまでの保険料納付額(累計額)」や「これまでの年金加入期間」です。特に、直近1年間の「月別の納付状況」に「未納」や空欄がないか、加入区分(国民年金、厚生年金など)に誤りがないかは必ずチェックしましょう。50歳未満の方には「これまでの加入実績に応じた年金額」が、50歳以上の方にはより具体的な「老齢年金の種類と見込額」が記載されています。ただし、記載されている年金額はあくまで現時点での見込み額であり、将来の加入状況によって変動する点に注意が必要です。

3-2.「ねんきんネット」の便利な登録方法と効果的な活用術

「ねんきんネット」は、インターネットを通じて24時間いつでも自身の年金記録を確認できる便利なサービスです。郵送される「ねんきん定期便」の内容に加え、最新の年金記録の確認や将来の年金見込額の試算などが可能です。

登録は、日本年金機構のウェブサイトから行います。「ねんきん定期便」に記載されているアクセスキーがあれば、比較的スムーズにユーザーIDを取得できます。アクセスキーがない場合や有効期限が切れている場合でも、基礎年金番号などを使って登録申請ができ、後日郵送でユーザーIDが送られてきます。また、マイナンバーカードを持っている方は、マイナポータル経由でも「ねんきんネット」にアクセスできます。電子版「ねんきん定期便」も利用でき、過去の記録も確認しやすいのがメリットです。

3-3.年金記録の漏れや誤りを発見した場合の対処法と相談窓口

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自身の年金記録を確認した際に、「加入期間が実際より短い」「納付したはずなのに未納になっている」といった漏れや誤りを発見することがあります。このような場合は、放置せずに速やかに対応することが重要です。

年金記録の訂正は、原則として自己申告によって行われます。まずは、近くの年金事務所の窓口に相談しましょう。年金事務所では、記録の確認や訂正手続きについて案内してくれます。訂正請求には、「年金記録訂正請求書」や本人確認書類、状況を説明できる資料などが必要になる場合があります。厚生労働省に対して年金記録の訂正請求を行う制度もあり、こちらも年金事務所が受付窓口となります。

3-4.働き方(自営業・会社員・パート等)による年金制度の違いと受給額への影響

日本の公的年金制度は、働き方によって加入する制度や保険料の納付方法が異なり、それが将来受け取る年金額にも影響します。

自営業者やフリーランス、学生などは「国民年金(第1号被保険者)」に加入し、自身で保険料を納付します。一方、会社員や公務員は「厚生年金」に加入し、保険料は給与から天引きされ、事業主も負担します(第2号被保険者)。厚生年金に加入していると、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして老齢厚生年金が支給されるため、一般的に受給額は国民年金のみの場合より多くなります。

パートタイムで働く方も、一定の条件(週の所定労働時間、月額賃金、勤務期間の見込み、企業規模など)を満たせば厚生年金に加入することになります。厚生年金への加入期間が長くなるほど、将来の年金受給額も増えるため、自身の働き方と年金制度の関係を理解しておくことが大切です。

4.【年代別】いつから何を始めるべき?老後資金準備の具体的なロードマップ

老後資金の準備は、一朝一夕にできるものではありません。年代ごとに収入やライフステージ、そして残された時間が異なるため、それぞれに適した戦略を立てて着実に実行していくことが大切です。20代から60代以降まで、各年代で「いつから、何を始めるべきか」という具体的なロードマップを描き、将来の安心につなげましょう。ここでは、それぞれの年代で意識したいポイントと具体的な行動指針をご紹介します。

年代別老後資金準備のロードマップ

4-1.20代・30代の老後資金準備:時間を最大限に活かす戦略

20代・30代の最大の強みは、なんといっても「時間」です。この時期から始める老後資金準備は、長期的な視点での資産形成が可能となり、複利の効果を最大限に享受できます。

まずは少額からでも、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を活用した積立投資を始めることを検討しましょう。毎月コツコツと積み立てることで、将来的に大きな資産へと成長する可能性があります。企業にお勤めの方は、企業型確定拠出年金制度があれば、その活用も積極的に考えたいところです。

この年代は、キャリアアップのための自己投資や、結婚、出産、住宅購入といったライフイベントも多い時期です。そのため、教育資金や住宅ローンなど、他の大きな支出とのバランスを考えながら、無理のない範囲で老後資金の準備を進めることが重要です。まずは家計簿をつけるなどして収支を把握し、将来に向けた貯蓄・投資の習慣を身につけることから始めましょう。

4-2.40代の老後資金準備:家計と資産のバランス最適化戦略

40代は、多くの場合、収入が安定し、社会的にも責任ある立場になる一方、子どもの教育費や住宅ローンなど、家計における支出もピークを迎える時期です。老後資金準備の重要性を認識しつつも、日々の支出とのバランスに悩む方も多いかもしれません。

この年代では、まず家計全体を見直し、無駄な支出を削減することが大切です。その上で、これまで以上に計画的に老後資金の積立額を増やしていくことを目指しましょう。NISAやiDeCoといった税制優遇制度は引き続き積極的に活用し、可能であれば積立額の増額も検討します。

また、健康リスクへの備えも重要になってきます。万が一の病気やケガに備えて医療保険や就業不能保険などを見直すとともに、自身の資産状況を把握し、リスク許容度に合わせた資産配分の見直し(ポートフォリオの最適化)も検討する良いタイミングです。住宅ローンや教育費といった大きな支出と、老後資金準備をいかに両立させるか、具体的な計画を立てることが求められます。

4-3.50代の老後資金準備:退職を見据えたラストスパート戦略

50代は、退職が現実的な視野に入ってくる年代であり、老後資金準備の「ラストスパート」とも言える重要な時期です。これまでの準備状況を具体的に把握し、目標額との差額を確認することが最初のステップとなります。

まずは、退職後の収入(公的年金の見込額、企業年金など)と、想定される支出(生活費、医療費、介護費など)を具体的にシミュレーションしてみましょう。その上で、不足が見込まれる場合は、退職までの期間でどのように補っていくか計画を立てます。例えば、毎月の積立額を増やす、より安定的な運用に切り替える、あるいは退職金の運用方法を検討するなど、具体的な対策が必要です。

この時期の資産運用は、大きなリターンを狙うよりも、これまでに築いた資産を「守りながら増やす」という視点が重要になります。リスク許容度に合わせて、預貯金や個人向け国債といった比較的安全性の高い資産の割合を増やすなど、ポートフォリオの見直しを行いましょう。また、公的年金の受け取り方(繰り上げ・繰り下げ)についても情報収集を始め、自身のライフプランに合った選択ができるように準備しておくことが大切です。

4-4.おひとりさまの老後資金を今から確実に増やす4大対策

おひとりさまの老後生活において年金だけでは生活費が足りない場合、預貯金などで老後の生活費をカバーできるようにしておく必要があります。

毎月の生活費に必要な金額は、人によって違いがあります。おひとりさまでも、マイホームを持っている方と、賃貸で暮らしてきた方は、定年後の住居費に大きな違いが生じます。

また、長く続くシニアライフを、何もしないでジーっと座って暮らしているというわけにもいきません。事情が許す範囲での趣味やレジャー、交友関係などで人生を彩るためには、それなりにお金が必要になってきます。

そのためには、預貯金だけではなく、年を取ってからも、年金以外で安定的に収入(お金)が入ってくる仕組みを作っておく必要があります。本章では、年金以外の方法で長いシニアライフに収入をもたらす方法についてまとめています。

4-5.60代以降の老後資金管理:賢い取り崩し方と資産寿命の延ばし方

60代以降は、いよいよ積み立ててきた老後資金を実際に活用していくステージに入ります。大切なのは、資産を計画的に取り崩し、「資産寿命」をできるだけ延ばすことです。

まず考えたいのが、公的年金の受給開始時期です。受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を選択すると、毎月の受給額を増やすことができます。健康状態や他の収入源などを考慮し、最適な受給開始時期を検討しましょう。

資産の取り崩し方には、毎月一定額を取り崩す「定額取り崩し」と、毎月一定割合を取り崩す「定率取り崩し」などがあります。定額取り崩しは生活費の計画が立てやすいメリットがありますが、資産の減りが早くなる可能性があります。一方、定率取り崩しは資産寿命を延ばしやすいですが、毎月の受取額が変動します。ご自身の状況に合わせて、専門家にも相談しながら最適な方法を選びましょう。

また、可能であれば、一部の資産は低リスクで運用を継続することも、資産寿命を延ばす有効な手段です。生活費の見直しや固定費の削減も引き続き重要です。さらに、この年代になると相続も現実的な課題となってくるため、生前贈与など、早めの相続対策も検討しておくとよいでしょう。

5.老後資金を効果的に増やす・守るための具体的な方法6選

老後資金は、単身か夫婦か、持ち家か賃貸かなど個人の状況で大きく異なります。公的年金に加えて、生活水準や健康状態に応じた資金準備が重要です。人生100年時代を見据え、早いうちからNISAやiDeCoなどを活用した計画的な資産形成と、年金の繰り下げ受給なども検討し、老後に備えましょう。

老後資金を効果的に増やす・守るための具体的な方法

5-1.公的年金繰り下げで受給額増額

繰下げ受給とは、65歳よりも遅い時期から年金を受け取り始めることを指します。繰下げ受給を選択することで、年金の受給額を増やすことができます。これは、年金を繰下げている期間に応じて、増額された年金が生涯にわたって支給される仕組みです。

増額率は、繰下げた期間に応じて計算されます。具体的には、1ヶ月繰下げるごとに0.7%の増額率が適用されます。この増額率は、以下の計算式で算出できます。

0.7% × (65歳に達した月の翌月から繰下げ請求月の前月までの月数) = 増額率

この増額された年金額は、一度決定すると生涯変わることはありません。

出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

【繰り下げ受給の具体例】

以下に、年金の受給開始を5年遅らせるケースと10年遅らせるケースについて、具体的な増額率と年金額の例を示します。5年遅らせるケース(70歳から受給開始)

  • 繰下げ月数: 5年 × 12ヶ月 = 60ヶ月
  • 増額率: 0.7% × 60ヶ月 = 42%

例えば、満額の老齢基礎年金(令和6年度で年額795,020円)の場合

  • 増額される金額: 795,020円 × 42% = 333,908円
  • 70歳からの年金額(年額): 795,020円 + 333,908円 = 1,128,928円
  • 1ヶ月あたりの年金額: 1,128,928円 ÷ 12ヶ月 = 約94,077円

つまり、65歳から受給する場合と比較して、年間の受給額が約33万円増加し、月額では約2万8千円増加することになります。10年遅らせるケース(75歳から受給開始)

  • 繰下げ月数: 10年 × 12ヶ月 = 120ヶ月
  • 増額率: 0.7% × 120ヶ月 = 84%

同じく満額の老齢基礎年金(令和6年度で年額795,020円)の場合

  • 増額される金額: 795,020円 × 84% = 667,816.8円
  • 75歳からの年金額(年額): 795,020円 + 667,816.8円 = 1,462,836.8円
  • 1ヶ月あたりの年金額: 1,462,836.8円 ÷ 12ヶ月 = 約121,903円

この場合、65歳から受給する場合と比較して、年間の受給額が約67万円増加し、月額では約4万2千円増加することになります。

【繰り下げ受給の注意点】

  • 繰下げ受給を選択した場合、その期間中は年金を受け取ることができません。
  • 繰下げ中に亡くなった場合、遺族一時金が支給される場合がありますが、繰下げによる増額分は反映されません。
  • 加給年金や振替加算などの加算額も、繰下げによって増額される場合があります。詳細は日本年金機構に確認しましょう。
  • 自身の年金見込額は、日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。

5-2.iDeCo(イデコ):老後資金準備の強力な味方

iDeCoは、公的年金に上乗せして自助努力で老後資金を形成するための私的年金制度です。加入者が自ら掛け金を拠出し、運用方法を選び、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取ります。

iDeCo最大の魅力は、その税制優遇措置です。掛け金は全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税が軽減されます。運用益も非課税で再投資されるため、効率的な資産形成が期待できます。受け取り時にも、退職所得控除や公的年金等控除といった税制優遇があります。

運用商品は、預貯金、投資信託、保険など多岐にわたり、リスク許容度や目標に合わせて選択可能です。ただし、原則として60歳まで引き出しができない点、運用成績によっては元本割れのリスクがある点には注意が必要です。

自身の働き方や加入状況によって掛け金の上限額が異なるため、事前に確認が必要です。将来のゆとりある生活のために、早めの加入と長期的な視点での運用が推奨されます。

5-3.NISA:柔軟な非課税投資で資産形成

NISA(少額投資非課税制度)は、一定金額までの金融商品への投資から得られる利益が非課税になる制度です。2024年からは「新NISA」として制度が拡充され、年間投資枠と非課税保有限度額が大幅に増加し、より長期的な資産形成に適した制度となりました。

新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類の投資枠が設けられ、併用が可能です。つみたて投資枠は、毎月コツコツと積立投資を行うのに適しており、年間120万円まで投資できます。成長投資枠は、個別株や投資信託など、より多様な金融商品への投資が可能で、年間240万円まで投資できます。非課税保有期間は無期限となり、長期的な視点でじっくりと資産を育てることができます。

iDeCoと異なり、NISAは原則としていつでも換金が可能であるため、ライフプランの変化に合わせて柔軟に対応できます。ただし、非課税となるのは投資によって得た利益のみであり、元本は保証されません。

NISAは、少額からでも始めやすく、投資初心者にも取り組みやすい制度です。税制優遇を活用しながら、自身の目標やリスク許容度に合わせて、積極的に資産形成に取り組むことが推奨されます。

5-4.不動産投資

老後資金を準備する上で、不動産投資は有効な手段の一つです。人に貸すことを前提にマンションなどの物件を購入し、賃貸収入を得ることで、年金に上乗せする安定収入が期待できます。例えば、35歳で区分マンションを購入し、30年間のローンを組み、65歳で完済した場合、以降は家賃収入がそのまま老後資金となります。仮に家賃収入が月8万円であれば、年間96万円の収入となり、老後の生活を大きく支える柱となるでしょう。

不動産投資のメリットは、現物資産であるためインフレに強く、ローン完済後は安定した収入が見込める点です。また、所得税や住民税の節税効果も期待できます。さらに、物件によっては将来的な価値上昇も見込める可能性があります。

しかし、不動産投資には注意点もあります。空室リスクや家賃滞納リスク、物件の老朽化による修繕費、固定資産税などの維持費が発生します。また、金利変動リスクや不動産価格の下落リスクも考慮する必要があります。流動性が低い点もデメリットと言えるでしょう。

成功のためには、入居者の需要が見込めるエリアや物件を選ぶことが重要です。また、信頼できる不動産会社を選び、ローンの返済計画やリスク管理をしっかりと行う必要があります。初期費用として物件価格の数割程度の自己資金が必要となる点も留意しておきましょう。不動産投資は長期的な視点で検討し、専門家にも相談しながら慎重に進めることが大切です。

5-5.国民年金基金

国民年金基金は、国民年金に上乗せして老後の備えを強化する公的な年金制度です。国民年金だけでは不足すると考える自営業者やフリーランスなどが加入でき、支払っ支払った掛け金は全額所得控除の対象となります。

積み立てられた掛け金は、将来、年金として受け取ることが可能です。掛け金は加入者自身の所得状況に合わせて自由に設定できる点が大きな特徴であり、厚生年金に加入できない働き方をしている人々にとって、より手厚い老後保障を準備するための有効な手段となります。自身の収入に応じて無理なく掛け金を設定し、計画的に老後資金を準備することで、国民年金のみでは不足する可能性のある老後の生活を、より安心して送ることができるようになります。加入を検討する際には、自身の将来設計や経済状況を考慮し、国民年金基金の制度内容を十分に理解することが重要です。

5-6.家があるならリバースモーゲージを視野に入れる

リバースモーゲージは、自宅を担保に生活資金を借り入れ、住み続けられる高齢者向けのローンです。

メリットは、毎月の返済は利息のみで、元金は死亡後に自宅売却によって一括返済されるため、手元資金が少ない高齢者でも生活資金を確保できる点です。住み慣れた家に住み続けられる安心感も大きいです。また、資金使途が自由な場合が多く、介護費用や趣味などに活用できます。

一方、注意点として、金利変動リスクがあります。変動金利型が一般的で、金利が上昇すると利息負担が増加します。また、不動産価値の下落リスクも考慮が必要です。担保評価額が下がると、借入可能額が減ったり、契約によっては一括返済を求められる可能性もゼロではありません。さらに、手数料や諸費用がかかる点、相続時に自宅を残せない可能性がある点も理解しておく必要があります。契約内容を確認し、慎重な検討が重要です。

6.無理なく継続できる!老後に向けて生活費を賢く抑える方法

老後資金の準備というと、どうしても「いくら貯めるか」「どうやって増やすか」という点に目が行きがちです。しかし、それと同じくらい大切なのが、日々の生活費を賢くコントロールし、無理なく支出を抑えることです。支出を抑えることができれば、必要な老後資金額も変わってきますし、何よりもゆとりある生活につながります。ここでは、今日から始められる生活費節約の具体的な方法を紹介します。

6-1.固定費(住居費・保険料・通信費・サブスク等)の徹底的な見直し術

毎月決まって出ていく固定費は、一度見直すだけでその効果が長く続くため、節約の第一歩として非常に効果的です。

住居費

持ち家の方は住宅ローンの借り換えを検討したり、賃貸の方はより家賃の安い物件への住み替えを考えてみましょう。特に子どもが独立した後は、夫婦2人に適したコンパクトな住まいにダウンサイジングするのも有効です。

保険料

加入している生命保険や医療保険の内容を定期的に確認し、現在のライフステージに合っているか、保障内容が過剰でないかを見直しましょう。不要な特約を解約したり、より割安な保険に乗り換えたりするだけで、月々の負担を大きく減らせる可能性があります。

通信費

スマートフォンの料金プランは、格安SIMへの乗り換えを検討する価値が大いにあります。また、自宅のインターネット回線や固定電話、新聞なども、本当に必要か、よりお得なプランはないかを見直してみましょう。

サブスクリプションサービス

動画配信や音楽配信など、利用頻度の低いサブスクリプションサービスは解約を検討しましょう。気づかないうちに複数のサービスに加入し、無駄な支出になっているケースも少なくありません。

6-2.食費を効果的に抑える買い物術

食費は日々の工夫で効果的に抑えることができる費目です。

買い物リストの作成と計画的な購入

スーパーに行く前に冷蔵庫の中身を確認し、必要なものだけをリストアップして買い物に行きましょう。これにより、衝動買いや不要な食材の購入を防ぎ、食品ロスも減らせます。

買い物の頻度を減らす

買い物の回数を週に2~3回程度にまとめると、無駄遣いを減らす効果があります。

特売日やプライベートブランドの活用

よく利用するスーパーの特売日を把握し、お得な日にまとめ買いをしたり、比較的安価なプライベートブランド商品を積極的に選んだりするのも賢い方法です。

午前中の買い物:空腹時や疲れている夕方以降の買い物は、つい余計なものを買ってしまいがちです。可能であれば、午前中に買い物を済ませるのがおすすめです。

6-3.医療費・介護費を賢く節約するための知識と行動

高齢期になると医療費や介護費の負担が増える可能性がありますが、利用できる制度を正しく理解し、賢く活用することで、その負担を軽減できます。日頃から知識を蓄え、必要な時に行動できるように準備しておきましょう。

6-3-1.高額療養費制度の活用:医療費の自己負担を抑える

1ヶ月(同月内)の医療費の自己負担額が高額になった場合、年齢や所得に応じて定められた上限額を超えた分が払い戻される制度です。多くの場合、自動的に計算され後日払い戻されますが、事前に「限度額適用認定証」を入手しておくと、医療機関の窓口での支払いが上限額までで済み、一時的な負担を抑えることができます。ご加入の公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の国民健康保険、後期高齢者医療制度など)に問い合わせてみましょう。

6-3-2.世帯分離の検討:介護費用の負担を軽減できる可能性

親の介護費用負担を軽減するために、住民票の世帯を分ける「世帯分離」という方法があります。これにより、介護保険サービスの自己負担上限額(高額介護サービス費の基準)が、分離後の世帯の所得に応じて判定されるため、結果として負担が軽減される場合があります。

ただし、国民健康保険料の算定や、その他の行政サービス(扶養手当、保育料など)に影響が出る可能性もあるため、メリット・デメリットを総合的に比較し、市区町村の窓口や専門家にも相談するなど、慎重な検討が必要です。

6-3-3.扶養控除や医療費控除の活用:税金の負担を軽減

生計を同じくする親族を経済的に支えている場合、一定の条件を満たせば、ご自身の所得税や住民税の計算において「扶養控除」を受けられ、税負担が軽減されます。

また、ご自身や生計を同じくする家族のために支払った年間の医療費が一定額を超える場合には、「医療費控除」を確定申告で申請することで、所得税や住民税の還付または軽減を受けられます。医療費控除の対象には、治療費だけでなく、通院のための交通費(公共交通機関)なども含まれる場合がありますので、領収書はきちんと保管しておきましょう。

6-3-4.医薬品費用の節約:ジェネリック医薬品とセルフメディケーション税制の活用

日常的な医薬品の費用も、工夫次第で節約が可能です。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)の積極的な利用

医師や薬剤師に相談し、新薬(先発医薬品)と同等の品質や効果を持ちながら、より安価なジェネリック医薬品を積極的に利用しましょう。処方箋をもらう際や薬局で、ジェネリック医薬品を希望することを伝えるのがポイントです。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の活用

健康の維持増進や病気の予防のために、対象となる特定の市販薬(スイッチOTC医薬品など)を年間12,000円以上購入した場合、その超えた金額(上限88,000円)について所得控除を受けられる制度です。この制度を利用するには、健康診断や予防接種など「健康のための一定の取組」を行っていることが条件となります。

なお、このセルフメディケーション税制は、前述の「医療費控除」との選択制になっており、どちらか一方しか利用できません。どちらが有利になるかを確認し、確定申告で手続きを行いましょう。対象となる医薬品は、薬局の薬剤師に確認したり、製品パッケージの共通識別マークで確認したりできます。

6-4.趣味・娯楽・交際費も予算内で賢く楽しむアイデア

老後の生活を豊かにするためには趣味や娯楽も大切ですが、予算管理が重要です。

予算を設定し優先順位をつける:まず、趣味や娯楽、交際費に使える月々の予算を決めましょう。そして、何に一番お金を使いたいか優先順位をつけ、予算内で楽しむ工夫をします。

お金のかからない楽しみ方を見つける:公園の散歩や図書館の利用、地域の無料イベントへの参加など、お金をかけずに楽しめる活動もたくさんあります。自宅でできる趣味(読書、ガーデニング、手芸など)も費用を抑えやすいです。

交際範囲の見直し:現役時代とは異なり、無理のない範囲での交際を心がけましょう。時には断る勇気も必要です。

割引制度の活用:シニア割引や自治体の優待制度などを積極的に活用しましょう。

6-5.モノを減らして心も家計もスッキリ!断捨離のすすめ

意外かもしれませんが、断捨離も生活費の節約につながります。

不要なモノの売却

使っていないブランド品や家電、趣味の道具などをフリマアプリやリサイクルショップで売却すれば、臨時収入になります。

無駄遣いの抑制

モノを減らす過程で、過去の無駄遣いに気づき、今後の買い物を慎重にする意識が芽生えます。本当に必要なモノだけを選ぶようになり、結果的に支出が減ります。

管理の手間と費用の削減

モノが少なくなると、収納スペースや管理の手間、維持費用(修理費、クリーニング代など)も削減できます。

精神的なゆとり

スッキリとした空間で暮らすことは、精神的な安定や満足感にもつながり、ストレスによる衝動買いなどを防ぐ効果も期待できます。

これらの方法を参考に、無理なく楽しみながら生活費を賢く抑え、豊かな老後生活を目指しましょう。

7.自分に最適なプランで、計画的かつ前向きに老後資金を準備しよう

老後資金の準備に「正解」はありませんが、早く始め、継続することが何より大切です。収入や家族構成、住まいの形態に応じた最適なプランを描き、自分に合った方法で備えましょう。将来を見据えて、前向きに、そして賢く老後の安心を手に入れることが、いまの私たちにできる最良の選択です。

不動産投資は、長い時間をかけて不動産収入を得るための仕組みを作る方法ですので、20年後、30年後のリタイアメントの時期に向けて今からスタートしても、十分に間に合う、無理のない老後対策です。

はじめての不動産投資には不安がつきものですが、REISMの不動産投資セミナーに参加していただければ、疑問や不安は解消できるため、まずは第一歩を踏み出してみましょう。

8.老後資金準備に関するよくある疑問と回答

Q1.老後資金の準備、何歳から始めるのがベスト?

できるだけ早く始めるのが理想です。20〜30代から少額でも積立を始めることで、時間を味方につけた資産形成が可能となります。複利効果を活かせる期間が長くなるため、早期開始が大きな差を生みます。

Q2.目標額にどうしても届かない場合、どんな対処法がある?

支出の見直しや、年金の繰下げ受給、働く期間の延長などで対処可能です。生活費の固定費削減や、定年後のパート就労など現実的な選択肢を検討しましょう。

Q3.インフレで資産価値が目減りするのが怖い。どう対策すればいい?

現預金に偏らず、インフレに強い資産(株式、投資信託など)を取り入れる分散投資が有効です。NISAやiDeCoといった制度を活用し、長期目線で備えることが大切です。

Q4.夫婦で老後資金を準備する場合の注意点や分担方法は?

夫婦で将来の生活設計を共有し、収入や年金見込額をふまえて役割分担を明確にすることが大切です。共通口座で積立を行うなど、お互いの可視化と連携がポイントになります。

Q5.老後資金について相談できる信頼できる専門家や窓口は?

日本FP協会認定のファイナンシャル・プランナーや、各自治体の無料相談窓口、金融機関のライフプラン相談などが利用できます。中立的な立場の専門家に相談するのが安心です。

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