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投資の基本
【2023年版】初心者におすすめの資産運用法10選と長期運用の大きなメリット
資産運用の重要性、必要性は理解していても、最初の一歩を踏み出すにはさまざまな抵抗があるものです。何から始めればよいのか、失敗して逆にお金を減らしてしまいそうで不安といったように、資産運用に対する疑問や不安は尽きません。しかし、不安ばかり感じていてもお金は増えず、将来や老後への備えも前に進みません。
そこで本記事では、資産運用の初心者、未経験の方々に向けて資産運用の基本とおすすめの運用法10選をお届けします。また、資産運用では長期運用と複利効果が大きなポイントになります。この2点を理解して味方につけると大きな力を発揮するので、これらの基本についても解説します。
1.資産運用とは?
資産運用とは、利益を生む金融資産を保有して資産を増やすことを目的とした経済活動です。フランスの経済学者であるトマ・ピケティは、自身の著書で「r>g」という有名な不等式を発表しました。
詳しい解説は割愛して平易な言葉で説明すると、この「r」は資産によって得られる富、そして後者の「g」は労働によって得られる富となります。不等号は「r」のほうが大きいことを示しているので、資産運用によって得られる富のほうが労働で得られる富よりも大きいという意味になります。
汗水を流して得られる富こそ尊いものであると考えるのは多くの日本人の価値観ですが、長い期間にわたる比較をすると現実は逆であるということです。もちろん自分が働くことは尊いのですが、それと同時にお金にも働いてもらうことも豊かな生活を手に入れるためには重要なのです。
2.資産運用における投資先の選び方
資産運用には実に多くの選択肢があります。たくさんある選択肢から最適な投資先を選ぶには、いくつかの視点があります。ここでは特に重視するべき3つの視点について解説します。
2-1.必要な資金で選ぶ
資産運用に回してよいのは、余剰資金です。余剰資金とは今だけでなくこの先も使う予定のないお金で、その余剰資金がどれだけあるのかによって投資先がある程度定まってきます。
例えば、余剰資金が100万円だとすると株やETF、REIT、投資信託などの選択肢がありますが、100万円の資金で一棟マンションを購入するのは非現実的です。まずは必要な資金規模を把握した上で、その資金でできる投資を検討するのが正しい順序です。
投資先の選択肢を増やすために、余剰資金以外のお金を資産運用に回してしまうのはリスクを高めてしまい、お金を増やすはずが逆に減らしてしまうことにもなりかねないので、おすすめしません。
2-2.目的や期間で選ぶ
資産運用には目的があります。「お金を増やす」というのはすべての人に共通する目的だと思いますが、「〇〇までに●●円の資産を作りたい」といったように、時期と金額的な目標を定めることも重要です。
例えば教育資金であれば子どもが大学進学の年齢になるまでにいくら、といった具合です。資産運用の目標が定まれば、そこから逆算して必要な利回りから投資先を選びやすくなります。
また、投資先によっては期間が決まっているものもあるため、資産運用の目的や期間と照らして合致しているものを選ぶ必要があります。
2-3.リスクとリターンの大きさで選ぶ
どんな投資先であっても、リスクとリターンは表裏一体の関係にあります。リスクが低い投資先は安全性が高い一方で高い利回りは望めませんが、逆に高いリターンが期待できる投資先はリスクも高くなります。
最もリスクが低いのは元本が保証されている預貯金ですが、定期預金の金利水準を考えるとお金を増やすのに適していないことはすでに理解されていると思います。とはいえ、逆に高いリターンが期待できるからといってもFXや仮想通貨などの投資には多大なリスクが伴うことも容易に想像がつくのではないでしょうか。
リスクとリターンは比例する関係にあるので、これから始める資産運用においてはお金をどれだけリスクにさらすことができるのかを精査し、適切な選択をすることが重要です。
3.【2023年版】初心者におすすめの資産運用10選
2023年の投資環境を考慮し、初心者におすすめといえる資産運用として10通りの方法を厳選しました。それぞれの特徴や概要を個別に解説していきます。
3-1.ETF(上場投資信託)
ETFは投資信託の一種で、証券取引所に上場している銘柄群のことです。基本的にETFは株価指数など市場の指標と連動するように運用されているのが特徴で、例えば日経平均株価やTOPIXなどに連動するETFがあります。
個別株への投資だと投資先企業の動向による影響を受けやすいですが、ETFは市場全体に投資しているのと同じなので、一部の企業の動向だけで大きな影響を受けにくいのがメリットです。
日経平均株価と連動するETFであれば日経平均株価に組み込まれている225銘柄に投資しているのと同じ効果が得られるため、リスクの分散効果も期待できます。
3-2.ロボアドバイザー
AIなどを活用して投資のアドバイスをしたり、投資家に成り代わって運用を行ったりするサービスのことをロボアドバイザーといいます。ロボアドバイザーには投資家にアドバイスを行うアドバイス型と、実際の売買まですべてを一任できる投資一任型があります。
投資判断を専用のロボットに任せることができるため、投資の経験が浅い人、あまり知識に自信がない人であっても不利にならないのがメリットです。
3-3.ミニ株
100株単位(1単元)で売買をするのが株式投資の一般的な形ですが、それよりも少ない単位で株式投資ができるサービスのことをミニ株といいます。ミニ株は証券会社の独自サービスなので、証券会社によってその有無や内容は異なります。
1単元未満で株式投資ができるため少額から始められる、損失が出た場合であっても少額で済むといったメリットがありますが、本格的な株式投資に向けての練習といった位置づけで利用している投資初心者が多いようです。
3-4.REIT(不動産投資信託)
投資信託には株式や債券などさまざまな金融資産を運用対象とした銘柄がありますが、その中でも不動産を運用対象としている銘柄群をREIT(リート)といいます。
大規模なオフィスビルや物流施設、ホテル、マンションなどを個人で購入するにはハードルが高いですが、REITであれば投資家から集めた資金で運用主体が優良不動産を購入して運用するため、投資家は間接的かつ小口の不動産投資が可能になります。
REITには非上場の銘柄と、東京証券取引所に上場しているJ-REITと呼ばれる銘柄があります。
3-5.個人向け国債
日本政府が発行している債券を個人向けに販売しているのが、個人向け国債です。最低保証されている金利は0.05%で元本保証なので、低利ではあるもののリスクの低い安全性重視の投資商品といえます。
また、1万円から購入できるため少額からの資産運用で「定期預金にしておくのであれば少しでも利回りの高いものを選びたい」というニーズに適しています。
3-6.外貨預金
日本では長らく低金利が続いていますが、海外に目を向けると金利の高い国はたくさんあります。こうした国の通貨で預金をすることで高金利運用を狙うのが、外貨預金です。
2023年時点で高い利回りが期待できる通貨には、以下のようなものがあります。
- 米ドル
- 豪ドル
- ニュージーランドドル
- 南アフリカランド
4つめの南アフリカランドについては他の3か国と違って新興国であることから特有のリスクがありますが、2022年11月には政策金利を0.75%引き上げて7%の高率となっているため、外貨預金では5%台の金利を提示している銀行もあります。
3-7.投資信託
投資家から集めた資金を運用のプロであるファンドマネージャーが運用し、利益を分配するのが投資信託です。得られる利益には、購入している投資信託の値上がり益と分配金の2種類があります。
先ほど解説したETFやREITも投資信託の一種で、上場と非上場の両方を合わせると日本国内だけでも数千本の銘柄があります。
プロのファンドマネージャーに運用を委託するためのコスト(信託報酬)は発生しますが、自分で運用をする自信がない初心者や、忙しい人、効率よく分散投資をしたい人などに適しています。
3-8.つみたてNISA
つみたてNISA自体は投資商品の名称ではなく、投資によって得られた利益に対する税の優遇制度です。2023年1月時点では毎年40万円までの非課税枠が設定され、最長20年間適用されるのですが、つみたてNISAは制度改正が予定されています。
新制度では「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が用意され、前者は年間120万円、後者は年間240万円までの投資による利益が非課税となります。また現行では2042年までの時限的制度ですが、新制度では恒久化されます。投資商品の非課税保有期間も無期限になるため、制度としてはかなり強化・拡大されると考えてよいでしょう。
投資による利益には約20%の税金が課されるため、これが一定枠内で無税になるのは実質的に「20%の収入増」になるため、ぜひとも活用したい制度です。
3-9.iDeCo
iDeCoは「イデコ」と読みますが、正式名称は個人型確定拠出年金といいます。この正式名称のとおり、iDeCoは個人で掛ける年金の一種です。
上記のNISAと同様に運用益に対する税の優遇が設けられている制度で、iDeCoでは拠出時(資金の積立時)と運用時、そして年金として受給する時のいずれも非課税になるため、老後資金を構築するための制度として最適です。
3-10.不動産投資
投資用の不動産としてアパートやマンションなどを購入し、そこに入居した人からの家賃収入や、不動産が値上がりした時に売却をして得られる売却益などを狙うのが不動産投資です。
現物資産を購入して取り組むため、ここまで紹介してきた9つの投資と違って金融機関の融資を利用することができます。一部の自己資金だけで物件を購入して収入を得ることができるため資金効率が高く、家賃収入でローンを返済すれば他人資本によって自分の資産形成を進めることもできます。
老後の備えに不動産投資を始める人も多く、公的年金に家賃収入を上乗せすることで豊かな老後の実現にも役立つとして人気を集めています。
4.初心者が資産運用を始めるときに知っておきたいポイント
ここまで資産運用の基本やおすすめの投資方法10選について解説してきましたが、初心者が資産運用に関して知っておくべき重要なことがもうひとつあります。
それは、長期目線で取り組むことの重要性です。ここでは、長期投資によって得られるメリットや、それを実現する具体的な方法について解説します。
4-1.複利効果を味方につけて本格的な資産形成を
長期投資の最大のメリットは、複利効果が得られることでしょう。投資で得た収益を元本にプラスして、再投資することで、さらに収益を大きくすることができます。これが、福利効果です。
また、複利と一緒に「72割の法則」も覚えておきましょう。これは複利計算において、年間の利回りなどがR%だった場合、「72÷R」を計算することで、約何年で元本が2倍になるのかが分かるというものです。例えば、年間に2%の利回りが得られる投資の場合、72÷2=36年で元本は2倍になり、6%であれば72÷6=12年で2倍になります。
この複利を味方につけると、誰もが本格的な資産形成をできるようになります。ここで紹介したほとんどの投資方法でも有効なので、ぜひ意識してみましょう。
4-2.期間が長くなるほど福利効果の威力は大きくなる
一人の人生ではなかなか実感しきれない話かもしれませんが、複利効果は世代を超えた資産運用がいかに強力なものであるかを教えてくれています。
資産を相続すれば税金が発生しますから仮の話になりますが、年利5%運用を子々孫々と続けた場合、「72割の法則」で計算すると、14.4年で資産は2倍になるので、144年経てば、2の10乗で1,000倍になります。投資元本100万円が10億円になるのです。3代も経てば、立派な富裕層の仲間入りということです。
このような夢物語を持ち出さなくとも、複利効果を実感することは可能です。初めに元本を用意して運用を始めたら日々の生活の中でムダを省いて、生み出したお金を積み立てて投資をしていくのです。毎年100万円ずつ積立投資を行い、年5%で複利運用を続けると、10年で約1,250万円になります。
20年で約3,300万円、30年で約6,650万円です。その後、運用益を再投資せずに生活費に充てたとしても、6,000万円を年5%で運用すると、それだけで年間300万円の老後資金が生まれます。(※実際は所得税が徴収されるため、運用成果はもう少し下がります)
4-3.不動産投資でも長期運用によって大きな効果を発揮
金融商品への投資とは異なりますが、不動産投資でも長期運用をすることで大きな効果を発揮します。不動産投資には購入した不動産の値上がりで売却益を狙う方法(キャピタルゲイン)と、購入した不動産を貸し出して長期間賃貸収入を得る方法(インカムゲイン)があります。
短期的な不動産価格の上昇を狙う場合、どうしても「運」の要素が大きくなってしまいますが、不動産の長期運用は安定的な家賃収入をもたらしてくれます。
ローンを完済し、購入費用を回収し終われば、それ以降の利益は一気に増えるでしょう。金融商品の長期投資に見劣りしない、メリットの大きな投資と言えます。
5.ポイントを押さえれば誰もが期待通りの結果を得られる
本記事でお伝えしたいポイントを整理すると、以下のようになります。
- 資産運用は資金規模、目的、期間で投資先を選ぶ
- リスクとリターンは比例する関係にある
- 税の優遇制度も積極的に活用するべき
- 福利効果を味方につけるためにも長期投資は重要
- 長期投資には不動産投資も組み入れたい
これらのポイントを意識しながら資産運用に取り組めば、期待通りの結果が得られる可能性は大きく高まるでしょう。