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投資の基本
投資におけるポートフォリオとは?基本的な考え方や目的別のモデルを紹介
ポートフォリオは、投資家にとって資産形成の成否を左右する重要な概念です。これは、リスク分散と安定的なリターンを目指すために、多様な資産を組み合わせた戦略的な資産配分を指します。
近年、NISAやiDeCoの普及により、多くの人が資産形成に積極的に取り組んでいます。しかし、2025年のトランプ政権下での市場変動は、投資家心理に大きな影響を与えており、今後の政策次第では市場が大きく変動する可能性があります。
このような不確実な市場環境では、ポートフォリオ戦略の重要性が高まります。複数の資産に分散投資することで、市場の変化に柔軟に対応し、安定的な資産形成を目指せます。

目次
1.ポートフォリオとは
ポートフォリオの定義や目的、基本的な考え方について解説します。
1-1.ポートフォリオの定義と目的
ポートフォリオ(Portfolio)とは、簡潔に言えば「投資家が保有する投資資産の集合体」です。株式、債券、投資信託、不動産など、さまざまな資産を一つの「かご」に入れて総合的に管理する考え方を指します。
投資に求める期待値や目的、運用する資産の規模は人それぞれ異なります。そういった個々の意向や事情に合わせて「自分に合った運用資産の組み合わせ」を設計し、最適なポートフォリオを組むことが、投資の成功につながります。
ポートフォリオを構築する主な目的は、リスクの分散です。「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言があるように、全ての資金を一つの投資先に集中させると、その投資先が不調になった場合、資産全体が大きく毀損するリスクがあります。しかし、複数の異なる特性を持つ投資先に分散させることで、一部が不調でも他の部分でカバーできる可能性が高まるのです。
ちなみに、ポートフォリオには本来「紙ばさみ」などの意味があります。欧米では資産の明細書を紙ばさみにはさんで保管する風習があり、それが語源となっているそうです。
1-1-1.分散投資とは
ポートフォリオを構築する上で欠かせないのが「分散投資」という考え方です。投資対象を多様化させることで、資産の価格変動リスクを低減し、全体の運用成績を安定させることを目指します。
投資対象となる資産は、株式や投資信託などの金融資産だけではなく、FXのような外国為替や不動産といったさまざまな種類がありますが、分散投資では、それぞれに対して一定の割合を投じるということになります。そうすることで想定外のことが起きてもダメージを一部に留めやすくなります。
具体的にいうと、分散投資の方法は4つあります。投資対象を日本国内に限定せず、海外の複数国の株式や国債、為替、不動産に投資する「地域分散」、株式や不動産など、種類の異なる複数の資産に投資する「資産分散」、日本円だけで運用するのか、ドルやユーロなどの外貨建てで運用するのかという「通貨分散」、定期的な積立を行うことで、資産の購入時期を分散する「時間分散」です。
実際の分散投資では、これら4つの概念を組み合わせて自分に合った運用資産の組み合わせを構築します。
1-2.ポートフォリオの基本形
私たちが将来受け取る年金を運用している「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」のポートフォリオは、以下のようになっています。
- 国内債券:25%
- 外国債券:25%
- 国内株式:25%
- 外国株式:25%
性質の異なる4つの資産を同じ割合で組み合わせることで、リスクを抑えながらリターンを追求できる構成になっているのが特徴です。GPIFはこのポートフォリオで、+4.4%の収益率(2001年度~2024年度第3四半期)を達成しています。
ただし、この資産の組み合わせや比率は投資家の年齢、リスク許容度、投資目標によって調整すべきものです。若年層であれば株式の比率を高め(60%程度)、退職が近い世代では債券の比率を高める(60%程度)といった具合です。また、現金も、緊急時の備えや運用バランスの調整に役立つ、欠かせない資産の一つです。
重要なのは、自分の状況に合わせた資産の組み合わせや配分を見つけ、定期的に見直すことです。完璧なポートフォリオに唯一の正解はなく、自分のライフステージや市場環境に合わせて柔軟に変化させていくべきものなのです。
1-3.ポートフォリオを作るメリット
分散投資によるポートフォリオ構築の最大のメリットは、リスク低減と安定したリターンの両立です。
例えば、株式市場が下落した際に、債券や金などが上昇して損失を緩和することがあります。また、収益源を複数に分けておくことで、市場の変動に左右されにくい安定したキャッシュフローを確保できる点も大きなメリットです。特に不動産投資による家賃収入や高配当株からの配当金は、市場が低迷している時期でも一定の収入をもたらします。
このように資産を分散しておくと、インフレへの対応力も高まるのがメリットです。現金だけで資産を保有していると、インフレによる購買力の低下リスクがありますが、株式や不動産などを組み合わせることで、インフレに強いポートフォリオを構築できます。2025年のトランプ政権下での市場変動が懸念される中、分散投資の重要性はますます高まっています。
1-4.ポートフォリオを作る際の注意点
ポートフォリオを構築する際に最も注意すべき点は、闇雲な分散ではなく、戦略的な分散を心がけることです。
単に多くの投資先に資金を分散するだけでは効果的なリスク分散になりません。重要なのは、相関関係の低い資産クラスを組み合わせることです。例えば、同じ業種や同じ地域の株式ばかりに投資すると、一見分散しているように見えても、同じ要因で価格が変動するため、真の分散効果は得られません。
また、自分のリスク許容度を超えた投資配分も危険です。高いリターンを求めるあまり、自分が心理的に耐えられないリスクを取ってしまうと、市場の下落時に感情的な判断で売却してしまう可能性があります。
さらに、過度の複雑化も避けるべきです。投資商品やポートフォリオ構成が複雑になりすぎると、全体像の把握が難しくなり、適切な管理ができなくなります。手数料や税金の影響も注意点の一つで、頻繁な売買や高コストの商品はリターンを圧迫する可能性があります。
2.ポートフォリオに組み込むべき資産
バランスの取れたポートフォリオには、以下の代表的な資産クラスを組み込むことが重要です。
2-1.現預金
現金や預金は、ポートフォリオの中で「安全性」と「流動性」を担う重要な資産です。緊急時の出費や投資機会に備えるための「生活防衛資金」として、一般的には3〜6ヵ月分の生活費相当額を確保しておくことが推奨されています。
現預金の最大のメリットは、元本の安全性と即時の流動性ですが、インフレによる購買力低下というデメリットもあります。特に現在の低金利環境では、預金金利がインフレ率を下回ることが多く、実質的にはマイナスリターンとなる可能性があります。
そのため、必要最低限の額を確保した上で、余剰資金は他の資産クラスに配分するのが賢明です。現預金の具体的な保有方法としては、普通預金で即時に引き出せる資金と、少しでも金利が高い定期預金に分けて保有するのがバランスが良いでしょう。外貨預金も選択肢の一つですが、為替変動リスクがあることを理解した上で検討する必要があります。
2-2.債券(国内債券・外国債券・国債・社債)
債券は、政府や企業にお金を貸し付け、その見返りとして定期的な利息と満期時の元本返済を受け取る投資商品です。ポートフォリオにおいては、株式と比べてリスクが低く、安定性を担う資産として位置づけられます。
債券の種類は多様で、国債は最も安全性が高いものの利回りは低く、社債は企業の信用力によってリスクとリターンが変わります。また、満期までの期間によっても特性が異なり、短期債は金利変動の影響を受けにくく安定的ですが、長期債は金利変動の影響を大きく受ける反面、利回りは高めになる傾向があります。
債券投資のメリットは、定期的な利息収入が得られること、株式より価格変動が小さいこと、満期があるため元本が保証される場合が多いことなどです。一方、デメリットとしては、株式に比べて長期的なリターンは低めになる傾向があること、インフレに弱いこと、発行体の信用リスクがあることなどが挙げられます。
インフレ懸念がある2025年の環境では、物価連動国債などのインフレ対策型の債券も検討する価値があるでしょう。
2-3.株式(国内株式・海外株式)
株式投資は、企業の所有権の一部(株式)を取得し、企業価値の向上による株価上昇(キャピタルゲイン)や配当金(インカムゲイン)を通じてリターンを得る投資方法です。
ポートフォリオの中では「成長性」を担う資産として、長期的な資産形成の核となる重要な役割を果たします。株式投資の最大のメリットは、長期的には他の資産クラスよりも高いリターンが期待できる点です。また、インフレに対する耐性も比較的高く、企業が価格転嫁能力を持つ場合、インフレ下でも企業価値と配当が増加する可能性があります。
一方、デメリットとしては短期的な価格変動の大きさ、企業の業績悪化や倒産のリスク、市場全体が下落するシステミックリスクなどが挙げられます。株式投資を行う際には、国内株と海外株、大型株と小型株、成長株と割安株など、さまざまな観点から分散することが重要です。特に2025年のトランプ政権下では政策の不確実性もあるため、地域分散や業種分散を意識したポートフォリオ構築が望ましいでしょう。
2-4.金
金(ゴールド)は、数千年にわたって価値を保ってきた貴金属であり、ポートフォリオにおいては「安全資産」および「インフレヘッジ」としての役割を果たします。特に経済危機や地政学的リスクが高まる局面、インフレ懸念が強まる時期には、価値の保全先として注目される傾向があります。
金投資の主なメリットは、株式や債券との相関性が低いことで、これらの資産が下落する局面でも金価格が上昇することがあり、分散効果を高めます。また、通貨価値の下落(インフレ)に対する保険としての役割も期待できます。
一方、デメリットとしては、金自体は利息や配当などのキャッシュフローを生まないこと、長期的には株式などに比べてリターンが低い可能性があること、短期的には価格変動が大きいことなどが挙げられます。金への投資方法としては、実物の金地金やコインを保有する方法と、金ETFや金鉱株などを通じて間接的に投資する方法があります。一般的にはポートフォリオ全体の5〜10%程度を配分することが多いです。
2-5.不動産
不動産投資は、ポートフォリオ内で「安定収益源」と「インフレヘッジ」の二つの重要な役割を果たします。実物資産である不動産は、株式や債券とは異なる値動きをする傾向があり、ポートフォリオ全体の分散効果を高める資産として注目されています。
不動産投資の最大の魅力は、継続的な家賃収入が期待できる点で、これは株式の配当と比較しても安定性が高く、予測可能性にも優れています。また、インフレ時には一般的に不動産価格と賃料が上昇するため、インフレから資産を守る効果も期待できます。さらに、レバレッジ効果(融資の活用)によって少ない自己資金で大きな資産を運用できる点も特徴的です。
税制面でも減価償却費や各種経費を計上できるため節税効果があり、相続対策としても有効とされています。一方で、流動性の低さ、管理の手間、空室リスク、災害リスクなどのデメリットも考慮する必要があります。ポートフォリオにおける理想的な配分比率は15〜30%程度が一般的ですが、個人の状況や投資目標によって調整すべきでしょう。
3.分散投資でポートフォリオを組む時の流れ
分散投資によるポートフォリオ構築は、長期的な資産形成の成功を左右する重要なプロセスです。ここでは、効果的なポートフォリオを構築するためのステップを紹介します。
3-1.STEP1:運用目的や方針を定める
まず具体的な目標を明確にしましょう。「老後資金の準備」「子どもの教育資金の確保」「住宅購入の頭金作り」など、必要な金額と期間を具体的に設定します。目標達成に必要な年間リターン率も計算しておくと良いでしょう。
必要な金額の目安としては、教育費なら1人あたり500万〜1,000万円、住宅購入では物件価格の10〜20%(約300万〜700万円)を頭金として用意するケースが多く見られます。将来的に働き方の自由を手に入れたい場合は、年間100万円の不労所得を得ることを目指し、年利3%換算で2,000万〜3,000万円の資産を目標にする考え方もあります。
また、「安定重視」「成長重視」「インカム重視」といった運用方針も決めておきます。明確な目標設定により、短期的な市場変動に左右されず、長期的な視点で投資を継続できます。
3-2.STEP2:許容できるリスクを明確にし資産配分を決める
自分のリスク許容度を「心理的な許容度」と「経済的な許容度」の両面から評価します。心理的な許容度とは、資産価値が一時的に下落した際に冷静さを保てるかどうか、経済的な許容度とは年齢や収入状況から客観的に判断できるリスク許容力です。この評価に基づいて、株式、債券、不動産、現金などの配分比率を決定します。
リスク許容度が高ければ株式などのリスク資産の比率を高め、低ければ債券や現金などの安全資産の比率を高めるといった調整をします。こうした資産配分を考える際に重要になるのが、「アセットアロケーション」という考え方です。
3-2-1.アセットアロケーションとは
アセットアロケーションとは、日本語で「資産配分」という意味です。具体的には、投資対象となる地域や資産、通貨などを、どのような「配分」で分散させるかということです。
多くの投資初心者は、最初に「〇〇会社の株式を購入しよう」「〇〇にあるマンションを買おう」というようなことを考えると思います。しかし、アセットアロケーションの考え方では、最初に、自分の投資目的を明確に設定し、自分が許容できるリスクの限度を決めてから、実際に投資する資産の配分を決定します。
例えば、「国内株式30%、先進国株式20%、新興国株式10%、国内債券10%、国内不動産30%」という内容で分散投資した投資家がいるとします。この投資家が決めたアセットアロケーションでは、国内資産は70%、海外資産は30%に「地域分散」と「通貨分散」がされて、株式60%、債券10%、不動産30%に「資産分散」がされています。
どのように市場を読むかは、投資家によって個人差がありますが、一般的に債券よりは株式、先進国よりは新興国という順番で、投資リスクとリターンは高くなると考えられています。投資目的を達成するためには、年間の目標利回りを定め、どの程度までリスクを許容できるかを前提に、どの資産にどの程度の投資をするのかを、前もって決めるのも良いでしょう。
3-3.STEP3:具体的な投資先を決める
資産配分が決まったら、各資産クラス内での具体的な投資先を選定します。株式なら国内株と海外株の割合、債券なら国債や社債の選択、不動産投資を含める場合は物件タイプの検討などを行います。投資信託やETFを活用すれば、少額から効率的に分散投資が可能です。
投資先選びでは、リターンだけでなく運用コスト(信託報酬など)も重要な判断基準となります。長期投資では、わずかな手数料の差が将来のリターンに大きな影響を与えるからです。
3-4.STEP4:定期的に資産配分を見直す
市場変動により当初設定した資産配分比率は徐々に崩れていくため、定期的な「リバランス」が必要です。例えば株式60%、債券40%で始めたポートフォリオが、株式市場の好調により株式70%、債券30%になった場合、当初の比率に戻す調整を行います。
また、結婚、出産、住宅購入などのライフステージの変化に応じて、資産配分自体の見直しも検討すべきです。見直しの頻度は年に1〜2回程度が一般的ですが、資産配分が大きく崩れた場合には、臨時の見直しも行うと良いでしょう。
4.目的別ポートフォリオの例
投資の方針によって、適切なポートフォリオは異なります。ハイリスク・ハイリターンをどこまで志向するのか(許容できるのか)によってポートフォリオの内容は変わりますし、年齢によっても適切なポートフォリオは変化します。ここでは、投資スタイル別と年代別でポートフォリオの一例を紹介します。
4-1.投資スタイル別ポートフォリオ例
投資スタイルを、リスク許容度で3つに分類しました。ハイリスク、ミドルリスク、そしてローリスクです。ポートフォリオなので単一の投資商品だけに投資するわけではなく、リスク別にポートフォリオの内訳を変えます。
4-1-1.ハイリスク・ハイリターンのポートフォリオ例
ハイリスク・ハイリターンの投資をしたい場合は、外貨建ての商品や暗号資産など、リスクが高い一方で大きな利益を狙える商品を組み込むのが良いでしょう。
- 米国株式型インデックス投資信託:50%
- 新興国(インドなど)インデックス投資信託:20%
- 現物株(国内もしくは米国):20%
- ビットコイン:10%
インデックス投資信託とは、株価指数と連動する投資信託のことです。長期的に成長が続いている米国の株価指数に半分を投じ、残りは今後の成長が期待できるインド株や個別の成長株で運用するポートフォリオです。
ビットコインはあくまでも番外編に近い位置づけですが、市場の動向によっては大きな価格上昇が期待できることもあります。ただし暗号資産はリスクも高いので、10%よりもさらに比率を低くしても良いかもしれません。
4-1-2.ミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオ例
ミドルリスク・ミドルリターンの投資では、さらに分散性が高い投資商品や不動産など現物資産の裏付けがあるものを組み入れたいところです。そこで構築した一例が、こちらです。
- 全世界株式型インデックス投資信託:30%
- 東証REIT指数型インデックス投資信託:30%
- 不動産投資:40%
世界の主要国の株価指数を幅広く組み込んだ「オールカントリー」と呼ばれる投資信託を30%、そして不動産投資信託の総合指数である東証REIT指数の投資信託を組み込みました。また、40%は資金規模や融資を受けられるかどうかの問題はありますが、現物の不動産投資を組み込んでいます。
4-1-3.ローリスク・ローリターンのポートフォリオ例
最もリスクを抑えてディフェンシブに投資をするのであれば、元本保証やそれに近い投資商品が主体になります。
- 個人向け国債(元本保証):50%
- 東証REIT指数型インデックス投資信託:20%
- 貯蓄型保険:20%
- 外貨預金:10%
安全な投資商品を中心に組み立てています。4つめの外貨預金は元本保証ではありますが、為替リスクがあります。しかし、日本よりも金利の高い国で運用すると高い利回りが期待できるため、10%だけリスクを取る商品を組み入れました。
4-2.年代別ポートフォリオの例
次に、年代別のポートフォリオの一例を紹介しましょう。
4-2-1.20~30代のポートフォリオ例
20代や30代といった人たちは十分な投資期間がありますし、リスクを取った結果、資産の一部が毀損しても、リカバーできる時間もあります。そのため、ここで紹介する3つのポートフォリオ例の中では最も積極的にリスクを取るポートフォリオにしました。
- 米国株式型インデックス投資信託:30%
- 新興国(インドなど)インデックス投資信託:20%
- 現物株(国内もしくは米国):30%
- FX:10%
- ビットコイン:10%
積極的にリスクを取って長期的なハイリターンを狙う意味で、株式の比率が高めです。特にインドなど新興国の高い経済成長に乗るのは若い世代の人たちに適したポートフォリオといえます。
また、FXと暗号資産を10%ずつ組み入れました。いずれもリスクは高いですがハイリターンが期待できるので、「すべてを失っても資産全体への影響が少ない」レベルに抑えつつ投資に面白みを加えています。
4-2-2.40~50代のポートフォリオ例
40代から50代は、老後を意識し始める年代です。投資によって資産形成を進める重要性が高まってくる一方で、資産を過度なリスクにさらすことには慎重になるべきです。そのため、ミドルリスク商品とローリスク商品を組み合わせるのが適切でしょう。
- 全世界株式型インデックス投資信託:40%
- 日本株式型インデックス投資信託:20%
- 東証REIT指数型インデックス投資信託:20%
- 個人向け国債:20%
半数より少し多めに株式を、そして不動産型の投資信託と元本保証の個人向け国債を組み合わせました。
4-2-3.60代以降のポートフォリオ例
60代以降はリスク許容度が低く、投資で失敗できない世代です。お金を増やすことよりもお金を減らさないようにして資産寿命を少しでも長くすることに重点を置きましょう。ローリスク商品を中心に構成し、残りは分配金支払いがある商品を組み入れて公的年金に上乗せできる収入源を確保できるポートフォリオです。
- 個人向け国債:50%
- 日本もしくは米国高配当ETF:30%
- 東証REIT指数型インデックス投資信託:20%
5.ポートフォリオを見直す時に確認したいポイント
定期的なポートフォリオの見直しは資産運用成功の鍵です。以下の3つのポイントを中心に確認しましょう。
5-1.目標と運用実績にズレはないか
当初設定した目標に対して、運用実績が計画通りに進んでいるかを検証します。例えば「20年後に3,000万円の資産形成」という目標に対して、現在の積立額と運用リターンで達成可能か確認しましょう。
目標達成に必要な年率が3%であるのに対し、実際の運用実績が年率1%にとどまっていれば、積立額の増額や資産配分の見直しが必要です。個別の投資商品についても、期待していたパフォーマンスを下回っている場合は、原因分析と代替案の検討を行いましょう。
5-2.ライフスタイルに合っているか
人生の節目やライフスタイルの変化に応じて、ポートフォリオも調整が必要です。結婚、出産、住宅購入、転職などのライフイベントによって、資金需要や収入状況は大きく変わります。
例えば、子どもが生まれれば教育資金の準備が必要になり、住宅購入を控えていれば流動性の高い資産配分が求められます。また年齢を重ねるにつれて、リスク資産の比率を下げ、安全資産の比率を高める調整も検討しましょう。
5-3.経済状況は考慮されているか
経済環境や市場動向の変化も重要な判断材料です。金利水準、インフレ率、景気循環、政治情勢などの外部環境の変化はポートフォリオに大きな影響を与えます。金利上昇局面では債券の見直しが必要かもしれませんし、インフレ懸念が高まる環境では、不動産や物価連動債などの比率を高めることを検討すべきです。
6.最適なポートフォリオは人それぞれ
投資においては「正解」のポートフォリオは存在せず、最適な資産配分は人によって大きく異なります。年齢、収入、家族構成、リスク許容度、投資目標、価値観など、個人の状況や考え方によって最善の選択は変わるものです。
重要なのは、自分自身を正直に分析し、自分に合ったポートフォリオを構築すること。そして市場環境や人生の変化に合わせて柔軟に調整を続けることです。2025年のような不確実性の高い時代だからこそ、自分の状況に合わせた戦略的な分散投資が、長期的な資産形成の鍵となるでしょう。