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不動産投資で節税は可能!その理由や向いている人、知っておきたい注意点

不動産投資には、節税効果が期待できる一面があります。しかし、「どのような仕組みで節税が可能なのか」「どの税金を抑えられるのか」といった具体的な内容については、あまり知られていないかもしれません。

本記事では、不動産投資が節税につながる仕組みをわかりやすく解説します。また、不動産投資がすべての人に節税メリットをもたらすわけではない点にも触れ、節税に向いている人と向いていない人の特徴についても紹介します。

不動産投資で節税は可能!その理由や向いている人、知っておきたい注意点

1.不動産投資では所得税・住民税などの節税が可能

不動産投資で節税が期待できるのは、以下の税金です。

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 法人税 など

多くの税金が節税できる可能性があるため、不動産投資を節税目的で始める人も少なくありません。では、これらの税金がどのような仕組みで節約できるのか、その具体的なメカニズムについて次項で詳しく解説します。

2.不動産投資で節税できる仕組み

不動産投資が節税につながる理由は、さまざまな制度や仕組みを活用できる点にあります。

2-1.減価償却ができる

マンションやアパートなどを購入して行う不動産投資では、購入価格のうち土地を除いた建物や設備の費用を「減価償却」によって数十年にわたり分割計上することができます。これは、建物や設備が経年劣化により徐々に価値を失う資産とみなされるためです。

減価償却を行うことで、不動産所得を圧縮し、課税所得を減らすことが可能になります。さらに、減価償却費は現金支出を伴わないため、家賃収入が残る一方で、会計上の経費として扱える点がメリットです。

減価償却を行う際には、資産ごとに定められた「耐用年数」に従う必要があります。耐用年数は建物の構造や種類によって異なり、新築の場合の例は以下の通りです。

木造 22年
木骨モルタル造 20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47年

中古物件の場合、購入時の「経過年数」に応じて耐用年数を計算します。以下の方法が一般的です。

新築時の耐用年数を過ぎていない場合 取得時の耐用年数=(新築時の耐用年数-経過年数)+(経過年数×0.2 )
新築時の耐用年数を過ぎている場合 取得時の耐用年数=新築時の耐用年数×0.2

耐用年数は、国税庁の基準に基づき計算する必要があります。特に中古物件の場合は、建物の構造や経過年数を考慮した正確な計算が求められます。

このように減価償却を適切に活用することで、不動産投資における節税効果を得ることが期待できます。

2-2.損益通算ができる

不動産所得が赤字の場合、給与所得や事業所得など他の所得と「損益通算」することで、課税所得を減らすことができます。これにより、所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。

所得税は累進課税制度を採用しており、課税所得が増えるほど適用される税率が高くなります。以下は所得税の税率一覧です。

課税対象の所得額 税率 控除額
1,000円 から 194万9,000円まで 5% 0円
195万円 から 329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円 から 694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円 から 899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円 から 1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1,800万円 から 3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円 以上 45% 479万6,000円

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

損益通算によって課税所得を減らすことで、適用される税率も低く抑えられる可能性があります。

この損益通算を活用する際に、減価償却費は重要な役割を果たします。減価償却費は現金支出を伴わない経費であるため、実際には収益があっても会計上の赤字を作り出すことが可能です。この赤字が損益通算の対象となり、節税効果を高めます。

ただし、この仕組みを活用する際は、適切な記帳や税務上のルールに従うことが求められます。

2-3.不動産評価額を下げることができる

相続税は税率が高いことで知られています。以下は、相続税の税率一覧です。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円

出典:国税庁「No.4155 相続税の税率」

左側にある金額は、相続財産の評価額です。ここで重要なのは、「相続財産の価値=評価額」ではないことです。現金で相続した場合はその額面がそのまま評価額になりますが、不動産は相続財産としての評価が低くなります。なぜなら、不動産は流動性がそれほど高くはなく、すぐに現金化できないからです。そのため、現金より低く評価される仕組みになっています。

不動産のうち土地部分は実勢価格よりも2割から3割減、家屋(建物)部分は最大で5割減になるため、相続財産の評価額を大幅に減らすことができます。これにより適用される相続税の税率が低くなる可能性があり、税額そのものも少なくなります。

2-4.法人化で節税できる場合も

不動産投資による所得額が大きくなると、法人化したほうが節税になる場合があります。そのボーダーラインとなる不動産所得は、年間330万円です。その理由は、所得税と法人税の税率の差です。

それでは再度、個人の所得税の税率一覧を見てみましょう。

課税対象の所得額 税率 控除額
1,000円 から 194万9,000円まで 5% 0円
195万円 から 329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円 から 694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円 から 899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円 から 1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1,800万円 から 3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円 以上 45% 479万6,000円

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

これに対して、法人税の税率は15~23.2%です。最大でも23.2%なので、不動産所得による税率が23.2%を超えるのであれば、法人化を検討してみてもいいでしょう。

上記の所得税率一覧表を見ると、「695万円から 899万9,000円まで」の税率が23%なのでここがボーダーラインになるように見えますが、個人の所得税には復興特別所得税が上乗せ課税されるため、法人税率の上限を超えます。

そのため、法人化したほうが節税になると考えられるボーダーラインは「330万円 から 694万9,000円まで」となり、年間の不動産所得が330万円を超える場合は法人化したほうが税負担を抑えられる可能性があります。

3.不動産投資での節税が向いている人と向いていない人

不動産投資による節税メリットは、その人の属性や状況によって異なります。それでは、どんな人が不動産投資の節税に向いていて、逆にどんな人が不動産投資の節税に向いていないのでしょうか。

3-1.不動産投資での節税が向いている人

不動産投資による節税が向いているのは、課税所得が900万円以上ある人と、将来相続対策が必要になりそうな人です。1つずつ解説しましょう。

所得税に累進性があることはすでに解説した通りですが、課税所得が900万円を境に税率が23%から33%へと跳ね上がるため、900万円というのは1つの大きな節目だといわれています。不動産を所有して減価償却費などの経費を計上し、その結果課税所得を900万円未満にすることができれば、税率を23%に抑えることができます。

将来相続対策が必要になりそうな人については、被相続人になる人(親や祖父母など)の財産を不動産にすることで、相続財産の圧縮が可能になります。さらに不動産を賃貸に供することで相続財産としての評価額を大幅に減らすことができるため、不動産投資による節税効果が大きくなります。

3-2.不動産投資での節税が向いていない人

不動産投資での節税が向いていない人は、先ほどの「向いている人」の裏返しです。年間の課税所得が900万円よりも少ない人、そして相続対策の必要性がない人です。

4.投資物件によって節税効果は変わる

不動産を所有すれば何でも同じというわけではなく、所有する物件によって節税効果は変わります。それでは、どんな物件だと節税メリットが大きくなるのでしょうか。

4-1.節税効果が出やすいのは中古物件

不動産投資の節税でカギとなるのが、減価償却費です。実際のキャッシュ流出を伴わない会計上の経費だけに、減価償却費が大きいほど節税メリットも大きくなります。そして1年あたりの減価償却費を多く計上できるのは、築古の中古物件です。しかも木造の築古物件だと、節税効果が最も高くなります。

その理由は、法定耐用年数です。建物にはそれぞれ構造別に法定耐用年数が定められており、木造は22年で、ほとんどのマンションが該当する鉄筋コンクリート造が47年です。毎年の減価償却費は取得価格を法定耐用年数で割って求めるため、この年数が短いほど毎年計上できる減価償却費は大きくなります。木造と鉄筋コンクリート造では倍以上年数が異なるため、木造のほうが計上できる減価償却費は大きくなります。

すでに法定耐用年数を経過した中古物件を購入した場合、耐用年数(減価償却の期間)は20%で1年未満の端数は切り捨てるとのルールがあるため、築23年以降の木造の建物を購入した場合は耐用年数が4年になります(本来は4.4年だが端数切り捨て)。仮に4,000万円の築古木造物件を購入した場合、毎年の減価償却費は1,000万円になります。

節税をメインで物件選びをするのであれば、「法定耐用年数を経過した直後の築古物件」を選ぶのが得策です。

4-2.節税効果が出にくいのは新築物件

逆に、節税効果が出にくいのは新築物件です。理由は、法定耐用年数が長く毎年計上できる減価償却費が少なくなるからです。その代わり経費計上できる期間は長くなるので、長期間にわたって節税メリットを得たいのであれば、新築物件も視野に入るでしょう。

5.節税目的の不動産投資はリスクあり

当記事では不動産投資の節税にスポットを当てて解説を進めてきました。しかし、節税目的の不動産投資にはリスクも伴います。ここでは、節税メインで不動産投資をする際のリスクや注意点について解説します。

5-1.長く所有しすぎるリスク

先ほど減価償却費についての解説をしました。減価償却費を計上できるのは法定耐用年数の期間だけなので、それを過ぎると経費として計上することはできなくなります。つまり、長く物件を所有しすぎると減価償却費による節税メリットがなくなるときがやってきます。

法定耐用年数を過ぎた不動産は築古物件として取り扱われ、家賃を下げなければ入居者を見つけるのが難しくなります。そうなると希望どおりの価格で売却することも難しくなるので、長く持ちすぎることがリスクになることを留意しておいてください。

5-2.早すぎる売却のリスク

上記とは逆に、売却する時期が早すぎると別のリスクを伴います。大都市圏では不動産価格の高騰が続いているため、売却益を狙うことも可能です。しかし、売却益については不動産の取得から5年以内に適用される短期譲渡所得と、5年を超えてから適用される長期譲渡所得では税率が異なります。

短期譲渡所得の税率は30%、長期譲渡所得の税率は15%(それぞれ復興所得税として2.1%を加算)なので、5年以内の売却益には倍の税金が発生します。早期の売却は、このことを踏まえて検討するようにしてください。

5-3.収支変動のリスク

不動産投資は、物件が健全に稼働して入居者からの安定的な家賃収入が入ることが前提のビジネスです。この理想どおりの状態が続けば問題はありませんが、常に順風満帆とは限りません。空室が発生したり経年劣化による修繕、メンテナンスの費用も発生します。こうした諸事情によって収入が変動するリスクは、節税目的であっても同じです。

6.リノベーション費用の会計処理

購入時に大規模なリノベーションを行った場合の費用は、どのように会計処理されるのでしょうか。

建物の資産価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする効果があるとすれば、資本的支出と認識され単年度で経費処理されず建物価格に上乗せして同じように減価償却されます。つまりリノベーション費用にも「節税効果」があるというわけです。

単に「節税」だけを目的に不動産投資を始めるのはおすすめできません。しかし、リノベーションなどで物件の資産価値が高まり得られる家賃も増えるのであれば、節税と収入アップの両方を実現できるので、理想的な形といえるのではないでしょうか。

7.節税はあくまでも付帯的なメリット、不動産投資では収入アップを目指そう

節税は不動産投資の大きなメリットの1つです。ただし、節税することばかりに目を奪われていると、本来の不動産投資の目的を見失ってしまい「気がついたら損をしていた」ということになりかねません。「高額な新築マンションを購入したけれども入居者が見つからず売却価格も大幅に下がってしまった」ということになってしまっては本末転倒です。

最初から「節税」を考えるのではなく、投資物件数や家賃収入を増やし、課税所得が900万円を超えるなど税金が気になり始めてから「節税」を考えるぐらいの心構えがいいのかもしれません。

そのためにはリスクを抑えた投資が重要になります。地方の過疎化と東京圏への人口流入の大きな流れが今後も続くということを前提に考えると、やはり賃貸需要が旺盛な東京都心部での中古マンション投資が狙い目です。その場合、以下のような2つの方法をおすすめします。

  • 質の高いリノベーション済みの物件を選択する
  • 程度の良い物件を購入し、その後タイミングをみてリノベーションを行って付加価値を高める

この方法は新築物件を購入するよりも費用が安くなるため十分な利回りが期待できるでしょう。

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