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不動産投資
不動産投資の主な種類とメリット・デメリット、2件目を購入するタイミングを解説
ひと口に不動産投資といっても、建物や形態の違いによっていくつかの種類があります。個人が不動産投資をする場合、考えられる選択肢は以下の3つでしょう。
- 一棟アパート、マンション
- 区分マンション
- 戸建て住宅
本記事では、代表的な不動産投資である3つの種類について新築、中古別にメリットとデメリットを解説します。また、すでに不動産投資に取り組んでいる方に向けて、特におすすめである区分マンション投資で2件目を購入するタイミングについても紹介します。
1.不動産投資の種類は大きく分けて3つ
個人投資家が現実的に取り組める不動産投資は、大きく3つに分けられます。「一棟アパート・マンション」「区分マンション」「戸建て住宅」の3種類です。それぞれ、所有形態や建物のタイプが異なるため、特徴やメリット・デメリットも異なります。
2.一棟アパート・マンション投資
アパートやマンションを一棟丸ごと所有するのが、一棟投資です。一棟アパートやマンションに投資する際のメリットとデメリットを、新築と中古に分けて解説します。
2-1.一棟アパート・マンション投資のメリット
一棟アパートやマンションへの投資で得られるメリットは、投資効率の高さゆえの収益力、土地も所有するため建物の資産価値が低下しても土地の資産価値が残る、などでしょう。また、全室が空室になる可能性は低く、一定のリスク分散効果もあります。
このように収益性(効率)の高さやリスク分散効果など、やはり一棟投資では本格的な不動産投資のメリットが得られることが分かります。建物を丸ごと所有するため、維持管理についてオーナーの意向を反映しやすいこともメリットとなるでしょう。
2-1-1.新築の場合
新築の一棟投資では何といっても、「新しさ」ゆえの集客力の高さが圧倒的なメリットとなります。新築時から10年未満のうちは築浅物件として認識される可能性が高く、空室率に悩まされるリスクは低いと言えます。
また、外観や設備も新しいためメンテナンスの必要性が低く、維持費を抑えやすいことも新築ならではのメリットです。特に一棟投資ではこうしたメンテナンスもすべて所有者が行う必要があるため、コスト面でのメリットはより大きくなるでしょう。
2-1-2.中古の場合
中古の一棟投資では、物件価格の安さがメリットとなります。また、土地付きで物件を所有することになるため、立地に恵まれた物件を安価で購入することができれば、地価の上昇による恩恵も期待できます。
2-2.一棟アパート・マンション投資のデメリット
一棟アパートやマンションの投資では建物を丸ごと所有するため、自らの意思で管理の方針を決めて実行していく必要があります。こういった部分は初心者にとっては若干ハードルが高く感じられるかもしれません。
2-2-1.新築の場合
新築の一棟物件は、やはり高価です。特に一棟マンションは初期投資額が億単位になる可能性が高く、資金的なハードルの高さは避けられないでしょう。東京の都心5区は特にその傾向が顕著で、表面利回りは5%未満で推移しています。
マンションほどの傾向は見られないものの、アパート投資であっても地価高騰の影響は不可避で、首都圏などの大都市圏ではどうしても利回りが低くなってしまいます。
2-2-2.中古の場合
新築と比べると価格に値ごろ感のある中古一棟物件ですが、近年では大都市圏で価格の高止まりが続いています。
その一方で中古物件には建物の老朽化リスクがあり、所有者が修繕やメンテナンスの手配や管理をする必要があります。その費用を見込んでおく必要があるため、購入価格こそ安くてもそこまでコスト優位性はないかもしれません。
2-3.一棟アパート・マンション投資に向いている人
一棟投資に向いている人についても、新築・中古それぞれで見てみましょう。
2-3-1.新築の場合
新築の一棟投資に向いているのは、資金力のある人です。数千万円もしくはそれ以上の資産があり、さらに高額の融資を受けられるだけの年収といった属性がある人です。
2-3-2.中古の場合
一棟投資をしたいと思っているものの、新築物件を購入するほどの資金力や属性がないという人は、中古向きと言えます。また、物件価格の違いゆえに比較的利回りが高くなるため、長期リターンよりも利回りを重視したい人にも中古一棟投資が適しています。
3.区分マンション投資
区分投資とは、マンション内にある物件を1戸単位で所有する投資形態です。一般的に分譲マンションは1戸単位で販売されますが、投資用であっても1戸単位で売買されているため、区分所有による賃貸経営が可能です。
3-1.区分マンション投資のメリット
区分マンションは一棟マンションと比べると価格が安いため、少額から始められることはサラリーマン大家を目指す兼業投資家や初心者にとってメリットとなります。また、物件の流動性の高さや空室率の低さ、管理のしやすさといったメリットもあるため、不動産投資の登竜門としても最適です。
3-1-1.新築の場合
新築区分マンションの最大のメリットは、一棟マンションと同様に集客力の高さです。「新築」「築浅」は入居者から好まれやすく、空室率に悩まされる可能性は低いでしょう。
また、こちらも一棟マンションと同様に設備などが新しいためメンテナンスの必要性が低く、維持費は軽減されるでしょう。
3-1-2.中古の場合
少額から始められることは区分マンションのメリットですが、新築よりも価格の安い中古区分マンションはより少額からの投資に適しています。
また、中古物件のなかには立地に恵まれた物件もあるので、こうした物件をうまく見つけることができれば築古になったとしても安定した稼働が期待できます。
3-2.区分マンション投資のデメリット
区分マンション投資は単一の部屋に対する投資だけに、空室発生時には物件からの収入がゼロになってしまう可能性があります。また、所有している物件の土地権利分が少なく、資産価値を維持しにくいこともデメリットでしょう。
3-2-1.新築の場合
新築マンションは市場価格よりも高く販売されることが多く、その物件価格の高さゆえにキャッシュフローが赤字になってしまう可能性があります。東京23区では2023年に分譲マンションの販売価格平均が1億円円を突破しており、キャッシュフローを黒字にするのが難しくなっています。
3-2-2.中古の場合
中古区分マンションのデメリットは、築古物件ゆえの空室リスクでしょう。また、設備が古くなってくることで修繕のコストが発生しやすいことも押さえておくべきデメリットです。
3-3.区分マンション投資に向いている人
1戸単位の区分所有はどうしても収益性を高めるのに限界があるため、 1戸だけの運用のみによるキャッシュフローで考えると手残りは月々数万円程度になるのが一般的です。そのため、「お小遣い」の足しにしたい人や、分散投資の選択肢のひとつにしたいという人には、区分所有が向いています。
また、初心者が不動産投資に慣れる目的で最初に手がける場合は、ちょうど良いかもしれません。
3-3-1.新築の場合
新築区分マンション投資に向いている人は、長期間にわたる安定した資産運用を目指す人です。新築物件は、耐用年数が47年と長いため、減価償却を活用して長期間にわたって節税効果を得られることが期待できます。
また、設備や建物が新しいため、メンテナンスコストが低く抑えられ、初期の運用負担が少ないことも新築の魅力です。
3-3-2.中古の場合
中古区分マンションは、少額から不動産投資を始めたい人に向いています。特に、若い世代や不動産投資初心者にとっては、少ない自己資金でスタートできることが大きなメリットです。
また、中古物件は市場に多く出回っており、立地や条件に恵まれた物件を見つけることができれば、収益性の高い運用が可能です。不動産投資家としてキャリアアップしていく第一歩として、中古区分マンションは検討の価値があります。
4.戸建て投資
戸建て投資とは、一戸建ての住宅を所有して入居者からの家賃収入や値上がり益を狙う投資形態です。マンションやアパートと比べると、相続などで取得した土地や戸建て住宅を活用する形で賃貸経営をしているケースも多く見られます。
4-1.戸建て投資のメリット
戸建て住宅は入居期間が長くなりやすく、長期的に安定した収入が期待できます。また、総じて利回りが高く収益性が高いことも魅力的です。
さらに、土地と建物を所有するためリフォームやリノベーションといった価値の再生においても自由度が高いこともメリットでしょう。
4-1-1.新築の場合
新築の戸建て住宅は、ほかの形態と同様に入居者から選ばれやすいことが大きなメリットです。特に入居期間が長くなりやすい形態だけに「新築から長く住みたい」というニーズにも応えられることは、優位性となるでしょう。
戸建て住宅は外壁や屋根を含む全箇所の管理が必要になりますが、新築であればメンテナンスが不要であることが多く、維持コストも低めです。
4-1-2.中古の場合
中古の戸建て住宅は比較的安く購入でき、安い物件だと数百万円から投資が可能です。それゆえに利回りも高く、土地勘や物件選びの目利きに自信がある人であれば、成功する確率はより高くなるでしょう。
4-2.戸建て投資のデメリット
戸建て投資では、1戸に対して入居者は1人(1家族)です。そのため空室になると収入がゼロになってしまうことは区分マンションと同様のデメリットです。そのほかにも新築、中古それぞれに特有のデメリットがあります。
4-2-1.新築の場合
新たに土地を取得して家を建て、それを賃貸住宅にするとなると、かなり大きな初期投資額になります。その一方で相場を逸脱した家賃設定はできないため、利幅が小さい(利回りが低い)ことが新築戸建て特有のデメリットです。
また、相続などで土地のみを取得して家を建てる場合、その土地に十分な集客力があるかどうかを精査しなければ、空室に悩まされることになります。
4-2-2.中古の場合
中古の戸建て住宅は手直しが必要になることが多く、修繕やメンテナンスの費用をしっかり見積もっておく必要があります。
また、中古の戸建て住宅は安い物件が多く、ローンを組む際には金融機関からの担保評価が低くなりがちです。そのため、ローンの審査に通りにくいこともデメリットと言えます。
4-3.戸建て投資に向いている人
上記のメリットとデメリットを考慮すると、戸建て投資に向いているのは時間的な余裕がある人、もしくは利益が上がるまでじっくり待てる人です。
マンションやアパートと比べると戸建て投資は市場がそれほど大きくないため、入居者を見つけるために時間を要することもあります。そのため、すぐに結果を求めるようなタイプの人には不向きで、時間的、経済的な余裕のある人に向いています。
4-3-1.新築の場合
新築の戸建て投資に向いているのは、土地を相続した人など、「家を建てる場所」がある人です。土地の取得から始めると初期費用がかさみ、キャッシュフローが赤字になる可能性が高いため、それなら戸建て以外にも選択肢があります。
すでに土地がある人はそれを活用することで優位性を高められるので、戸建て投資向きです。
4-3-2.中古の場合
中古の戸建て住宅は価格の安いものが多く、当記事で紹介した不動産投資のなかで最も少額からの参入が可能です。その一方でコストを抑えるためにDIYで修繕をする場面もあるため、少額からの投資でなおかつ自分で修繕や管理ができる人には中古戸建て投資が向いています。
5.新築と中古のどちらを選ぶべき?
新築と中古について、全体的な比較・解説をしたいと思います。同じ種類の物件であっても新築と中古とでは大きく異なる部分もあるので、その違いに注目してください。
5-1.新築の特徴
新築物件の強みは、何といっても「新しいこと」です。新しいことで入居者を集めやすくなりますし、金融機関からの融資も引きやすくなります。建物だけでなく設備も新しいので突発的な修繕などが発生しにくく、賃貸経営の見通しを立てやすいのは初心者にとって大きなメリットでしょう。
その一方で、新築物件はどうしても購入価格が高くなりがちです。それゆえにキャッシュフローを出しにくく、場合によっては赤字になることも珍しくありません。リスクは低いですが収益性も低いというのが、新築不動産投資に共通する特徴です。
5-2.中古の特徴
新築に対して中古の不動産投資は、メリットとデメリットがほぼ裏返しになります。購入価格は新築よりも安いですが、その一方でメンテナンスの費用がかさむ、金融機関からの融資が引きにくい、といったデメリットもあります。
しかし、中古物件は市場価格で流通しているため適正価格で購入しやすく、また古い建物の中には好立地のものも含まれているため、うまく立地条件に恵まれた中古物件を仕入れることができれば、新築よりも有利な環境で不動産投資をすることができます。
6.区分マンション投資で2件目を購入するタイミング
1件目の賃貸経営が安定してきたら、次に考えたいのが2件目の投資です。区分マンション投資で1件目を成功させた多くの投資家は、以下の条件が整った時点で2件目の購入を検討することが多いです。
これらの条件に当てはまる場合、2件目の購入タイミングとして適していると言えるでしょう。
6-1.1件目の経営が安定しローン残債が少なくなったとき
ローンの残債が減り、完済が見えてきたタイミングは、不動産投資における重要な節目です。この時期は返済の負担が軽くなり、リスクが大幅に低下します。
また、1件目の物件が安定して運用できている証拠でもあり、家賃収入が順調に確保され、ローン返済も滞りなく進んでいることから、賃貸経営に対する自信が自然とついてくる時期とも言えます。
このように1件目が成功していれば、2件目の投資を検討する好機です。資金繰りや管理体制が整った状態で、さらなるキャッシュフローと資産形成を目指すことが、投資家としての成長につながります。
6-2.1件目がデッドクロスを迎えるとき
不動産投資におけるデッドクロスとは、減価償却費がローンの元金返済額を上回っていた状態から逆転し、元金返済額が減価償却費を超える状態のことを指します。デッドクロスが発生する前は、減価償却費が元金返済額を上回っているため、節税効果が大きく得られます。
しかし、ローン返済が進むにつれて元金返済額が増え始めるとデッドクロスが発生し、その結果、節税効果は徐々に縮小していきます。このタイミングで2件目の物件を購入することで、再び減価償却費や利息負担といった経費を増やし、節税効果を回復させることができるのです。
6-3.1件目のローンを完済したとき
1件目のローンを完済すると、返済負担がなくなるため、家賃収入がほぼ全額手元に残るようになります。このタイミングでは、収益性が大きく向上し、経営の安定感が一段と強まります。
ローンの支払いという大きな固定費がなくなることで、キャッシュフローに余裕が生まれ、突発的な費用や新たな投資への対応力も増します。
また、1件目の物件運用で得た経験と成功に基づき、賃貸経営のスキルや判断力が向上しているため、2件目の投資に踏み出すための自信もついている頃でしょう。これらの要素がそろうことで、次の物件に挑戦する理想的なタイミングとなります。
7.不動産投資の選択肢を知って自分に合った形を選ぼう
不動産投資にはさまざまな形態がありますが、今回は代表的な3つのスタイルを紹介しました。それぞれに新築と中古の違いがあり、どちらを選ぶかで運用方法やリスクも異なります。ぜひ、これらの情報をもとに自分に合った投資スタイルを見つけてみてください。
また、区分マンション投資で多くの投資家が直面する「2件目購入のタイミング」についても解説しました。資産を着実に増やすための重要なステップですので、こちらもぜひ参考にして今後の計画に役立ててください。