不動産投資

副業禁止の公務員でも不動産投資はできる!むしろ始めるべき2つの理由

「公務員は副業をしてはならない」というのは、ご自身が公務員ではなくても多くの方がご存じのことではないでしょうか。詳しい理由は本文中で解説しますが、公務員の副業禁止(兼業禁止)は法律にも明記されています。

それでは不動産投資も禁止なのかというと、そんなことはありません。ただし、公務員が不動産投資をする場合には一定の条件やルールがあるので、公務員が新たに不動産投資を始める際にはそれを熟知しておく必要があります。

本記事では公務員で不動産投資を始めたいと思われている方々に向けて、公務員と不動産投資の関係について、その基本から注意しておくべきことまで解説します。

副業禁止の公務員でも不動産投資はできる!むしろ始めるべき2つの理由

1.なぜ公務員は副業をしたらいけないの?

そもそも、なぜ公務員の副業は法律で禁じられているのでしょうか。まずは、その法律について確認しておきましょう。

国家公務員法第103条では「私企業からの隔離」、同第104条では「他の事業又は事務の関与制限」が規定されています。第103条では民間の営利企業と利害関係を持つことを禁じ、第104条では兼業(副業)を禁じています。

公務員が民間企業の従業員になると、その立場を悪用して便宜を図ってしまうかもしれませんし、副業のしすぎで本業が疎かになってしまう懸念もあります。公務員の副業が禁止されている主な理由は、この2つです。

地方公務員法にも同様の規定があり、それぞれの公務員は原則として副業をすることができない法体系になっています。

このように公務員は法律の規定によって副業が禁止されているわけですが、不動産投資は条件によっては認められています。なぜ不動産投資なら認められるのか、どんな条件であれば認められるのかについては、次項で解説します。

2.公務員が不動産投資をできる条件

公務員が不動産投資をしても、条件によっては禁止されている副業に該当しません。その条件については以下の項目で解説していきますが、不動産投資であれば認められることには主に2つの理由があります。

1つめの理由は、「投資」だからです。公務員といえども株やFXなどの投資が禁じられているわけではありません。その理由は、労働を伴わないからです。労働を伴わない資産運用であれば本業に支障をきたすこともないので、不動産投資であっても管理を委託するなど労働を伴わないのであれば問題はありません。

もう1つの理由として、相続が挙げられます。本人にその意思がなくても相続によって賃貸物件を取得し、それを運営している人は少なくありません。これも禁止してしまうと賃貸物件を相続する可能性がある人は公務員になれないことになってしまいます。

これらの理由で不動産投資は公務員であっても参入可能ですが、そこには条件があります。その条件について、解説していきます。

2-1.不動産投資の規模が5棟10室未満であること

公務員の不動産投資には「認められる範囲」があります。その範囲は「5棟10室」と呼ばれるものです。5棟10室以上は事業と見なされるため、認められるのは「5棟10室未満」です。そのため独立家屋であれば4棟まで、区分物件であれば9室までです。この基準は人事院規則によって規定されており、この規模を超える不動産投資は「自営」に当たるとしています。

例えば戸建て住宅が4軒まで、または区分マンション9室までであればこれらの基準以内ということになります。

なお、区分マンションは2室を独立家屋の1棟として計算します。そのため、戸建て住宅を2軒と区分マンションを6室所有している場合は独立家屋5棟分になるため、「5棟10室未満」の基準を超えてしまうことになります。

2-2.家賃収入が年500万円未満であること

それでは前項で解説した「5棟10室」さえ超えなければ禁止されている副業と見なされないのかというと、そうとは言い切れません。もう一点、注意したいことがあります。それは、年間の家賃収入の規模です。

先ほど紹介した人事院規則では、「不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額が500万円以上」であることも自営にあたると規定されています。「5棟10室」の基準未満の規模であっても、年間の家賃収入が500万円を超えると禁止されている副業と見なされる可能性があるので、公務員の方々はこの基準にも注意が必要です。

2-3.管理業務を委託すること

公務員であっても咎められることなく不動産投資をするには、物件と家賃収入の規模に続いて、もうひとつ条件があります。それは、管理業務の委託です。これについても人事院規則に規定があり、不動産投資に関連する業務を管理業者に委託して公務員としての本業に支障が出ないようにすることが条件として明記されています。

サラリーマン大家と呼ばれる人たちは、サラリーマンとしての本業と不動産投資を両立しています。民間企業の場合は副業が禁止されていないこともありますが、それでもほとんどのサラリーマン大家は業務の大半を管理会社に委託しています。そのほうが本業との両立をしやすいですし、精神的・肉体的な負担から解放されるからです。

公務員が不動産投資をする場合も、人事院規則の規定に関係なく管理業務を委託することがほとんどなので、3つめについてはあまり気にしなくてもよい条件かもしれません。

3.不動産投資が公務員に向いている理由

副業禁止の規定を意識する必要はあるものの、公務員は不動産投資に向いている職業だといわれています。その理由は、2つあります。

3-1.公務員は属性が高いと見なされる

「親方日の丸」という言葉があるように、公務員の身分が安定していることは多くの人のイメージどおりです。それは融資の審査においても同様で、公務員で一定以上の勤続年数がある人は金融機関からの融資を引きやすく、不動産投資を始める際に有利な立場にあります。

審査に通りやすいことに加えて、金利や融資額、融資期間などにおいても有利な条件を引き出しやすいので、これは公務員が不動産投資を始める際に活かすべき優位性です。

3-2.公務員の属性は職種とは無関係

公務員が融資の審査において有利であることと、職種は無関係です。サラリーマンや自営業者など他の職業の場合は職種が審査に影響を及ぼすことがありますが、公務員はどの職種であっても収入が安定していることに変わりはないので、職種による有利・不利がないのもメリットです。

4.公務員が不動産投資をする時の注意点

公務員は勤務している省庁や部署、担当、時期によっては多忙のために不動産投資のために使える時間がほとんど取れない可能性もあるでしょう。

例えば2020年に端を発したコロナ禍では、厚生労働省や各地の保健所、地方自治体の関連部署で働く人たちが不眠不休状態で対応に追われることとなりました。コロナ禍以外にも災害発生時など、公務員が突発的に多忙になることは十分あり得ます。

警察官も大きな事件が起これば昼夜を問わず駆りだされるでしょう。自衛隊員は有事や大規模災害が発生すれば解決するまで休みなどなくなる可能性もあります。このように職業柄、民間企業に務める一般的なサラリーマン以上に自分の時間がまったく取れない事態になることも考えられます。

その際に収益物件や入居者にトラブルがあると「まったく対応ができない」「管理会社に一任する」といった状態になるかもしれません。もし確定申告の時期と重なってしまったら、書類の提出期限に間に合わない可能性もあるでしょう。

このような時に慌てないためには、信頼のおける不動産会社をパートナーとして選んでおくことが重要です。

5.有利な立場にある公務員、でも慢心にご用心

公務員と不動産投資の関係について、メリットと注意点の両面から解説しました。融資審査の面で有利になることは間違いないので、その有利な立場を活かして将来や老後に備えて不動産投資を始めるのは有効な選択肢です。

しかし、公務員は特別な立場ゆえに知っておくべき法令や基準、注意点もあります。本文中でも述べているように、無用な不利益を被ることがないよう、信頼できる不動産会社をパートナーにしてアドバイスを受けながら安全かつ無難に不動産投資を始められる環境を整備しましょう。

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