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不動産投資
不動産投資の副業を節税目的でする時のポイント
日本の所得税は、累進課税制度が採用されているため、収入が多い人ほど所得税の適用税率は高くなり、その負担は重くなります。企業のオーナーや個人事業主の人たちには、さまざまな節税する方法がありますが、サラリーマンの場合は、節税方法が少ない傾向です。しかし、不動産投資はサラリーマンでも行える節税方法の一つであるため、安定した収入のあるサラリーマンなどから注目を集めています。
日本の所得税の大まかな仕組み
不動産投資は、税金対策という面から見ても副業がしたいサラリーマンの方におすすめの方法です。特に、給与所得が多く毎年の所得税や住民税の負担が大きい方にとって、節税効果の高い方法となるでしょう。この節税方法の内容を理解するためには、まず日本の所得税の基本的な仕組みを押さえておく必要があります。
日本における所得は、給与所得や不動産所得、事業所得など10種類に分けられ、それぞれの所得を個別に計算することが必要です。そして、その後に各所得を合算し課税標準というものを求めます。この合算の際に、一部の所得間では損益通算や損失の繰越控除などが行えます。つまり、給与所得や事業所得が高くて、本来は高額の所得税や住民税を課せられる場合でも、損益通算ができる所得の中に赤字のものがあれば課税標準が下げられるため、所得税を抑制することが可能です。
もちろん、赤字が発生して実際の実入りが少なくなってしまうと、いくら節税をしても、そもそもの収入が下がってしまうので本末転倒といえます。しかし、不動産投資の場合は、実際にお金が出ていかない減価償却費により、会計上の赤字が生まれることがあるのです。
不動産投資で節税できるのは減価償却が発生するから
お金が出ていかないのに、不動産投資で会計上の赤字が生まれる理由は建物や設備の減価償却費にあります。通常、経費の支出は発生した年に計上されますが、機械設備や内装設備、建物など長期間に渡って使用する資産の購入代金は単年で一度に計上されません。購入価額を一度資産として計上し、その後、各資産の耐用年数に応じて複数年に分割して経費計上されるのです。
この仕組みを減価償却、毎年計上される経費を減価償却費といいます。不動産投資の場合、建物や付属設備がこの減価償却の対象となります。土地はどれだけ利用しても、その価値が毀損されないので購入後、資産計上されますが、減価償却の対象にはなりません。そのため、更地ではなくアパートやマンション、戸建住宅などへ不動産投資を行うと、耐用年数が過ぎるまで実際に現金の移動がなくても、会計上は減価償却費が計上されることになるのです。
不動産投資では、物件からの賃料収入が発生します。賃料収入よりも減価償却費が多い場合、不動産所得は赤字となり、給与所得など他の所得と損益通算して税金を抑えることが可能です。
税も含めたトータルで収支バランスを見る重要性
現在、所得税や住民税に悩まれている方の中には、こうした節税方法に興味を持たれた方も多いでしょう。ただ、不動産投資は収益を上げることが目的であり、節税だけの目的で行うべきではありません。
節税効果を最大化しようとする場合、購入した不動産のうち土地は減価償却の対象にならないため、建物比率の高い物件を、つい購入したくなります。また、中古建物は新築建物に比較して法定耐用年数が短く設定されており、建物価格が同じであれば、単年度で得られる減価償却費が大きくなるため、魅力的に感じるでしょう。
しかし、不動産投資そのものが成功しなければ、節税効果以上の損失が発生してしまうわけで、節税という観点だけで購入物件を選ぶのは好ましくないのです。節税効果が高いか否かは、入居者がつくかどうかとまったく別の話になります。そのため、減価償却費が計上できる耐用年数期間を超えてからのことも考えて、事業計画を立てなければなりません。あくまでも節税は、不動産投資の副次的な効果であり、トータルで見た収支バランスを意識しながら慎重に物件を選択しましょう。