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マンション経営で金利上昇は怖い?知っておくべき影響と今からできる対策を徹底解説

※本記事の情報は、2026年1月時点のものです。金利動向や経済情勢は変動する可能性があるため、最新の情報をご確認ください。

日銀の金融政策転換が報じられ、「いよいよ金利が上昇するかもしれない」というニュースが経済面をにぎわせています。マンション経営を検討している、すでにローンを組んで運用しているという場合、「金利上昇」は最も気になる不安要素の一つではないでしょうか。

「金利が上がったら、ローンの返済額が増えて経営が成り立たなくなるのでは?」「今から始めても大丈夫だろうか?」

こうした不安は当然のものです。しかし、金利上昇は、ただ怖いだけのものではありません。
その影響を正しく理解し、適切な対策を講じることで、リスクをコントロールし、むしろ安定した資産形成を続けることが可能です。

この記事では、金利上昇がマンション経営に与える具体的な影響から、インフレや円安との複雑な関係、そして今すぐ実践できる具体的な対策まで、専門家の視点で徹底解説します。

マンション経営で金利上昇は怖い?知っておくべき影響と今からできる対策を徹底解説

1. 金利上昇が不動産価格に与える直接的な影響とは?

金利が上昇すると、マンション経営の根幹である「不動産価格」にどのような影響が出るのか、基本的な関係性を解説します。一般的に、金利が上昇すると、不動産価格は下落する圧力がかかると言われています。その主な理由は以下の3つです。

1-1. ローン審査の厳格化と融資条件の変化

金利が上昇すると、金融機関は貸し倒れリスクを避けるため、不動産投資ローン(アパートローンなど)の審査を厳格化する傾向があります。具体的には、求められる自己資金の割合が増えたり個人の年収や属性に対する審査基準が引き上げられたりします。

これにより、以前はローンを組めた人でも組めなくなるケースが増え、市場で物件を購入できるプレーヤーが減ります。結果として、買い手需要が減り、不動産価格の下落圧力となります。

1-2. 投資利回りの低下と物件価格への影響

マンション経営の収益性は、投資利回り(イールドギャップ=物件の実質利回り − ローン金利)で測られます。金利が上昇すると、このイールドギャップが縮小し、投資妙味が薄れます。

たとえば、実質利回り4%の物件を金利1%で運用していた場合、イールドギャップは3%です。しかし、金利が2%に上昇すると、イールドギャップは2%に低下します。投資家は、より高い利回りを求めるようになるため、既存の物件価格のままでは売れにくくなり、価格を下げざるを得なくなるのです。

1-3. 資金がマンション投資以外へ流れる可能性

これまでの低金利時代は、銀行預金や国債といった安全資産の利回りがほぼゼロだったため、相対的に利回りの高いマンション投資に魅力がありました。

しかし、金利が上昇して国債や定期預金の利回りが上がると、「リスクを取ってマンション経営をするよりも、安全資産で運用したほうが良い」と考える投資家も出てきます。これにより、不動産市場から資金が流出し、需要が減少することも、価格下落の一因となり得ます。

2. インフレ・円安と金利上昇の関係性:マンション経営への複合的影響

現在は、金利上昇だけでなく「インフレ(物価上昇)」と「円安」も同時に進行しています。これらが金利上昇と複雑に絡み合い、マンション経営に複合的な影響を与えます。

2-1. インフレがマンション経営にもたらす影響と注意点

一般的に、インフレ(物価上昇)は、家賃や不動産価格も押し上げる要因となるため、面があります。

  • プラス面:物価や人件費の上昇に伴い、家賃相場も上昇しやすくなります。すでに物件を保有しているオーナーにとっては、賃料を改定し、収益性を改善するチャンスとなり得ます。
  • 注意点:建築資材費や人件費が高騰するため、新築マンションの価格が上昇します。また、修繕費用も高くなるため、長期的なコスト管理がより重要になります。

2-2. 円安がマンション経営に与える影響と日本の特殊事情

円安は、海外から見ると「日本の不動産が割安で買える」状況を生み出します。

  • プラス面:割安感を背景に、海外の投資家からの資金が日本の不動産市場、特に都心の高級マンションなどに流入しやすくなります。これにより、特定のエリアでは価格が下支えされる、あるいは上昇する可能性があります。
  • 注意点:インフレと同様、輸入される建築資材(木材、鉄骨、設備など)の価格が高騰し、新築価格やリノベーション費用の上昇要因となります。

こちらは、一般社団法人日本不動産研究所が調査・発表したレポート「第24回国際不動産価格賃料指数」に掲載された高級マンション価格の国際比較です。

2-2. 円安がマンション経営に与える影響と日本の特殊事情

日本不動産研究所「第24回国際不動産価格賃料指数」より

東京を100として世界各地の高級マンション価格を指数化すると、まだまだ日本の不動産に割安感があることが分かります。ニューヨークや香港が2倍以上の価格水準であることを考えると、海外の投資家が東京や大阪など日本の大都市圏の不動産に注目しても不思議なことではありません。

こうした海外勢の旺盛な投資意欲により、東京や大阪など大都市圏ではマンション価格の高騰が起きています。あくまでも海外の投資家が注目しやすい大都市圏の不動産に限定されますが、円安は日本の不動産価格を押し上げる要因です。

3. 今後の金利動向予測:最新見解と今後の展望

マンション経営者にとって最も重要なのが、「今後、金利は実際にどの程度、どのようなスピードで上がるのか」という点です。

3-1. 日銀の金融政策と市場金利の動き

日本の金利動向は、日本銀行(日銀)の金融政策によって決定的な影響を受けます。2024年にマイナス金利政策が解除されましたが、日銀は依然として「当面、緩和的な金融環境が継続する」との姿勢を示しています。

これは、急激な金利上昇が日本経済や国民生活に与えるショックを和らげる狙いがあります。したがって、欧米のような急激な利上げ(例:1年で数%の上昇)が行われる可能性は低く、上昇するとしても非常に緩やかなペースになるというのが、2026年1月現在の市場のコンセンサスです。

3-2. 長期金利と短期金利の動向予測

マンション経営のローンに影響するのは主に「長期金利(10年国債利回りなど)」と「短期金利(日銀の政策金利)」です。

  • 長期金利(固定金利ローンに影響):市場の動向を反映しやすく、すでに緩やかな上昇傾向にあります。今後も、日銀の政策修正の思惑や海外金利の動向次第で、変動幅が大きくなる可能性があります。
  • 短期金利(変動金利ローンに影響):日銀の政策金利に直結します。日銀が追加利上げに踏み切れば、変動金利の基準となる金利も上昇します。ただし、その上げ幅は当面、0.25%〜0.5%程度に留まるとの見方が大勢です。

4. マンション経営における金利上昇リスクに備える実践的対策【ロードマップ】

金利が「緩やかに上昇する」可能性が高い今、マンション経営者が取るべき対策は明確です。パニックになる必要はありませんが、備えは必須です。実践的な対策をロードマップとして解説します。

4-1. ローン選択と借り換え戦略:変動・固定金利の最適な選び方

これからローンを組む、あるいは借り換えを検討しているのであれば、金利タイプの選択は最も重要な戦略です。

4-1-1. 変動金利のメリット・デメリットとリスクヘッジの考え方

  • メリット:固定金利に比べて金利水準が低い。金利上昇が緩やかであれば、固定金利より総返済額を抑えられる。
  • デメリット:金利上昇リスクを直接的に負う。
  • リスクヘッジ:
    1. キャッシュフローの確保:金利が1%〜2%上昇しても、家賃収入で十分に返済できる(赤字にならない)ような、余裕のある収支計画を立てる。
    2. 繰り上げ返済の準備:手元資金を厚くしておき、金利が本格的に上昇する前に繰り上げ返済で元本を減らす準備をしておく。

4-1-2. 固定金利のメリット・デメリットと適用条件の確認ポイント

  • メリット:返済額が全期間(または一定期間)変わらないため、収支計画が非常に立てやすく、精神的な安心感が大きい。
  • デメリット:変動金利より当初の金利設定が高い。金利が上昇しなかった場合、変動金利より総返済額が多くなる。
  • 確認ポイント:「全期間固定」なのか「10年固定」などの期間選択型なのかを確認。固定期間終了後の金利優遇幅もしっかりチェックすることが重要です。

4-2. 繰り上げ返済の効果的な活用法とシミュレーションの重要性

すでに変動金利でローンを組んでいる場合、「繰り上げ返済」は最も有効な金利上昇対策です。手元資金に余裕があるなら、金利が低いうちに元本を減らしておくことで、将来金利が上昇した際の利息負担を大幅に軽減できます。

「期間短縮型」と「返済額軽減型」がありますが、利息軽減効果が高いのは「期間短縮型」です(「期間短縮型」は毎月の返済額を変えず、返済期間を短くする方法で、総利息の削減効果が大きいとされます。もう一つの「返済額軽減型」は返済期間を変えず、毎月の返済額を減らす方法で、キャッシュフローに余裕ができます。変動金利の場合、将来の金利上昇リスクを考えると、「期間短縮型」のほうが利息削減メリットは大きくなる傾向があります)。

ただし、手元の現金が減りすぎるのもリスクです。必ずシミュレーションを行い、手元資金と返済のバランスを見極めましょう。

4-3. 賃料設定と空室対策の最適化

金利上昇(コスト増)を吸収するためには、収入(家賃)を増やす努力も必要です。

金利上昇の一因であるインフレは、家賃の引き上げ交渉の追い風になる可能性があります。周辺の家賃相場をリサーチし、適正な水準であれば、既存入居者や新規入居者に対して賃料改定の交渉を行うことも戦略の一つです。

また、金利上昇局面で最も避けたいのは「空室」です。リノベーションで物件の競争力を高める、管理会社と連携して迅速な入居者募集を行うなど、空室期間を最小限に抑える対策を徹底しましょう。

4-4. 物件の収益性向上と出口戦略の検討

コスト(金利)が上がるなら、物件の「質」を高めて収益性を向上させる必要があります。たとえば、無料Wi-Fiの導入、宅配ボックスの設置、セキュリティの強化など、入居者ニーズの高い設備投資を行うことで、家賃下落を防ぎ、収益性を維持します。

また、金利が上昇し、不動産価格が下落する前に、保有物件を売却して利益を確定させる「出口戦略」を検討するのも一つの手です。市況を冷静に見極め、最適なタイミングを判断することが求められます。

5. 金利上昇局面でもマンション経営が依然として有望な理由と成功の秘訣

金利上昇は確かにリスク要因ですが、それをもって「マンション経営はもう終わりだ」と考えるのは早計です。正しく対策すれば、マンション経営は依然として強力な資産形成の手段であり続けます。

5-1. インフレヘッジとしてのマンション投資の価値

金利上昇は、多くの場合インフレ(物価上昇)とセットで起こります。インフレ局面では、現金の価値は目減りしていきます。一方、マンションという「実物資産」は、インフレに合わせてその価値(不動産価格や家賃)も上昇する傾向があります。

つまり、マンション経営は、あなたの資産をインフレから守る「インフレヘッジ(資産防衛)」として、低金利時代よりもむしろその価値を高めていると言えるのです。

5-2. 専門家と連携してリスクを乗り越える重要性

金利上昇、インフレ、円安が絡み合う複雑な経済局面では、自己判断だけで最適な戦略を実行するのは困難です。マンション経営の成功の秘訣は、信頼できるプロフェッショナルと連携することにあります。

最新の金利動向に詳しい金融機関の担当者や、賃貸市場を知り尽くした不動産管理会社、税務の専門家である税理士など、それぞれの専門家の知見を活用すること。それが、不確実な時代にリスクを最小限に抑え、あなたの資産を確実に守り育てるための最も賢明な方法です。

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