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不動産投資
中古ワンルームマンション投資がおすすめの理由!5大リスクの回避策も解説
不動産投資の対象物件は多岐にわたります。アパートやマンションといった建物の種類だけでなく、マンションのなかでもファミリータイプやワンルーム、さらには新築や中古といったように細かく分類されます。
このように多くの種類があるなかで、当記事では初心者向きの不動産投資として、都心の中古ワンルームマンション投資をおすすめしたいと思います。「成功しやすい」ことが最大の理由ですが、なぜ都心の中古ワンルームマンションだと成功しやすいのか、さまざまな観点から解説します。
1.都心の中古ワンルームマンション投資がおすすめの理由
中古ワンルームマンション投資で成功するには都心の物件を選ぶべきだという「鉄則」があります。その理由は、2つあります。
1つめの理由は、不動産の価格です。不動産の価格は、大きく分けて土地と建物から構成されています。土地の価格については、相場変動はあるものの基本的には将来にわたって使用できるものとして減価が生じません。これに対して、建物の価格は経年劣化に伴って減価が生じることになります。この減価とは、価値が低下していくという意味です。土地は劣化することはない一方で建物は経年による劣化があるということです。
一般的に建物の価値は新築時がピークとなり、最初に入居が発生した時点にもっとも資産価値の低下幅が大きくなります。その後、経年にしたがって物件価格は低下しますが、当初に比べると緩やかな低下にとどまります。都心の物件であれば、中古でも一定の需要が存在し続けるため、長年にわたり価値が維持されます。
このような特徴を考慮すると、ある程度価格が下がった段階で中古物件を購入すれば、その後の価値低下のリスクを低く抑えられることになります。
もう1つは、人口の動態です。日本の人口が減少傾向にあることは知られていますが、逆に、東京の人口は依然として増加傾向にあることをご存じでしょうか。東京都が発表した資料によると、2023年6月1日時点で東京都の人口は1,400万人を超えており、2023年だけの推移を見ても人口の増加傾向が続いています。
今後は東京都も人口の減少が始まるといわれていますが、首都圏への人口流入が今後も続くことを考えると人口の減少スピードは緩やかで、賃貸住宅の需要は堅調に推移することが予想されます。
東京一極集中の弊害も指摘されているため、さまざまな形で緩和策なども検討されていますが、人口減少期における地方から都心部への人口集中は、大きな流れとして把握しておきたいところです。
2.中古ワンルームマンション VS 新築ワンルームマンション
ワンルームマンション投資において、ここでは中古と新築の比較をしてみたいと思います。中古と新築、それぞれのワンルームマンション投資においてメリットとデメリットを整理しました。
2-1.中古ワンルームマンションのメリット・デメリット
中古ワンルームマンションのメリットとデメリットから確認していきましょう。
中古ワンルームマンションのメリット
①新築よりも価格が安く購入のハードルが低い
新築マンションよりも中古マンションのほうが価格が安いので、購入できる人のすそ野が広くなります。マンション投資を始めたいと思っても資金が足りないと感じている人のなかにも、中古マンションであれば購入できるという人はいるでしょう。
②価格が安いゆえに利回りが高くなる
マンション投資の利回りは、年間の家賃収入を物件の取得価格で割って求めます。この計算式で利回りを高くするには、家賃収入を高くするか、物件の取得価格を安く抑えるか、もしくはその両方です。中古マンションは取得価格を安く抑えられるメリットがあることに加えて、家賃が新築時よりも急激に下がることもないため、中古マンション投資は総じて利回りが高くなります。
③好立地の物件が含まれている
不動産は動かせない資産です。どんなに立地条件に恵まれた場所であっても、そこに既存の建物があればマンションを建てることはできません。つまり、これから建てられる新築マンションは、残された土地から立地を選ぶ必要があります。
それに対して中古マンションが建てられた当時は今よりも候補地の選択肢が広かった可能性がありますし、マンションが建てられた後に新しい駅ができたり周辺が発展したりして好立地化したケースもあります。中古マンションのなかにはこうした理由から好立地の物件が含まれており、それをうまく見つけるのも醍醐味といえます。
④購入後は資産価値が下がりにくい
新築マンションの資産価値は最初がピークであり、一度でも誰かが入居すると価値は大きく下落します。購入後の不動産の資産価値が下落することは家賃相場にも影響するため、できることならすでに下落した物件を購入するのが得策です。
そこでご覧いただきたいのが、以下のデータです。こちらは公益財団法人東日本不動産流通機構が発表した、中古マンションの築年帯別単価のグラフです。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)
このグラフを見ると、築0年(つまり新築)から築10年までの下落幅が大きいことが分かります。そして築11年から20年までの下落は緩やかになり、再度築21年から25年に向けて下落幅が大きくなります。
この傾向を踏まえると、築11年前後が中古マンションの買い時ということになります。買った後で資産価値が大きく低下するタイミングではなく、すでに大きく低下した後で購入することで資産価値の低下を最小限に抑えることができます。
中古ワンルームマンションのデメリット
①修繕やメンテナンス費用が高額になることがある
中古マンションは新築マンションと違って、建物だけでなく内装や設備などが劣化している可能性があります。安く売りに出されているマンション物件を安易に買ってしまい修繕費用が予想以上にかかってしまったという事例もあるため、より慎重な物件選びが求められます。
多くの劣化箇所があることを理解しつつマンション物件を購入する際には、それを手直しするための費用を考慮しておく必要があるでしょう。
②「古さ」が集客力の低下につながる
日本人には新しいものを好む国民性があるため、中古マンションだと「古さ」が集客力低下につながる可能性があります。空室になるとその期間は家賃収入がゼロになってしまうため、融資を利用している場合は手持ち資金からの持ち出しになってしまいます。中古マンションは利回りの高さが魅力ですが、それは入居者があっての話です。
③融資を受ける際に不利になることがある
新築マンションと比べると中古マンションは融資を受ける際、融資額や金利などの条件で不利になる可能性があります。そのため、中古マンション投資では融資に強い不動産会社から購入することや、担保評価が高い物件を選ぶなどの対策が必要です。
2-2.新築ワンルームマンションのメリット・デメリット
中古に続いて、新築ワンルームマンションのメリットとデメリットについても解説します。基本的には中古ワンルームマンションの裏返しです。
新築ワンルームマンションのメリット
①物件の新しさゆえに集客力が高い
日本人の国民性もあって新しいものは好まれやすく、新築や築浅のマンションは高い集客力を有しています。築年数が浅いうちは空室に悩まされる可能性は低いでしょう。
②修繕やメンテナンスの負担が少ない
新築時は建物だけでなく内装や設備もすべてが新品なので、修繕やメンテナンスの必要がほとんどなく、維持費が安く済むメリットがあります。賃貸経営において物件内で不具合が生じることは満足度の低下にもつながるため、新築マンションは入居者の満足度も高めやすいでしょう。
③融資を受けやすい
新築マンションは金融機関からの担保評価や収益性の評価が高くなるため、有利な条件で融資を受けられる傾向があります。融資の利用を前提にマンション投資を考えている場合、審査に有利であることは追い風になります。
新築ワンルームマンションのデメリット
①新築プレミアムの分だけ物件価格が割高
中古マンションと違って、新築マンションはそのマンションの建設費用や広告費、販売費、さらにディベロッパーの利益などを上乗せして価格が決まります。これに対して中古マンションは不動産市場の需給で価格が決まるため、そこには大きな差が生じます。
先ほど述べたように新築から一度でも誰かが入居すると資産価値の下落幅が最も大きくなるのは、「新築プレミアム」という価格の上乗せ分があるからです。新築マンションをすぐに売りに出すと市場価格で取引されるため新築時の価格というわけにはいきません。その価格差によって、新築プレミアムがどの程度あるのかがすぐに分かります。
新築マンション投資はこの上乗せ分も含めた仕入れ価格になるため、どうしても損益分岐点が高くなってしまいます。
②利回りが低くなりがち
不動産投資の利回りは年間の家賃収入を物件の取得価格で割って求めるため、分母にあたる取得価格が高い新築マンションは、どうしても利回りが低くなってしまいます。ローン返済額が大きくなると、収支がマイナスになってしまうことも少なくありません。
③売却損が大きくなる可能性がある
マンションの価格は新築時から10年間に最も大きく下落することは、先ほどのデータからお分かりいただけたと思います。新築マンションを売却すると新築時の価格と売却価格の差が大きくなるため、売却損が大きくなる可能性が高くなります。
2-3.初心者は特に中古ワンルームマンションのほうが成功しやすい
これから不動産投資を始めたいと考えている初心者にとって、特に中古ワンルームマンションは成功しやすいといえます。ここまでの解説を整理しつつその理由を箇条書きにすると、以下のようになります。
- 物件価格が新築より安く購入のハードルが低い
- 市場価格で購入できるため売却損が発生しても少ない
- 好立地の物件を探せば安定的な賃貸経営が期待できる
- 利回りが総じて高く、すぐに結果を出しやすい
特に4つめの理由は、初心者にとって大きな意味があります。いくつも物件を運用しているベテランであれば長期目線で利益を上向けていくような戦略も有効ですが、これから1件目の物件を購入することになる初心者は、その1件目で利益を出していく必要があります。
中古ワンルームマンションだと不動産投資のメリットを早く実感しやすいというのは、初心者にとって大きなメリットです。
3.中古ワンルームマンション投資で失敗しやすい人や失敗事例
中古ワンルームマンション投資は成功しやすいことについて解説してきました。しかし、100%成功することが約束されているわけではありません。ここでは、中古ワンルームマンション投資で失敗しやすい人の特徴や典型的な失敗事例を紹介したいと思います。
3-1.失敗しやすい人の特徴
中古ワンルームマンションに限った話ではありませんが、不動産投資は知識と経験が勝負の世界です。物件を選ぶ際の目利きや賃貸経営のノウハウなど、知識と経験が結果に直結します。初心者は経験がないので、1件目の運用をする際には十分な勉強と準備が必要であることは言うまでもありません。
特にリスクについては十分な知識がないと回避する戦略を描けませんし、リスクが現実になったときに有効な対策も打ち出せません。
また、不動産投資の本質に対する理解不足も失敗の原因になります。不動産投資は長期目線で「トータルでプラス収支」を目指すビジネスです。株やFXのようにその日のうちに利益を上げるような性格の投資とは対極にあるので、同一に考えることは危険です。
かつて不動産バブルの当時は「不動産転がし」と呼ばれる短期的な利益モデルもありましたが、これは不動産投資の本質ではありません。短期的な利益を追い求めすぎることも、失敗しやすい人の特徴です。
ただし、ここで挙げた「失敗しやすい人の特徴」は、すべて克服できるものです。以下の点を意識するだけで「失敗しない人」になることは十分可能なので、初心者の方は特に強く意識しましょう。
- 十分な勉強をして知識を得る
- リスクについて正確に理解する
- 長期目線で収支計画を立てる
3-2.失敗事例
中古ワンルームマンション投資でよくある、典型的な失敗事例を2つ紹介します。なお、いずれにも回避策はあるので、その方法も同時に解説します。
①予想外の老朽化で修繕や交換費用がかさんで赤字に
中古の不動産は新築と違い、少なからず老朽化している部分があります。表に見えている劣化であれば素人目に見ても分かるかもしれませんが、問題は見えない部分の劣化です。不動産のプロでなければ見抜けないような劣化や不具合が隠れているかもしれないのが、中古マンション特有のリスクです。
購入後にこうしたリスクが表面化した場合、修繕や交換が必要になります。その費用が当初の計画よりもかさんでしまうと、不動産投資の収支を悪化させる恐れがあります。シミュレーションでは黒字運営ができるはずだったにもかかわらず、思わぬ出費によって赤字になってしまうのは、中古ワンルームマンション投資における典型的な失敗事例の1つです。
こうしたリスクを回避するには、プロによる物件の査定が有効です。2018年には宅建業法が改正され、中古住宅に対してインスペクション(住宅診断士による診断と説明)が義務化されています。こうした流れの中、中古住宅の劣化について信頼のおける診断や説明をする不動産会社も多くなっています。購入後に後悔しないためにも、信頼できる不動産会社を見極めることが重要です。
②立地条件が悪いマンションを購入し空室に悩まされる
マンションの集客力を決める最大の要素は、立地条件です。特にワンルームマンションは都心へのアクセスなど立地条件に恵まれていることを重視する入居者が多いため、入居者が「便利な場所にある」と実感できることが重要です。
逆に立地条件が悪い物件は集客力が低く、空室に悩まされる可能性が高くなります。立地条件がよくないことが理由で価格が安い中古ワンルームマンションもあると思いますが、価格の安さだけで選ぶと空室が発生しやすくなり、当初の計画どおりの収益が得られない恐れがあります。
立地条件については、購入時にしっかりと精査することが必要です。不動産会社から物件の提案を受ける際には立地条件について十分な説明を求めましょう。明確な根拠とともに立地条件に恵まれた物件を提案しているかどうかは、不動産会社選びの判断基準にもなります。
4.中古ワンルームマンション投資の5大リスクと回避策
中古ワンルームマンション投資には、主に5つのリスクがあります。ただし、これらのリスクはいずれも克服できる方法が確立されているので、リスク回避策とともに解説します。
4-1.老朽化のリスク
先ほど紹介した中古ワンルームマンション投資の典型的な失敗事例の原因になるリスクです。予想以上に多くの劣化箇所や不具合が見つかり、その修繕や交換のために費用がかさんでしまうことは経営上のリスクです。
【回避策】
中古ワンルームマンションは物件だけでなく室内にある設備なども新品ではないため、あと何年使用できるのか、交換の時期はいつなのかを事前にチェックして、購入後の計画をしっかり立てたうえで臨みましょう。
4-2.空室リスク
不動産投資は入居者があってはじめて成立するビジネスです。空室になると家賃収入が途絶えてしまうため、空室リスクは不動産投資の大敵です。中古ワンルームマンションは築年数の問題で不人気になることもあるため、安く買えるからと安易に購入すると空室に悩まされる恐れがあります。
【回避策】
先ほども述べたように、ワンルームマンションの集客力は立地条件による影響を強く受けます。人口が減少している、都心から遠い、交通アクセスがよくないといったように入居者が住みたいと思えないような物件は空室になりやすいため、入居者から支持される物件を選ぶことが大きなポイントです。
4-3.瑕疵のリスク
瑕疵(かし)とは、いわゆる不具合、欠陥のことです。表面に見えているものだけでなく、見えない部分の不具合がひそんでいる物件を購入してしまうと、購入後にその修繕や交換などで思わぬ出費を強いられます。
【回避策】
表に見えていない瑕疵を完全になくすことは難しいので、万が一瑕疵があった場合の規定を売買契約時に盛り込んでおくことが有効です。契約不適合責任といってマンション物件が売買契約の前提となる状態ではなかった場合に補償を求めることができる契約にしておくと安心です。
とはいえ、不動産投資初心者はこうしたことに詳しくないケースが多いでしょう。その際に頼りになるのが不動産会社なので、瑕疵のリスクについてきちんと説明があり、契約内容をどうするのかといった提案があると、信頼に足る不動産会社であると判断できる材料になります。
4-4.耐震基準のリスク
中古マンションの中には、現在の耐震基準になる前に建てられたものもあります。1981年6月の建築基準法改正により、現在のマンションは新耐震基準によって建てられています。築42年を超える中古マンションの中には旧耐震基準の建物があるため、万が一の地震の際に重大なダメージを受ける恐れがあります。
【回避策】
新耐震基準になったのは1981年6月のため、これよりも前に建てられたマンションの購入は避けるべきでしょう。なお、1981年6月以降に建てられたマンションであっても、建設期間のタイムラグにより旧耐震基準となっている場合もあるため注意が必要です。中古マンションの購入を検討する際は、築年数だけで判断しないようにしましょう。
4-5.既存入居者のリスク
投資目的で中古マンションを購入する際、すでに入居者がいるケースもあります。こうした物件はオーナーチェンジ物件と呼ばれ、購入直後に入居者を探す必要がない点がメリットです。
しかし、その一方で長く入居している人がいた場合は、その人が退去したあとに大規模な修繕が必要になったり、古い契約と同じ条件では家賃が高すぎて入居者が見つからなかったりするなどの問題が起きることがあります。それ以外にも家賃の滞納や他の入居者とのトラブル、クレームといった問題が起きるリスクもあります。
【回避策】
既存の入居者が退去することで考えられる問題は、やはり物件選びで回避するのが得策です。家賃相場が低下しにくい好立地のマンションを選べば影響を最小限に抑えられるでしょう。また、物件選びだけでなく不動産会社もしっかり精査することが大切です。
なお、賃貸経営に関する業務は管理会社に委託するのが一般的で、入居者への対応も管理会社の業務に含まれます。入居者への対応はスピードが求められることもあるので、別の本業がある方は管理会社に委託することをおすすめします。
5.都心の中古ワンルームマンション投資で成功するポイント
都心の好立地物件で中古ワンルームマンション投資をすれば成功する可能性が高いことは、ここまでの解説でイメージしやすいと思います。都心の物件であれば将来的にも地価が維持、もしくは上昇する可能性が高いため、資産価値の低下を防ぐことができます。
しかし、先ほど述べたように中古マンションには「古さ」ゆえのデメリットがあります。そこで検討したいのが、リノベーションです。近年ではリノベーションの技術が飛躍的に向上しており、物件を新築と見間違えるように再生することができます。また、まったく異なるコンセプトで付加価値をもたらすことも可能です。
つまり、都心で好立地の中古マンションをリノベーションすることにより、最も成功しやすい不動産投資の形が完成するということです。
6.人生100年時代の長期安定収入を目指して
人生100年時代といわれるようになって久しいですが、老後、つまりリタイア後の収入源をいかに確保するかは誰もが考えておくべき課題です。貯蓄で備えると考えている人は多いと思いますが、貯蓄には限りがあります。
それに対して不動産投資は物件の価値が続く限り安定的な家賃収入が期待できます。不動産投資のなかでも、本記事では都心の中古ワンルームマンションをおすすめしました。ただし、中古ワンルームマンション投資であれば何でもよいというわけではありません。将来に向けて需要と資産価値が維持できる中古ワンルームマンションを購入し、長期的な安定収入を目指しましょう。