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入居率を計算する3つの方法とマンション投資で入居率を上げるポイント

入居率は、不動産投資の成否にかかわるとても重要な指標です。それだけに不動産投資家は入居率の仕組みや正しい計算方法を理解し、その上で入居率を高め、維持するノウハウを持っておく必要があります。本記事では、入居率の正しい計算方法や、入居率を上げるポイントについて解説します。

入居率を計算する3つの方法とマンション投資で入居率を上げるポイント

1.不動産投資で重要な入居率とは?

入居率とは、所有している収益物件の戸数に対して入居者がついている戸数の比率です。よく不動産投資の世界では空室率がリスクとして取り扱われていますが、入居率と空室率を足すと100%になります。例えば、入居率80%の場合は空室率20%といった具合です。

入居率は、不動産投資家にとってきわめて重要な指標です。収益物件を所有していても入居者がいなければ収入はゼロですし、ローンを利用して購入した物件の場合は「持ち出し」になってしまいます。

逆に入居率が100%であることは理想で、不動産投資家にとっては最も収入が大きくなります。入居率100%を目指すのが不動産投資の本質であり、そのためにできることはあります。

当記事の後半では、入居率を高くするためのポイントを紹介します。

2.入居率の計算方法

ひと口に入居率といっても、計算方法は1つではありません。ここでは3つの計算方法を解説します。それぞれ用途によって使い分けられているため、この3つの計算方法とそれぞれの役割をマスターしておきましょう。

2-1.時点ベース

あるタイミング(時点)における、所有戸数に対する入居数の比率を示すのが、時点ベースの入居率です。計算式は、以下のとおりです。

入居戸数 ÷ 所有戸数 × 100 = 時点ベースの入居率(%)

先ほどまで解説してきた「入居率」はこの時点ベースのことを指しており、最もシンプルかつよく用いられる計算方法です。

2-2.稼働ベース

先ほどの時点ベースによる入居率だと、ある時点での入居率を知ることしかできません。不動産投資家にとって重要なのは「どれだけ物件が稼働しているか」です。それを知るために用いられるのが、稼働ベースの入居率です。

所有物件を1日単位で「入居者がいる日」と「空室日」に分け、トータルの日数のうち「入居者がいる日」がどれだけあるかを計算します。計算式は、以下のとおりです。

入居者がいる日数 ÷ 稼働日数 × 100 = 稼働ベースの入居率(%)

例えば、ある物件を2年間所有しているとします。この物件に入居者がいた日数が600日あるとすると、2年間の稼働ベースによる入居率は以下のように計算します。

600 ÷ 365×2 × 100 = 約82.2%

この計算結果から、「この物件は2年間で82%ほど入居者がついていた」ことが分かります。

2-3.賃料ベース

満室になった場合と比べて、どれだけの実質的な家賃収入があるかを知るためにあるのが、賃料ベースの入居率です。計算式は、以下のとおりです。

実際の家賃収入 ÷ 満室時の家賃収入 × 100 = 賃料ベースの入居率(%)

それでは、賃料ベースの入居率もある物件を想定して試算してみましょう。毎月の家賃は10万円で、2年間のうち2ヵ月だけ空室期間があったとします。

この場合、実際の家賃収入は「10万円×22か月=220万円」で、満室時の家賃収入は「10万円×24か月=240万円」です。この2つの数値を用いて計算してみましょう。

220万円 ÷ 240万円 × 100 = 約91.7%

3.入居率を上げる5つのポイント

時点ベース、稼働ベース、賃料ベースの入居率について解説してきましたが、このすべてに共通しているのは、入居率が高いほど不動産投資の収益は大きくなり、事業が安定化するという事実です。

そこで、後半は入居率を上げるための5つのポイントを紹介したいと思います。

入居率を上げるための5つのポイント

3-1.選ばれ続ける物件づくり

不動産投資も競争の世界なので、他に類似物件がある場合は競合することになります。そこで入居者に選んでもらえる物件にすることは集客力に直結するため、とても重要です。

とはいえ、マンションのデザインや使い勝手は画一的で、それ以外の要素である立地条件や築年数、家賃などで比較されることが大半です。

不動産は動かない資産であるだけに、立地は物件の集客力に大きく影響します。東京など大都市圏の都心であること、もしくは都心から近いことは、特にマンション物件を探している人にとって非常に魅力的です。

しかし、立地条件に恵まれたマンションは価格が高く、2023年には新築マンションの平均価格が「億」の大台に乗ったことが話題になりました。物件価格が高すぎると利回りが低下しやすいため、新築よりも中古マンションをおすすめします。中古マンションのなかには立地条件に恵まれた物件も多く、都心もしくは都心近くの好立地物件を見つけやすいでしょう。

ただし価格が安いことは魅力的ですが、その一方で中古マンションは「古い」ことがネックになります。この「古い」という問題は、リノベーションで解決できます。しかもリノベーションで他の物件にはないような付加価値を創りだすことができれば、「古さ」の解決に加えて差別化も可能になります。

「都心+中古マンション+リノベーション」のビジネスモデルであれば、新築マンションの価格高騰や画一的なデザインなど、マンション投資のあらゆる問題を解決できます。

3-2.家賃を見直す

おそらく部屋探しをしている人のほとんどは、家賃を軸に物件の比較検討をしていることでしょう。家賃は毎月支払うものだけにシビアになるのは当然で、物件の価値と家賃が不釣り合いだと集客力は低下してしまいます。

近隣の類似物件を研究するなど、相場に合った家賃設定をすることで集客力を高めましょう。
同じ物件であっても築年数が増えて古くなってくると、それに合わせて家賃を見直して引き下げることも一考の価値があります。

3-3.募集方法を見直す

近年ではインターネットで部屋探しをする人が多くなっており、ネット上の情報発信の重要度が増しています。これまでの募集方法だけでは不足を感じる場合は、ネット上の情報発信に力を入れるのは有効な方法です。

具体的には、大手不動産ポータルサイトに物件情報を掲載したり、別途ホームページで紹介するなどの方法が考えられます。写真を多く掲載して、物件の魅力を伝えるのも有効です。十分な光が差し込む状態の写真を使うなどして、「ここに住みたい」と思ってもらうための努力をしましょう。

3-4.高い入居率を維持する不動産(管理)会社を選ぶ

実際に入居者を募集する際には、不動産管理会社に委託するのが一般的です。不動産管理会社の業務は入居者の募集だけではありませんが、募集を委託するのであれば高い入居率を維持している管理会社を選ぶのが得策です。

3-5.不動産(管理)会社との関係性を良好に保つ

不動産管理会社にとって不動産投資家(オーナー)は顧客です。しかし、自分はお客さまなのだから何もしなくてもよい、ということではなく、管理会社との情報共有を緊密にするなど良好な関係を維持するように心がけましょう。

管理会社の担当者も人間なので、募集時には関係が良好なオーナーの物件を勧める可能性が高く、入居率アップに貢献してくれるはずです。

また、物件に関する情報が十分にあると管理会社の担当者も紹介しやすいので、良好な関係と情報の共有は大きなアドバンテージになります。

4.地道な努力を惜しまず、満室経営を目指そう

入居率は収益物件の「実力」を知る重要な指標です。3つの計算方法それぞれには役割があるので、これらをマスターして不動産投資の見える化に役立ててください。

後半では入居率を上げるポイントを紹介しました。どれも地道な努力ですが、こうした努力を積み重ねることによって不動産投資は成功に導かれていきます。努力を惜しまず、満室経営を目指してください。

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