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中古不動産の耐用年数はどう決まる?計算式と融資期間の伸ばし方

中古不動産の耐用年数とは、建物の構造ごとに定められた「法定耐用年数」、実際に安全に使用できる期間を示す「物理的耐用年数」、そして金融機関が融資の可否と期間を判断する「経済的残存耐用年数」の3つを指します。

このうち投資判断で最も誤解されやすいのが法定耐用年数で、これは税金計算のための年数にすぎず、建物の寿命や資産価値そのものを決めるものではありません。

数字の意味を正しく切り分ければ、築年数が経った中古物件でも長期ローンを組み、安定した賃貸経営を行うことは十分に可能です。

この記事の要点:

  • 法定耐用年数はRC造47年・S造34年などと定められ、簡便法を使えば築古物件の減価償却期間を計算できる
  • 金融機関の評価軸を理解すれば、法定耐用年数を超えた中古物件でも最長35年クラスの長期ローンを利用できるケースがある
  • 適切な維持管理と室内リノベーションにより、築古でも家賃アップと高い入居稼働率を実現できる
中古不動産の耐用年数はどう決まる?計算式と融資期間の伸ばし方

目次

1. 耐用年数の基礎知識と中古不動産における計算方法

中古不動産を検討すると、真っ先に耳にするのが「耐用年数」という言葉です。

しかしこの言葉には性質の異なる複数の意味が含まれており、税制上のルールと実際の建物の寿命を混同すると、収益性を正しく判断できなくなります。

まずは耐用年数の本来の意味と、具体的な計算手順を整理していきましょう。

1-1. 法定耐用年数と物理的耐用年数の決定的な違い

不動産投資で語られる耐用年数には、税務署が定めた「法定耐用年数」と、建物が構造として維持される「物理的耐用年数」があります。両者はまったく異なる基準で定められています。

法定耐用年数とは、税法上で資産の価値が何年で減価するかを一律に定めた基準です。鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の住宅用建物は47年、重量鉄骨造(S造)は34年と決められています。これはあくまで税金計算を行うための年数であり、建物の寿命そのものを表すものではありません。

一方の物理的耐用年数とは、適切な補修を行いながら建物として安全に維持できる実質的な寿命を指します。コンクリートの耐久性や修繕工事の有無に左右され、RC造・SRC造のマンションであれば70年から100年近く使い続けられるケースも珍しくありません。法定耐用年数を過ぎたからといって、建物がすぐに住めなくなったり価値がゼロになったりするわけではないのです。

1-2. 簡便法を用いた築古マンションの耐用年数計算式

法定耐用年数を一部または全部経過している中古物件を取得した場合、確定申告での減価償却期間を算出するために「簡便法」を用います。簡便法は、築年数に応じて次の2通りの計算式で求めます。

法定耐用年数の全部を経過している場合

耐用年数 = 法定耐用年数 × 20% (例:RC造・築50年)47年 × 20% = 9.4年 → 9年

法定耐用年数の一部を経過している場合

耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20% (例:RC造・築40年)(47年 − 40年)+ 40年 × 20% = 7年 + 8年 = 15年

※算出結果が2年未満の場合は一律「2年」、1年未満の端数は切り捨てて計算します。

たとえば後述する新宿区の事例(SRC造・築43年)を簡便法で計算すると、(47年 − 43年)+ 43年 × 20% = 4年 + 8.6年 = 12.6年 → 12年が減価償却期間となります。

築年数が経った物件ほど短期間に大きな減価償却費を計上できるため、初期の税負担を抑える効果が期待できます。ただし、この「短い償却期間」は後述するデッドクロスと表裏一体である点を、あらかじめ押さえておいてください。

2. 法定耐用年数を超えた中古マンションで融資期間(ローン)を延ばす方法

融資期間の長さは、毎月のキャッシュフローに直結します。一般に金融機関は「法定耐用年数 − 築年数 = 融資期間」という目安を設定していますが、近年はこの原則に囚われない柔軟な融資枠組みも増えています。

2-1. 金融機関が融資期間を判断する構造と評価基準

金融機関が融資期間を決めるとき重視するのは、「完済までのあいだ、その物件が事業性を維持できるか」という点です。法定耐用年数は判断材料の一つにすぎず、担保としての評価額や賃料収入の再現性が確認できれば、融資期間を柔軟に設定する余地があります。

具体的には、立地条件、管理体制の健全性、将来にわたる入居ニーズの強さが審査の対象になります。需要が途絶えにくい東京23区の好立地にあり、修繕計画が適切に実行されているマンションであれば、金融機関も残存価値を高く評価しやすくなります。

2-1. 金融機関が融資期間を判断する構造と評価基準

築43年の中古マンションでも、提携金融機関の事業性評価により長期の融資枠が適用された実際の試算例(データ出所:リズム)

2-2. 【実証データ】築43年(1983年築)でも35年ローンを実現した収支モデル

実際の事例を見てみましょう。以下は、東京都新宿区にある1983年築(築43年)のSRC造・中古コンパクトマンションの融資試算です。

項目 試算数値・条件
物件所在地・最寄駅 東京都新宿区(東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前」駅 徒歩6分)
構造・築年数 SRC造・築43年(1983年6月築)・専有面積21.1㎡
販売価格・ローン金額 販売価格 3,380万円 / ローン金額 3,370万円(頭金10万円)
融資条件 35年ローン(適用金利 1.94%)
毎月の返済額・賃料 返済 110,600円 / 集金代行賃料 118,000円

RC・SRC造の法定耐用年数は47年のため、単純計算では融資期間は残り4年程度に見えます。それでも立地のポテンシャルと提携金融機関の担保評価により、35年という長期ローンが実現しています。

月々の収支は正直に把握しておきましょう。 集金代行賃料は月118,000円、ローン返済は月110,600円で、返済だけなら家賃の範囲に収まります。

ただしここに管理費・修繕積立金・管理委託料など月15,090円の運営コストが加わるため、月次の手取りは約 −7,690円の持ち出しとなります。加えて毎年の固定資産税・都市計画税(約5万円)と、取得初年度のみの不動産取得税(約15万円)も見込む必要があります。

一見マイナスに見えますが、この設計の本質は「手出しを抑えながら都心の資産を保有し、時間をかけて回収する」点にあります

第一に、前述のとおり築43年SRCは減価償却期間が約12年となり、初期は大きな減価償却費で課税所得を圧縮できます。

第二に、35年かけて完済すれば無借金の収益資産が手元に残ります。

第三に、後述のとおり東京23区の中古は資産価値が落ちにくく、売却による回収も見込めます。月々7,700円ほどの負担で都心の資産形成を進める、という捉え方ができる収支構造です。

ただし注意点があります。減価償却が終わる約12年目以降は計上できる経費が減り、課税所得と税負担が増える「デッドクロス」が起こりやすくなります。目先の節税やキャッシュフローだけでなく、償却終了後まで含めた長期のキャッシュフロー計画を立てておくことが、築古・長期ローン活用の成否を分けます。

※本収支・融資条件は実際のご提案事例に基づく概算です。金利・物件・利用者の属性により結果は異なります

2-3. 築年数のハンデを克服する「一貫リノベーション」と家賃アップ実績

築古物件で長期融資を受けるには、建物の管理状態に加えて「専有部(室内)の魅力を高め、高い稼働率を維持できるか」が欠かせません。その回答となるのが、デザインと機能を刷新するリノベーションです。

2-3. 築年数のハンデを克服する「一貫リノベーション」と家賃アップ実績

築40年超の中古マンションでも、ライフスタイルに合わせたリノベーションにより高い家賃水準を実現(データ出所:リズム)

築40年を超える物件でも、単身者の嗜好に合わせて室内空間を作り替えることで、賃料水準を大きく引き上げられます。

  • 事例1(東京都墨田区・1983年築=上画像右):リノベーションにより賃料が 73,000円 → 103,000円(41%アップ)
  • 事例2(東京都新宿区・1984年築=上画像左):リノベーションにより賃料が 90,000円 → 128,000円(42%アップ)

賃料性能が高まれば事業の安全性が担保され、金融機関からも「長期にわたり安定した家賃収入を生み出す資産」として評価を引き出しやすくなります。

そして、この「高い賃料を、長く空室にせず維持できるか」を示すのが入居稼働率です。リズムが管理する物件の入居稼働率は、2021年の97.4%から2025年には99.2%へと上昇しています。入居稼働率とは、瞬間的な入居率ではなく、一定期間に賃料が実際に発生していた割合を示す指標で、空室期間まで反映するため実際の収益力に近い数字です。築年数にかかわらず高稼働を保てることが、築古中古投資の事業性を裏づけています。

リズム管理物件の入居稼働率推移(2021〜2025年)

リズム管理物件の入居稼働率推移。入居稼働率=(1 − 総空室日数 ÷ 総管理日数)× 100(データ出所:リズム、2021〜2025年)。

3. 【比較】耐用年数のみで選ぶ物件 vs 立地・管理・室内価値で選ぶ物件

物件選びで耐用年数の残存期間だけに注目すると、投資全体のバランスを欠くおそれがあります。築浅物件と、管理の行き届いた中古リノベーション物件の特徴を比べてみましょう。

評価軸 耐用年数が多く残る「築浅物件」 立地・管理・空間価値に長けた「中古リノベ物件」
購入価格・坪単価 割高(将来への期待値や建築原価が乗る) 手頃(割安な中古価格で取得可能)
表面利回り 抑えられがち(2〜3%台にとどまりやすい) 比較的高い(適正取得×賃料向上で確保)
融資期間の取りやすさ 容易(長期ローンが適用されやすい) 工夫次第(提携ローンや事業性評価が必要)
将来の資産価値・稼働率 築年数の経過で賃料・価格が下落しやすい 好立地と一新した室内価値で高稼働を維持

3-1. 法定耐用年数内の築浅物件が抱える価格高騰と低利回りのリスク

法定耐用年数が多く残る築浅物件は、金融機関の融資を受けやすく扱いやすく見えます。

しかし近年、都市部の新築・築浅マンションは販売価格が高騰しています。購入価格が上がれば、どれだけ賃料が高くても利回りは低く抑えられます。周囲に新しい競合物件が建ち、家賃を下げざるを得なくなれば、収支が悪化するリスクもはらんでいます。

3-2. 耐用年数を超えても長期運用できる「東京23区×管理良好×リノベ」の強み

一方、東京23区の好立地にある中古マンションを適正価格で取得し、質の高いリノベーションを施す手法は、バランスの取れた選択肢です。新築より取得費用を抑えられるうえ、室内価値の刷新で相場より高い賃料設定が可能になります

東京23区の優位性は、市場データにも表れています。株式会社TASの賃貸住宅市場レポート(2026年2月)によると、東京23区の空室率TVIは8.91ポイントで、市部(13.29)や神奈川・埼玉・千葉(11〜13ポイント台)を下回り、募集期間も3.81か月と最短でした。

3-2. 耐用年数を超えても長期運用できる「東京23区×管理良好×リノベ」の強み

エリア別の空室率TVI。東京23区が8.91ポイントと最も低い(出所:株式会社TAS「賃貸住宅市場レポート」2026年2月)

単身世帯の流入が続くエリアだからこそ、建物の年数にかかわらず長期にわたり高い入居率を維持しやすいのです。耐用年数という形式的な数字ではなく、実質的な稼働力を軸に据えることが、堅実な資産形成につながります。

4. 中古不動産の耐用年数と融資に関するよくある質問(FAQ)

Q. 法定耐用年数を過ぎた中古マンションは住宅ローンや不動産ローンが組めないのでしょうか?

A. 組むことは可能だ。築年数だけで判断せず、建物の維持管理状態や事業性を評価する提携金融機関を選べば、条件次第で長期の融資を引き出せるケースがある。

Q. 耐用年数が短い中古物件を購入すると確定申告での節税効果は高まりますか?

A. 短期間で大きな減価償却費を計上できるため、初期の節税効果は高まる。ただし償却期間の終了後は経費が減って税負担が増える(デッドクロス)ため、長期のキャッシュフロー計画が不可欠だ。

Q. 築40年を超える中古ワンルームでも将来の売却(出口戦略)は可能でしょうか?

A. 東京23区の好立地であれば十分に可能だ。実需の賃貸需要に支えられて高い稼働率を維持できるため、投資用物件としての市場価値が落ちにくい。

Q. 法定耐用年数を過ぎた中古物件は住めなくなりますか?

A. ならない。法定耐用年数は税金計算上の年数であり、建物の物理的な寿命ではない。適切な維持管理や修繕を行っていれば、耐用年数を過ぎた物件でも安全に賃貸稼働できる。

Q. 木造と鉄筋コンクリート(RC造)では、どちらが中古投資に向いていますか?

A. 長期の安定経営と融資の引きやすさを重視するならRC造・SRC造が適している。減価償却による節税スピードを重視する場合は、法定耐用年数の短い木造が選ばれる傾向がある。

Q. リノベーションを実施すると法定耐用年数は延びますか?

A. 税法上の法定耐用年数そのものが延びるわけではない。ただし建物の耐久性や資産価値が向上することで、金融機関の融資評価期間が実質的に延びるケースはある。

5. まとめ:耐用年数の仕組みを理解し、手堅い中古不動産投資を始めよう

不動産投資における耐用年数は、確定申告で減価償却費を計算するための法定基準であり、建物の寿命や資産価値そのものを決めるものではありません。形式的な数字にしばられて高値の築浅物件ばかりに目を向けると、かえって収益性を損ないかねません。

本当に注目すべきは、法定耐用年数の長さではなく、東京23区という恵まれた立地と、入居者を引きつける室内空間の価値です。管理状態が適切で、暮らしやすさを追求したリノベーションが施されていれば、築年数が経っていても安定した賃貸経営を続けられます。実際に、築43年の物件でも35年の長期ローンを実現し、家賃を4割超引き上げ、99%台の入居稼働率を維持した例があります。

一方で、短い減価償却期間の裏にあるデッドクロスまで見据えた長期のキャッシュフロー計画は欠かせません。融資期間の制約をクリアし、長く安心できる資産形成を実現するには、適切な物件選定と、提携金融機関を持つパートナーの存在がカギになります。

まずはご自身の予算と将来の目標に合わせた収支シミュレーションを確認するところから、堅実な一歩を踏み出してみてください。リズムでは、東京23区の中古リノベ物件を対象とした個別相談会やセミナーを通じて、一人ひとりの計画づくりをサポートしています。

  • REISMコラム編集部

    編集者

    「不動産投資やお金の知識をわかりやすく学ぶ」そのために資産形成の基本的な情報から、不動産投資の基本やリスクなど、お金に関するお役立ち情報を紹介いたします。

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