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あなたの家賃は適正ですか?「給料の3割説」のままだとヤバい!

家計における支出の中でも、家賃や住宅ローンなどの住居費は、最も大きなウェイトを占めています。住居費の目安として、「収入の3割」と、定説のように語られてきた言葉があります。ただ、そうした定説も見直す時期に来ているのかもしれません。

「収入の3割」は時代錯誤?

「住居費の収入3割説」は、会社に勤めて勤務年数が経てば、家賃は同じでも、手取りが増えるので、最初は3割でも、「その割合は徐々に下がるので大丈夫」という考えに基づいているようです。

ところが、長年の不況を背景に、給与体系や働き方に対する社会全体の意識は大きく変わりました。終身雇用や年功序列の給与制度といった日本企業の「神話」の多くが崩壊し始めています。こんな状況にも関わらず、住居費を「収入の3割」に設定したままでは、家計に大きな影響を与える可能性があることは、誰でも容易に想像できるでしょう。

金融機関からお金を借りている人が、「月々の返済額を少しでも多くして、早めに返済してしまえば、支払総額が減って有利だ」と考えるのは自然なことです。しかし、月々のローン返済額を高めに設定してしまい、貯金ができなかったり、子どもの養育に十分なお金を出せなかったりするかもしれません。そうしたリスクがあることは、常に頭の片隅に置いておくべきです。収入に対して住居費が占める割合が高くなり過ぎてはいけないのです。

目指すべき住居費の割合は20~25%

それでは、今の時代にマッチした住居費の割合は、一体いくらなのでしょうか。国土交通省の「平成28年度 住宅経済関連データ」によると、ここ10年間で、可処分所得に対する住宅ローン返済額の割合は20%前後となっています。

同じレベルの部屋に住む場合、賃貸物件の家賃は、住宅ローンよりも若干高めになりますから、「収入の20~25%」を目指すというのが、最も現実的な割合なのかもしれません。割合に5%の幅をもたせたのは、収入が少ない人ほど、その割合が大きくなり、収入が多くなるほど、少なくなるからです。

具体的な例で考えてみましょう。年収400万円未満の場合は、独身の若い世代が多いのではないでしょうか。そうした年代は、職場に近い都心近辺に住居を借りて、仕事に集中する方が、通勤で数時間かけるよりも、はるかに効率的な生活が送れるはずです。

懸命に働くべきこの時期は、住居費の割合を上限の25%で計算してみると、年収400万円ならば100万円となり、月額約8万3,000円程度の賃貸住宅に住めます。

これが年収800万円となると、月額家賃の上限は約16万6,000円にまで上がります。年収で800万円がもらえるような年齢になると、結婚をしている人も多いのではないでしょうか。将来のことを考えて、持ち家への住み替えを検討する人も増えるかもしれません。その場合は、ローンの頭金を捻出するためにも、上限を25%から下げることを考えたほうがいいかもしれません。

ちなみに年収が1,000万円ならば、25%で計算すると月額家賃は約20万8,000円まで可能ということになります。都心の高級タワーマンションにも入居できそうな金額です。地方なら、かなり条件の良いマンションに住めるでしょう。ここまで収入が高くなれば、居住費の割合の上限をさらに下げることも可能ではないでしょうか。

住宅ローンで失敗しないために

前述したように、住宅ローンの返済期間を短くするために、多少無理な計画を立てる人もいるようですが、これはおすすめできません。ローン返済が家計を圧迫して、貯金もできず、予期せぬ失業や病気で収入が途絶えると、本当に困った状況に陥るからです。

返済が滞れば、自宅の売却を迫られ、マイホームを手放すことになるかもしれません。住宅ローンを組んでしまった後、返済額が上限の25%を超えてしまったら、迷わず金融機関にリスケの相談をしましょう。場合によっては月々の支払いの減額に応じてくれたり、支払いを猶予してくれたりすることがあります。

一番大切なことは、年収に見合った家賃設定を間違えないことです。なんといっても無理をしないことが、リスクの少ない人生を送る上でとても大切なのです。

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