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新たな住宅セーフティネット制度で何が変わる?

改正住宅セーフティネット法が2017年4月19日、参議院本会議で可決、成立しました。高齢者などへの安定的な住宅提供を目的に10年前に創設された住宅セーフティネット制度とは、具体的にどのような法律なのでしょうか。また、今回の改正で、何がどう変わったのでしょうか。

国交省の新たな住宅セーフティネット制度

住宅セーフティネット法の正式名称は、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」というものです。低所得世帯の生活支援のために2007年に制定されました。もともと12条からなる短い法律でしたが、今回の改正で64条まで条文が増えています。

今回の改正のポイントは二つあります。一つは、高齢者、障がい者、子育て世帯、被災者、低額所得者などの「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を創設することです。もう一つは、そうした住宅確保要配慮者の入居を円滑化することです。

生活保護受給者世帯の増加と家賃滞納の不安

厚生労働省は2017年3月、2016年12月時点で生活保護受給世帯が164万205世帯となり、過去最多を記録したことを発表しました。

主な要因は、高齢単身者世帯の増加です。今後10年で高齢単身者は約100万人増加すると見込まれています。また、若年層の平均収入は減少し、一人親世帯も増加しているため、収入が減少する世帯の増加は避けられない状況です。

こうしたことから、今後さらに生活保護受給者世帯は増え続けるでしょう。そうした人たちの多くが住宅確保要配慮者となります。

これまで、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への入居は、賃貸住宅のオーナーから、家賃滞納や孤独死などの恐れがあると考えられ、忌避される傾向にあり、なかなか住む家が見つからない状況にありました。しかし、その一方で、人口減少社会に突入した日本では、空き家・空室の増加が大きな社会的課題として表面化してきています。

今回の法改正の主目的は、賃貸住宅オーナーが抱える不安を取り除くことで、空き家・空室の活用を促進するとともに、住宅セーフティネット機能を強化しようという点にあります。

具体的な改正内容は?

まず、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度についてみてみましょう。

具体的には、空き家を住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として、賃貸人が都道府県に登録する制度を作り、都道府県側は住宅を開示・賃貸人の指導監督を行います。また、登録住宅の改修費を住宅金融支援機構の融資対象にするなど、登録住宅への優遇措置も盛り込まれています。

もう一つのポイントである、住宅確保要配慮者の入居円滑化についてはどうでしょうか。

まず、円滑な入居を支援する活動を公正かつ的確に行うことができる法人を「居住支援法人」として都道府県が指定します。そして、その「居住支援法人」が、要配慮者の入居相談を受け付け、登録住宅の情報提供や援助を行うとしています。

また、適正に家賃債務保証を行う業者の情報提供を行うとともに、JHFの保険引受けの対象に追加し、居住支援法人による家賃債務保証を行います。また、生活保護受給者が入居する際には、保護の実施期間が受給者の代わりに家賃を直接支払う代理納付の推進も、今回の改正法に盛り込まれました。

これらの施策は2017年の秋から運用が開始される予定です。残念ながら、内容としては物足りなく、まだまだ支援が不十分だという専門家もいます。この改正法が賃貸物件オーナーにとって、本当に空室リスクの軽減につながるのかどうか、今後の動向が注目されています。

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