不動産投資

不動産投資における借入金と負債

不動産投資は物件の購入費用が非常に高額になるため、金融機関から融資を受けて始めるのが一般的です。融資とは金融機関から「借入」をすることをいいますが、時として「負債」という言葉で言い換えられることがあります。この「借入金」と「負債」の2つの言葉には具体的にどういった違いがあるのでしょうか。

「借入金がある」「負債を抱える」といった言葉にネガティブなイメージを持ち、拒否反応を示す人もいるかもしれません。しかし不動産投資をする以上、2つの言葉の意味については正しい認識を持つ必要があります。

不動産投資における借入金と負債

借入金と負債の違い

借入金とはビジネスなどで資金が不足した際、借用書や手形を差し入れて「誰かに借りたお金」を意味しています。一方で負債とは「第三者に対して支払い義務があるお金」をさします。負債は未払金や買掛金、預かり金も該当するため「借りたお金」という意味の借入金と比べて広い意味を持っています。そのため借入金と負債はイコールではなく借入金は負債の一部だといえるでしょう。

財務諸表の一つである貸借対照表においては、借方(資産の部)に「現金○円」、貸方(負債の部)に「借入金○円」と記入します。

借入金で節税はできないが、金利は費用として節税できる

金融機関からお金を借り入れしても税金が発生することはありません。また、借入金が増えたところで節税にもなりません。ただ借入金を返済する際につく金利(利息)は費用計上ができるため、結果的には節税につながるといえます。しかし節税のために「支払利息が増えてもいい」と考えるのは禁物でしょう。支払利息の金額が多いということはその分だけ支出が増えるため、キャッシュフローが悪くなってしまいます。

金利は借入先の金融機関によって変わります。当たり前のことですが、できるかぎり金利の低い金融機関からお金を借りるのが一番です。金利相場はメガバンク・都市銀行が1%前後、地方銀行は1.5%前後~4.5%、信用金庫・信用組合は2~3%程度で、一般的に金利と審査の厳しさは相関関係にあります。

これをベースに物件の不動産としての価値と借主の「属性」と呼ばれる信頼度、その時点での借入額で「格付け」され、それに応じた金利が適用されます。

借入金で節税はできないが、金利は費用として節税できる

不動産投資のうま味は借入金によるレバレッジ

いざ不動産投資を始めると決めた人でも、借金に対してのネガティブなイメージを捨てきれない人もいるでしょう。しかし不動産投資において借入金がもたらすメリットはとても大きいのです。「レバレッジ」と呼ばれるそのメリットについて簡単に説明しましょう。

例えば1,000万円の自己資金をもとに利回り4%の投資を行ったとします。この場合、年間で1,000万円×4%=40万円の不動産収入が発生することになります。

不動産投資は物件価値と不動産投資家の属性次第で、少ない頭金でも多額のローンが組めることが醍醐味です。これをうまく活用して頭金300万円で2,700万円を借り入れ、3,000万円をもとに利回り4%の物件を購入した場合はどうでしょうか。年間の不動産収入は3,000万円×4%=120万円となり、自己資金1,000万円だけで投資した場合と比較すると利回りは同じでも収入は120万円÷40万円=3倍になっていることが分かります。

ここで大事なのは、借入金2,700万円の金利です。仮に3%だとすると初年度の利息額は約78万円です。そのため実質の収入は120万円-約78万円=約42万円ということになります。言い換えると1,000万円の自己資金があれば700万円はそのまま手元においた状態で、300万円のみ使って約42万円の利益を生み出すことが可能です。

1,000万円の手持ち資金をすべて頭金に使えばさらに多額の融資を引き出して高額物件を購入できる可能性もあります。つまり年間の不動産収入も増えることになるでしょう。このように持ち出し資金が少ないのに借入金を利用して大きな利益を得ることを「レバレッジを効かせる」といいます。自己資金だけで行う株式投資や投資信託とは異なる不動産投資最大の魅力です。

今回は不動産投資における借入金と負債について考えてみました。給与所得者の感覚では、どうしても借入金に対してマイナスのイメージを持ってしまいがちです。しかし不動産投資を成功させるためには、むしろ借入金を積極的に活用することはマストといえるでしょう。レバレッジを効かせてこそ不動産投資のうま味が出るのです。

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