不動産投資(管理)

和室の賃貸物件を貸し出すときのポイント

築古マンションやアパートに多い和室の物件は、近年では賃貸市場での人気が低下傾向のようです。そのため不動産投資家としては扱いが難しいと感じる反面、物件を比較的安く入手できるため高利回りが期待できるというメリットもあるでしょう。物件の運用次第では大きな収益を上げられるチャンスととらえることもできるでしょう。

不動産投資家は、物件の状態によって「そのまま貸し出すのか」「リノベーションで物件を生まれ変わらせて貸し出すのか」について慎重に検討する必要があります。ここでは和室物件を賃貸に出す時のポイントについて考えてみましょう。

和室の賃貸物件を貸し出すときのポイント

和室の良さをアピールする

一般的に賃貸市場においては「和室は人気がない」と考えられる傾向にあるようです。洋室と比較すると掃除や管理に手間がかかる印象も少なくありません。単純に和室というイメージから「古くさそう」と敬遠されることあるでしょう。また築年数が古いものが多いので「オンボロ」というイメージが強いため最初から避けられてしまう可能性もあります。

しかし見方を変えれば、築年数の経った和室の物件は賃料が比較的抑えられている傾向ですし、さらに居住上のメリットもあるため、それをうまく打ち出して入居者を募集するのも一つの方法でしょう。

居住上のメリットとして、まず布団が寝具として使えるのでスペースを取るベッドを置かずに済みます。またソファーを使わなくても横になってくつろぐことが可能ですので、日中はフローリングよりも快適に過ごせるのではないでしょうか。

また天然のいぐさを使った畳には、湿度の調整機能や空気の浄化(消臭)効果もあるので「身体的に快適に過ごせる」という北九州市立大学の研究結果もあります。もちろん中古で購入した物件の畳が古いままでは入居者が見つからないかもしれません。畳の張り替えや新畳への交換は必須といえるでしょう。

その際に普通の畳にするのではなく、カラー畳や正方形で半畳タイプの琉球風畳といったデザイン性の高いものにすると部屋の雰囲気はかなり変わるでしょう。照明を変更したり壁紙も工夫したりすることで「和モダン」な部屋にすることができれば個性のない洋室よりも人気が高くなる可能性もあるでしょう。ただし畳の寿命は早めで約2~3年とされていますので適切なタイミングでのメンテナンスが必要です。また畳の修繕には3つの種類があり、費用の目安は次のようになっています。

  • 裏返し
    痛んだ面からきれいな裏面に変える作業です。3~5年程度が目安とされています。費用は6~8畳の裏返しで約3万円です。
  • 表替え
    両面を使った畳を畳本体の畳床はそのままにして張り替えます。7~8年程度が目安です。費用は選択する畳のグレードによって異なりますが6~8畳で約3万~16万円となります。
  • 新調
    完全に畳を入れ替えることです。10年超が新調の目安になります。費用はこちらもグレードによって異なり6~8畳で約6万~28万円が目安です。
和室の良さをアピールする

リノベーションで洋室にする場合

和室から洋室にリノベーションしてしまう場合も考えてみましょう。最も簡単なリノベーションは、畳からフローリングに切り替えるというものです。畳からフローリングへの変更だけの工事の場合は、6~8畳の部屋で20万~35万円前後といわれています。

壁や天井も床に合わせて和風から洋風に切り替える場合は、その分の追加費用がかかってしまいます。壁や天井の工事もする場合は、さらに10万~20万円程度の追加費用がかかるでしょう。

リノノベーションには専門知識が必要です。また業者によって見積金額も異なってくることもありますので、実績の豊富な信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。

和室を洋風に変えるのはアリ?それともナシ?

和室から洋室へのリノベーションをせず和室のまま貸し出すケースもあるでしょう。しかし築古物件の場合は、そのまま貸し出さずに一部をリノベーションした方が入居者は集まりやすいのではないでしょうか。その際に費用を抑えたリノベーションを希望するなら、先に説明した「和モダン」のような工事が費用をかけずに済みそうです。

比較的価格を抑えた中古物件を投資物件として購入し、それによって得られる高利回りを維持するために、オーナーとしてはリノベーション費用をできる限り抑えたいところでしょう。しかし、リノベーションによって築古の物件が現代のニーズにマッチした「住みたい」と思ってもらえる物件に生まれ変われば、多少賃料を上げても入居希望者は見つかるでしょう。リノベーションは安定した賃貸経営を目指すオーナーにとって、収益を上げられるチャンスといえるかもしれません。

先に説明したとおりリノベーションには専門の知識が必要です。リノベーションを検討している人はリノベーションに実績があり信頼できる会社に相談してみると良いでしょう。きっと自分の投資スタイルに合ったリノベーションプランを提案してくれるはずです。

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