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不動産投資やお金の知識をわかりやすく学ぶ

デザイナーズ物件とリノベーション物件をメリットとデメリットで比較

いわゆる「オシャレな物件」として、若者や女性に人気のデザイナーズマンション。デザイン性に優れ、最新の設備やセキュリティが整っていることから、不動産投資家からは入居率が高まると一定の評価があります。

しかし、その優れたデザイン性ゆえの思わぬ「落とし穴」もあります。デザイナーズ物件のメリットとデメリットについて、デザイナーズ物件と比較されることの多いリノベーション物件との違いを踏まえつつ考えてみましょう。

1.デザイナーズマンションとは

デザイナーズマンションは主にバブル期に登場し、若者や富裕層を中心に人気を博しました。デザイナーズマンションに明確な定義や基準はありませんが、共通しているのは、建築デザイナーが設計したマンションで、斬新で個性的なデザインが存分に駆使されていることです。

例えば、「コンクリートの打ちっぱなし」「メゾネットタイプのらせん階段」「ガラス張りのバスルーム」「欧州風の窓」「室内外の個性的なカラーリング」など、見栄えの良さを中心に、住まい全体に設計者のこだわりが反映されています。

デザイナーズマンションが登場した当時はトレンディドラマといってテレビドラマに登場する主人公がハイセンスなマンションに住んでいる風景が描写されることが多く、こうしたテレビドラマもデザイナーズマンションの人気向上に一役買いました。

JR新橋駅から徒歩4分にある『中銀カプセルタワービル』は、日本を代表する建築家の黒川紀章氏が設計し、世界で初めて実用化されたカプセル型の集合住宅で、デザイナーズマンションの先駆的存在としても広く知られています。

キューブを積み上げたような特徴的な外観と、宇宙船のような内装が特徴で、専有面積は約10平米と狭小にもかかわらず高い人気を博していました。2022年には惜しまれながら解体となりましたが、その斬新なデザインや室内空間はマンション建築の価値観に大きな影響を与えたといってよいでしょう。

2.デザイナーズマンションのメリット・デメリット

バブル期の当時から多くの人に支持されてきたデザイナーズマンションについて、そのメリットとデメリットを不動産投資家の視点で解説します。

2-1.メリット:若者や女性に訴求力が強く差別化できる

デザイナーズマンションは、住まいに「プラスアルファ」の価値観を求める若者や女性に対して、強い訴求力があるといえます。

最近はIKEAにあるような北欧デザインの家具が人気ですが、こうした家具も部屋の雰囲気にマッチするので「インスタ映えする」と喜ばれます。同じ立地にある一般的なマンションと比べたときに、大きく差別化が図れているので、家賃を高めに設定することも可能です。

近年では人々の生活様式や価値観が多様化しており、画一的なコンセプトやデザインのマンションだと支持されにくく、差別化を図ることは家賃を高めに設定するだけでなく賃貸住宅としての生き残り戦略でもあります。

また、入居者の選別という点でもデザイナーズマンションは優位に働きます。デザイナーズマンションを選ぶ入居者は、ライフスタイルにこだわりがあり、しかも、お金をかけることができる人たちなので、一般的に「属性」が高めであることが多く、家賃滞納や近隣トラブルになる可能性は低いといえるでしょう。

また、特定のコンセプトを有するマンションを選んでいる人たちなので、その物件に住めなくなってしまうと同様の物件を探すことが困難であることも、入居者の「民度」向上につながります。

2-2.デメリット:万人受けはしないので、入居者が限定される

デザイナーズマンションは流行のエッセンスが注がれており、時代の最先端という特徴がありますが、時間の経過とともにデザインが一気に陳腐化してしまう可能性もあります。20年後に、新築時と同じぐらいに集客力を保てているかどうかはわかりません。

新築当時は流行の最先端をいくマンションであっても、その流行が変わってしまうと陳腐化するばかりか、普通のマンションよりも見劣りしてしまう可能性すらあります。

また、デザイン性を優先する傾向にあるので、居住する上での快適性が後回しになってしまうことも否めません。例えばコンクリートを打ちっぱなしの壁は断熱材が入っていませんから、暑さ寒さが増幅されてしまい、空調代がかさむことになります。

見た目を重視するあまり、収納が少なくなってしまうこともありますし、ガラス張りになっているバスルームも、好き嫌いが分かれるところです。先ほど紹介した『中銀カプセルタワービル』も居住性よりもデザイン性や独特の世界観を優先した建物だったので、決して住み心地のよいマンションとはいえませんでした。

こうした独特の構造や設備、奇抜なデザインは必ずしも万人に受け入れられるものではないため、入居者が限定されてしまうというデメリットがあります。

このように、デザイナーズマンションにはメリットとデメリットの両方があります。ただ、立地とターゲットがマッチすれば、この上なく競争力の高い物件になる可能性は十分あります。特に都内の駅近で、若者・単身者が多いエリアでは、デザイナーズマンションであることの強みがより発揮されるでしょう。

富裕層の子息が多く通っているとされている有名私立大学の近くや、給与水準が高く、安定収入が見込める大企業の所在地から数駅以内のエリアに建てられたデザイナーズマンションにも特有の強みが発揮できる期待がもてます。

注意することがあるとすれば、過度に奇抜すぎる物件や、あまりにも居住性が低い物件は避けるということです。「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」という言葉もあります。物件選びの際には、「快適な暮らし」という視点を忘れないようにしましょう。

3.デザイナーズ物件とリノベーション物件の違いは?

デザイナーズ物件(デザイナーズマンション)と並び称されることの多い、リノベーション物件。どちらも一般的なマンションと差別化を図ることを目的としたマンションですが、この両者にはどんな違いがあるのでしょうか。この両者の違いを知ることで、これからの不動産投資における最適解が見えてきます。

3-1.デザイナーズ物件とは

デザイナーズ物件(デザイナーズマンション)とは、新築時に一般的なマンションとは異なる価値観やデザイン性を盛り込み、その設計に基づいて建築されたマンションのことです。

先ほど紹介した『中銀カプセルタワービル』はその中でも顕著な例ですが、それ以外にも洗練された都会的なイメージを反映したマンションや、逆に自然を感じられるような素朴なデザインのマンションなど、さまざまな価値観のデザイナーズ物件があります。

築年数が新しいデザイナーズ物件はその時代の流行にマッチしている可能性が高く、不動産投資家としては安定した賃貸需要や高い家賃設定が期待できますが、築年数が進むと流行そのものが時代にマッチしなくなる可能性があり、流行という外的要因次第になってしまうリスクがあります。

3-2.リノベーション物件とは

リノベーション物件とは、既存の中古マンションにコンセプトの変更を含む抜本的な工事を行い、新たに付加価値をもたせた物件のことです。一般的なリフォーム工事はマンションの古くなった部分や傷んだ部分を修繕する原状回復が主たる目的ですが、リノベーションは建築時とは異なるコンセプトやデザインを表現し、価値の再生を目的としていることが大きな特徴です。

リノベーション物件といっても、同じ時期に施工されたデザイナーズ物件と見た目こそ似ているかもしれません。しかし、リノベーション物件は室内工事だけで価値を再生した物件なので、それぞれの時代の流行に柔軟に合わせることができることや、多様化する価値観に対して多彩な物件を用意できるなどのメリットがあります。

4.不動産投資においてリノベーション物件が人気の理由

デザイナーズ物件とリノベーション物件の違いを知り、「リノベーション物件のほうが有利?」と感じた方は多いかもしれません。実際にリノベーション物件は不動産投資家から人気を集めており、これからの不動産投資ではリノベーション物件を選ぶことが有利であるともいえます。

なぜリノベーション物件が人気を集めているのか、不動産投資家目線で5つの理由を解説します。

4-1.新築マンションと比べて価格が安い

中古マンションにリノベーション工事をすることで価値を再生するのが、リノベーション物件です。東京など大都市圏の新築マンションは価格の高騰が続いており、新築マンションを簡単に購入できなくなっています。

それに対して中古マンションは新築よりも安く購入できるため、リノベーション工事の費用を合わせても新築よりリーズナブルです。

4-2.差別化を図ることで入居率が安定しやすい

価値観の多様化により、居住空間にも自分の好みや価値観を反映したいと考える人が増えています。万人受けするわけではありませんが、価値観にマッチする人たちに支持されることで入居率を安定化させることができます。

4-3.家賃の下落を抑えることができる

画一的なコンセプトのマンション同士で入居者の取り合いをすると、家賃の引き下げ競争になってしまうでしょう。しかしリノベーション物件は一般的なマンションと差別化されており、類似物件が少ないので競争相手が少なく、不毛な家賃の引き下げ競争に巻き込まれる心配がありません。

4-4.資産価値を高められる

リノベーションには、資産価値を高める効果もあります。収益不動産の売却価格は収益還元法といって、その物件から将来生み出される利益をもとに算出されます。リノベーションによって空室率と家賃の下落が抑えられている物件は将来価値が高いと判断され、高値で売却しやすくなります。

4-5.好立地の物件を見つけやすい

不動産の価値は立地条件で決まるといってもよいほど、立地条件は重要な要素です。特にマンションは立地条件を重視する入居者が多いため、立地条件に恵まれた物件は今だけでなく将来においても高い収益性を見込むことができます。

立地条件に恵まれた土地にはすでに別のマンションが建っていることが多く、新築マンションは残された土地から建設地を選ぶことになります。つまり、既存の中古マンションの中には築年数が進んで古くなっていても好立地であることから高い人気を維持している物件も多く見られます。

建物は古くなっているものの好立地の中古マンションを選び、その物件にとって唯一のデメリットである「古さ」をリノベーションで解決すれば、きわめて集客力の高いマンション物件を創り出すことができるわけです。

5.まとめ

バブル期の頃から多くなり、洗練されたデザイン性などによって耳目を集めてきたデザイナーズ物件(デザイナーズマンション)と、中古マンションをリノベーションによって再生したリノベーション物件について両者の違いやリノベーション物件の優位性について解説してきました。

新築マンション価格が高騰している上に、エリアによっては好立地の物件を探しにくい状況では、中古マンションの中から好立地のものを選び、リノベーションによって価値を再生する投資スタイルが時代にマッチしているといえます。

とはいえ、リノベーション物件の取り扱いや中古マンションに対するリノベーション工事については独特のノウハウが求められるため、リノベーション物件投資を始めたい方は「リノベーション物件に強い不動産会社」を見つける必要があります。まずは、リノベーション物件を多く手がけている不動産会社を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。

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