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資産形成
話題のビットコインは通貨か?金融商品か?
「ビットコインが急騰!」というニュースや、ビットコインの取引で儲けたという話をあちこちで見聞きするようになりました。投資に関心のある人にとって、今やビットコインは、最も気になるものでしょう。はたしてビットコインは良い投資対象となりえるのでしょうか、その仕組みと法律上の位置づけについて調べてみました。
FXとの類似点
通貨への投資として、広く知られているのはFXでしょう。FXとは「Foreign Exchange」の略で、日本語では外国為替証拠金取引と言われます。ビットコインも、FX同様“通貨”と呼ばれるものを売買することによって差益を得ようとする投資の手法です。
FXは異なる通貨を交換し、通貨の交換比率(為替レート)の変動を利用して利益を得ます。為替レートは、その時々の経済・政治状況や世界情勢などによって変動します。為替レートが「1ドル=100円」の時、10,000円をドルに両替すると100ドルになります。例えば、円安が進み、「1ドル=105円」になった時、持っている100ドルを再び円に両替すると10,500円になります。両替手数料がかかるので、500円がそのまま利益として手元に入るわけではありませんが、500円増えました。日本円とビットコインの間にも交換比率があり、為替レートと同様、時々刻々とレートが変動します。その意味では、FXとビットコインは似ているのです。
FXや先物取引などは証拠金を利用して行う取引です。証拠金取引では、株式投資のように売買のたびに全代金を受け渡しせず、売買で生じた差額だけを受け渡しします。外貨を最初に買う時も、代金の受け渡しは発生しません。ただし、損失が出た場合でも決済できるように、一定額のお金を担保として取引業者に預けます。その預入金が証拠金です。つまり、少ない資金で大きな金額の取引をすることができます。しばしば、「てこ」の原理に例えられて、「レバレッジを効かせる」などと表現されます。具体的に言えば、10倍のレバレッジを効かせれば、10万円の証拠金で100万円の取引ができるわけです。ビットコインも、取引所によっては、この証拠金取引が可能です。
法律上は通貨ではない
ビットコインは「仮想通貨」の一種です。支払いに使えるお店は限られていますが、「通貨」ですから、決済に使うことができます。「仮想」ですから、100円玉や1万円札のように物理的な貨幣は存在しません。インターネット上で発行され、インターネット上でのみ流通する通貨です。英語では一般的に、「仮想通貨」ではなく「暗号通貨」という呼ばれ方をしています。その名の通り、暗号化技術で偽造・複製ができないようになっています。
一番の特徴はブロックチェーンという仕組みを使って管理されているということです。ブロックチェーンとは、これまで銀行などのサーバで集中的に管理されていた取引履歴のデータベースを、ネットワーク上に分散して管理する技術です。これにより、取引履歴の改ざんができなくなります。各国の中央銀行のような管理者が存在しないため、非中央集権型などと呼ばれます。
「通貨」といっても、日本の法律上では、日本円などと同等の通貨として扱われているわけではありません。2016年5月に改正され、2017年4月より施行された改正資金決済法は、仮想通貨法とも呼ばれ、ビットコインをはじめとする仮想通貨を日本の法律で定義しました。
この法律で、ビットコインを含む仮想通貨は、モノを買ったり、サービスを受けたりする際の支払い手段のひとつと定義されました。ただし、法定通貨ではありません。税法上は資産として扱われます。
金融商品ではないが投資対象である
ビットコインは支払いに使えるものの、通貨ではないという位置づけです。この資金決済法の改正により、仮想通貨は日本においてはモノとして扱われ、会計上は資産として計上されます。また、ビットコインの売買取引にかかる消費税は非課税となりましたが、仮想通貨の売却で得た利益は、個人であれば雑所得となり、総合課税の対象となります。現物の金(ゴールド)に近いと考えると理解しやすいかもしれません。
日本円とビットコインの間にも交換比率(レート)が成立し、価格が変動している以上は、その売買によって差益を求めることは可能です。
ただし、現在はビットコインの価格は安定しておらず、まだまだ値動きが上にも下にも大きい状況です。FXのような各国政府の後ろ盾のある法定通貨と違って、仮想通貨は値動きの要因が何によるものか分かりにくいということもあります。投じたお金に対する保証もありませんので、リスクをしっかり理解するところから始めるのが望ましいでしょう。