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不動産投資
今都内で注目集まる狭小アパート投資って、どんなもの?
不動産投資にはいくつかのジャンルがありますが、そのうちの1つにアパート投資があります。文字どおり一棟アパートを購入して家賃収入や値上がり益を狙う投資で、今も需要は健在で多くの投資家が取り組んでいる「現役」の手法です。
しかし、同じ不動産投資であっても他のジャンルとは異なる特徴や最新事情もあるので、本記事ではアパート投資を検討している方に向けて2023年時点で知っておくべき知識をまとめました。
1.アパート投資とは?ほかの不動産投資との違い
アパート投資は、アパートを一棟丸ごと所有する不動産投資です。4戸や6戸、10戸といったようにアパートの中には複数の賃貸物件があるため、満室になるとまとまった家賃収入が期待できます。
アパート投資と同様に人気があるのは、区分マンション投資です。区分マンションはマンションの中にある物件を1戸単位で所有する不動産投資なので、アパート投資とは取り扱う建物だけでなく所有する物件の単位も異なります。
2.アパート投資を選ぶメリット
アパート投資には、特有のメリットがあります。そのメリットを整理すると、以下のようになります。
- 全室が空室になることは考えにくく収益を確保しやすい
- 土地も所有するため建物が老朽化しても資産価値が残る
- 建物を丸ごと所有するため管理の自由度が高い
- 一棟マンションと比べると安く買える可能性が高い
これらはアパート投資特有のメリットです。区分マンション投資との比較で注目したいのは、一部で空室が発生しても収入がゼロになる可能性が低いことと、土地の価値が残ることでしょう。これらのメリットは区分マンション投資にはないものなので、こうしたメリットを重視する方はアパート投資を選択するべきだと考えられます。
また、同じ「一棟」であっても一棟マンションと比べると安く買えることも大きなメリットです。不動産情報サイト「楽待」で発表された投資用不動産の市場動向レポート(2023年1月)によると、同サイトの掲載物件から得られた平均価格は一棟アパートが7,000万円台であるのに対して、一棟マンションは2億円を超えています。実に3倍近い差があるので、これだけを見ても一棟アパート投資は参入のハードルが低いといえます。
3.アパート投資の新しい潮流「狭小アパート」
賃貸マンション市場でワンルーム物件が人気を集めているように、近年はアパートでも単身者向けの物件が人気を集めています。具体的には、10平方メートルほどの空間に、キッチンとバス・トイレを詰め込んだような部屋です。
このような狭小アパートが人気を集める背景には、東京など大都市圏における単身世帯の増加があります。東京都では国勢調査をするたびに単身世帯の比率が増え続けており、令和2年の調査ではついに半数を超えました。こうした傾向は今後も続く可能性が高く、狭小アパート以外にも単身者をターゲットとしたアパート物件が人気を集める傾向は続くでしょう。
また、入居者の懐具合によってアパートへのニーズも変化します。こうした狭小アパートは収入がなかなか増えない世相を反映しているともいえるもので、今後も収入の動向によってアパートへのニーズは変化していくことでしょう。
狭小アパートは、立地と設備に優れていれば狭小であっても需要が高いため、空室リスクがかなり低くなる点は大きなメリットです。家賃も通常の部屋よりは少し安くなりますが、土地の面積で考えた場合、逆に単価は高くなるので収益性は高まります。
また、狭小アパートは、狭小地、変形地に建設できることも魅力です。変形地や狭小地は相場価格に比べて土地代が安くなります。建築費用を安く抑えることができるため、部屋数10戸以上の一棟所有も現実的な選択肢となるでしょう。
不動産投資の所得課税には5棟10室基準という概念があります。「区分所有10室以上か」「1棟所有5棟以上か」の条件を満たせば事業的規模として取り扱われ、青色申告の対象となるのです。青色申告は条件を満たせば、毎年の収益から最大65万円を特別控除で差し引くことができるため、これも大きなメリットといえます。
4.アパート投資の始め方
ここまでアパート投資の魅力をお伝えしてきたので、自分も始めてみたいとお考えの方は多いと思います。ここでは、既存の不動産などをお持ちでない方がアパート投資を始める方法について時系列で解説します。
4-1.目的や戦略を決める
アパート投資に限ったことではありませんが、事業を始めるには目的として最終ゴールを設定し、そのゴールに到達するための戦略が必要です。アパート投資に使うことができる自己資金はいくらなのか、それに照らして可能な範囲を見極めます。
このように用意できる経営資源から戦略を立て、それを具体的な目標に落とし込んでいく順序がよいでしょう。それらが決まったら、物件探しの段階に進みます。
4-2.不動産会社を探す
不動産投資の成否は不動産会社選びで決まるといってもよいほど、投資家にとって不動産会社は重要な存在です。アパートの物件を探すのと同時に、不動産会社の比較検討も進めましょう。
投資目的で不動産を購入する場合は、必ず不動産会社から収益のシミュレーションが提示されます。そのシミュレーションを提示するのにあたって根拠はどれだけ正確か、また顧客からの質問に対してどこまで的確な回答が得られるかといったように、アパート選びをするのと同時に不動産会社選びをします。
もし物件が気に入ったとしても不動産会社の対応に疑問を感じるのであれば、その物件は買うべきではありません。今ではネット上に物件情報がたくさんあるので、それらを検索して複数の不動産会社との接点をもち、長い付き合いができる会社かどうかを見極めて絞り込んでいくのが最も確実です。
4-3.一棟アパートの紹介を受ける
不動産会社から、取り扱っている一棟アパートの紹介を受けます。中古物件の場合は既存の物件についての情報や収支シミュレーションなどが提示されます。新築の場合はこれから建てるアパートについての提案を受け、そのアパートの収益性を精査した上で購入の可否を判断します。
4-4.一棟アパートを購入する
不動産会社からの提案や価格などに納得できれば、いよいよ一棟アパートの購入です。融資を利用するケースが大半だと思うので、可能な限り融資を引く金融機関は不動産会社から紹介を受けるようにしてください。その方が審査や条件面で有利になりますし、提携している金融機関の数や質によって不動産会社の力量を推し量ることもできます。
4-5.運用を始める
一棟アパートを購入したら、いよいよ運用開始です。管理を委託する会社を決めて契約し、空室があるのであれば不動産会社を通じて入居者を募集します。集客はアパート投資の収益を安定化させるためにとても重要なプロセスなので、「客付け」にしっかりとしたノウハウがあるのかも不動産会社選びの重要なポイントです。
先ほど「不動産会社とは長い付き合いになる」と述べたのは、このように一棟アパートの購入後も何かと関わることが多いパートナーだからです。
5.投資家よりも経営者の目線で
不動産投資と他の金融商品への投資の決定的な違いは、投資家としての視点だけでなく、経営者としての視点を持たなければならない点です。アパート投資においても、保有する物件の地域の不動産需要を予測し、今後、求められる不動産を供給するという企画力や実行力が必要になります。
入居者に支持されるアパートでなければ入居者は付かず、収益を確保できません。「どのようなコンセプトの物件を建築するのか」「どのような設備を導入するのか」「どのようなリフォームを行うのか」といった管理に関する内容も含めて所有するアパートをしっかり「経営」する必要があります。
今後も通勤・通学に便利な都心の駅近などにおいて、アパートの人気が高まっていく可能性は高いとみられています。そのときに大切なのは、これからの不動産市場の動向を客観的に見つめることです。特に、会社員と兼業でアパート経営をされる方は時間の使い方が肝となります。近所の競合のアパート大家さんは専業の大家さんとなり、賃貸をつけるための情報収集の時間は大いにあります。自分のアパートだけ、取り残されるということがないよう、常にトレンドを把握し、迅速に時代の変化をキャッチして、冷静な判断ができるようにしましょう。