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不動産投資
不動産投資の3大リスクに備える
この世の中に、リスクのない投資はありません。ハイリスク・ハイリターンとされるFXや先物取引、株式投資、ローリスク・ローリターンとされる国債や銀行預金の間に位置し、「ミドルリスク・ミドルリターン」といわれるのが不動産投資です。不動産投資において、代表的なリスク要因は「空室」「予期せぬ出費増」「値下がり」でしょう。この3大リスクは管理・運用のやり方次第で、かなり抑えることができます。そこで、今回はそれぞれの対処方法について説明します。
空室リスクは事前リサーチと素早いリカバリーがカギ
不動産投資において、空室は安定収入を脅かす最大の要因です。一番の対策は「賃貸需要のあるエリアで物件を買う」ことに尽きます。しかし、それでも空室は出ます。そのときに素早くリカバリーできるかどうかが大切です。
設定した家賃がそのエリアの相場よりも高いことが空室の原因となることが少なくありません。空室に備えて、周辺にある競合類似賃貸物件の賃料を調査するようにしましょう。通勤、通学に便利で、賃貸住宅が密集しているエリアなら、学校や会社までの距離や、駅や商店街などへのアクセスも勘案して、家賃設定を再検討しましょう。
値下げが避けられない場合でも、無理に大幅な値下げをする必要はありません。ネットの不動産サイトには、5,000円刻みで賃貸物件が探せるようなものがあります。つまり、価格帯をひとつ下げるだけで、物件を探している人は、大きな割安感を得る可能性があるということです。例えば、今の家賃が6万8000円なら、4,000円値引きして6万4,000円にしたり、6万円は500円値引きして、5万9,500円にしたりすれば良いのです。
また、物件管理を頼んでいる仲介管理会社との付き合い方を再考するという手もあります。空室が埋まらないからといって、ただ担当者を叱りつけるのではいけません。入居者を獲得した場合、何らかのインセンティブをつけたり、そうした方針であることをほのめかしたりするなど工夫をしましょう。それだけでも担当者のやる気は変わるのではないでしょうか。
修繕リスクは事前調査と丸投げ禁止
建物に修繕は必要不可欠です。「購入後すぐなのか」「当分の間、大丈夫なのか」は、購入前の事前リサーチで、ある程度、把握できます。購入前に必ず修繕履歴や長期修繕計画書を見せてもらうようにしましょう。こうした書類がすぐに出てこないマンションは、むしろ避けるべきです。また、修繕が発生した場合は、管理会社に丸投げにせず、自分自身でも相場を調べてみましょう。
設備の維持・管理も同様です。丸投げするのをやめて、時には自分で業者を探すことが必要になるかもしれません。管理費を抑えるうえで、必要な知識になります。退去後のリフォームは、程度の小さいものから大きなものまで、事前に支出計画に入れておくことがおすすめです。これも業者に丸投げしてはいけません。また、最近のトレンドを把握して、リフォームのタイミングで部屋が流行から遅れないようにしてもらうのです。そうすればリフォーム効果は高まります。
値下がりリスクにはシミュレーションで対策を
やはり、不動産価格も景気に連動します。景気がどん底のときに安く買い、回復したときに売却できれば利益が出ます。なお、こうした市場動向を読むのは、かなり経験を積まないと難しいので、自分にできることから始めましょう。価格が値下がりした場合をシミュレーションし、損益分岐点を設定しておくことも方法の一つです。
最終的に不動産投資が成功したのか、否かは、物件の売却価格と保有していた期間のキャッシュフローの積み上げ額が、ローンの残債を上回っているかどうかで決まります。売却価格が購入価格よりも何割程度まで下がると、投資が失敗になるかが算出できます。
簡単に説明すると、1億円でマンションを購入し、10年後のキャッシュフローの積み上げ額が500万円、ローンの残債が7,500万円だとすると、売却価格が7,000万円であれば、プラスマイナスゼロというわけです。つまり、売却価格が購入価格より3割を超えて下がらなければ、トータルで赤字にならないので、「この不動産投資は成功だった」といえるわけです。
ちなみに土地は景気に連動するものの、価値はなくなりません。しかし、建物の価格は時間の経過とともに下落します。建物の減価償却分も考慮して、損益分岐点がくる前に売却できれば、値下がりリスクにも対処できたと考えて良いのです。