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不動産投資やお金の知識をわかりやすく学ぶ

知っていれば怖くない。不動産投資で毎月かかる費用ってどれくらい?

不動産投資をおすすめする広告の中に「家賃収入は500万円!」などの宣伝文句をよく見かけます。たしかに、家賃収入が10万円の部屋を50室、20万円の部屋を25室も貸し出していれば、家賃収入は1ヵ月で500万円になるでしょう。ただ、それだけ大規模に不動産投資を展開できるのは、いわゆる「プロ大家」でしょう。

不動産投資は、さまざまな経費を差し引くと、手元に残るキャッシュフローはそんなに多くないというのが現実です。なぜなら、賃貸経営では、意外にコストがかかってしまうからです。この記事では、不動産投資で毎月かかるコストについて解説します。

管理費と修繕費

建物をいつまでもきれいに存続させるために必要になるのが管理費と修繕費です。管理費は建物そのもののメンテナンスのための費用と、入居者の生活を平穏無事に守りトラブルを防ぐための費用に分かれます。前者は共用部分の清掃や見回り、郵便ポストや掲示板などのメンテナンスのことです。後者は入居者の募集や家賃を滞納した入居者に督促状を出して回収すること、騒音や異臭など隣人トラブルの処理などを指します。

こういう業務は、管理会社に一括して委託することができ、委託手数料は家賃の5%前後が相場になっているようです。入居者募集の宣伝広告を依頼すれば、家賃1ヵ月分がかかり、清掃費用として、家賃の1~3%が、別途請求されることもあります。

修繕費は1棟所有の場合、必要になりそうな時期と金額を自分で設定し、積み立てます。区分所有の場合は、そのマンションで決められた額があり、それに従います。これも賃料5%程度と考えてください。つまり、管理(委託)と修繕にかかる費用は賃料収入の10%程度と覚えておきましょう。

固定資産税、都市計画税は

不動産を所有していると、必ず支払わなければならない税金が、固定資産税と都市計画税です。これらの税額は、自治体が3年に1度、算定する「固定資産税評価額」で決まってきます。この額は固定資産税の納税通知書に添付されています。固定資産税は評価額の1.4%、都市計画税は0.3%ですが、軽減される特例がけっこうあります。

小規模住宅用地(200平方メートル以下まで)は固定資産税評価額が6分の1に、一般住宅用地(200平方メートル超)は同3分の1になるので、結局、固定資産税と都市計画税の合計は、購入金額の0.5~1.0%になることが多いようです。表面利回りが10%の場合、年間賃料収入が購入価格の10%ということですから、固定資産税と都市計画税の税額は年間賃料収入の5~10%となります。

簡単な例で考えてみましょう。土地7,000万円、建物3,000万円の合計1億円、表面利回りが10%のマンションを購入したとします。年間賃料収入は1,000万円です。管理費と修繕費は賃料収入の10%で約100万円になります。また、固定資産税と都市計画税は5%で約50万円です。

ローン返済は収入の半分?

マンション経営にかかる最も大きな費用がローン返済です。1億円のうち、自己資金2,000万円で8,000万円を金利3%、返済期間30年で借りた場合、毎月の返済額は約33万7,283円、年間では約404万7,396円になります。2018年4月時点は超低金利なので、この程度で済みますが、もし金利が4%になると返済額は458万3,160円です。金利1%あがるだけで年間の総支払額は53万5,764円増えることになります。

返済期間を25年に短縮した場合、毎年の支払額はかなり増えます。金利3%の場合、年間返済額は455万2,428円、4%の場合は506万7,204円になります。いずれにしても、年間収入の半分近くがローンの支払いに消えるわけです。手元にキャッシュフローを残すためには、返済期間を長くする必要があります。

上述した例で簡単に計算してみると、ローン返済額、管理・修繕費、固定資産税・都市計画税の合計は、賃料収入の6割程度を占めることがわかります。入居者の入退去に伴うリフォームや、突発的な事故による修繕などが発生すると、さらに支出が増えるでしょう。上述した計算は、満室稼働の場合ですから、実際にはもっとシビアに毎月の費用を考えておく必要があるのです。

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