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不動産投資
不動産投資の新築と中古。どっちがいいの?中古が優れている理由は?
マンション投資のために購入する物件を、新築にするか中古にするかで悩む投資家は多いことでしょう。中古といっても耐用年数を過ぎたような古い物件では比較にならないので、ここでは築10年以内のものを比較対象としてみます。その比較だと、果たしてどちらが有利になるのでしょうか。
新築物件で押さえておくべきキーワードは「新築プレミアム」、中古物件で押さえておくべきキーワードは「リノベ」です。それでは、このキーワードを軸に解説を進めていきましょう。
1.新築物件は購入費が高く、経年で家賃減額を余儀なくされる
最初に、「新築」とはどのようなマンションのことなのかを定義しておきましょう。完成後1年未満、かつ未入居であることです。いくらピカピカでも、1日でも人が住んでしまえばその時点で新築ではなくなり、中古物件になります。
住まいに対して私たち日本人は、「新築志向が強い」と以前から言われてきました。それが「新築プレミアム」なるものを引き起こしているという指摘もあります。
この「新築プレミアム」とは、新築時に本来の相場価格を超えて値がつけられることです。あくまでも新築であることについているプレミアム(付加価値)なので、数年経つとプレミアム分が失われてガクンと値が下がってしまうのです。
5,000万円で購入した新築物件であっても、数年で4,000万~4,500万円まで値が落ちてしまいます。言い換えると、それだけ新築は高めに価格が設定されているというわけです。
ここ数年、都心部の地価は上昇し建築資材も高騰しています。ある不動産専門家は、「今、新築を買うというのは、ここ何十年のスパンの中で最も高い買い物をしていると言わざるをえない」との見方を示しています。
自宅のために高いお金を出してでも新築を求める気持ちは、わからなくもありません。しかし、本当にそこまで無理をする必要はあるのだろうかという気持ちも心のどこかにあるのではないでしょうか。
ところで、この「新築プレミアム」は賃貸の世界にもあります。新築で貸し出したときには強気の家賃設定ができる可能性が高く、この強気が新築プレミアムというわけです。しかし、1人目が退去してしまう3年目あたりでもう新築とは呼べなくなり、強気になり切れないことによって価格を下げざるを得なくなるのです。
1-1.失敗しないためには事前のシミュレーションが大事
新築、中古のどちらであっても不動産投資は中長期的な視野で取り組むビジネスです。そのため不動産投資の成否はそのまま人生全体のマネー戦略に深く関わることになります。このことを踏まえると、失敗は何としても避けなければなりません。
そこで重要になるのが、事前の入念なシミュレーションです。不動産投資のシミュレーションができるツールはたくさんありますが、先ほど述べたように不動産投資は人生全体のマネー戦略にも深く関わるため、ライフデザインと照らし合わせながらシミュレーションをする必要があります。
ここでご紹介するのは、リズムが提供している「REISM Lifeデザイン」です。結婚や出産、教育資金、マイホーム購入といったライフプランの総費用を算出したうえで、それに対する投資効果を算出することができます。これなら不動産投資の失敗だけでなく、人生全体におけるマネー戦略の失敗を回避することができます。
2.新築と中古、メリットとデメリットは?
それでは、当記事のテーマである不動産投資の新築と中古、どちらがよいのかという比較をするためにそれぞれのメリットとデメリットを探ってみましょう。
2-1新築のメリットとデメリット
新築マンション投資のメリットは、主に3つあります。
- 新築なので集客力が高く入居者がつきやすい
- 新築なので強気の家賃設定でも入居者がつきやすい
- 設備が新しく修繕やメンテナンスの必要がほとんどない
これらはいずれも、新築マンションをお考えの方であれば想像がつきやすいことではないでしょうか。これらのメリットを求めて新築物件を物色する方は多いと思いますが、その際には以下のデメリットもしっかり留意しておきましょう。
新築マンション投資のデメリットは、たった1つ。それは、物件の価格が高いことです。新築プレミアムの上乗せがあるため、新築時だけ許される強気の家賃設定が可能な期間を過ぎてしまうと、取得費用の高さが重くのしかかってきます。
それでは、ある一例で考えてみましょう。2,000万円の新築物件(自己資金200万円、ローン1,800万円)を購入し、5年目が終わった時点で物件を売却するケースを想定してみます。
2年目までのネット収入は110万円、3年目から90万円、キャップレート(利回り実績)は8%としましょう。5年目が終わった時点で販売するとき、価格はネット収入をキャップレート(利回り実績)で割ったものになりますので、90万円÷8%=1125万円となります。
この間、家賃のネット収入は110万円×2+90万円×3=490万円。売却価格の1,125万円に490万円を足しても1,615万円となり、購入価格の2,000万円には、385万円も届かない結果となりました。
また、ローン金利が3.5%だとすると、売却時のローン残高は約1,615万円となります。売却価格は1,125万円ですので、この時点で490万円の債務超過が出ています。この490万円を別口から用意しないと、銀行からは融資を受けられません。得られた家賃をまるまる残していてもプラスマイナスゼロという結果でした。
このように、新築プレミアムによる家賃収入の減少は、売却時に大きく影響するということがお分かりいただけたでしょうか。新築だと利益を出しにくいと言われていることには、こうした数字の根拠があるのです。
2-2.中古のメリットとデメリット
それでは、もう一方の中古マンション投資についてはどうでしょうか。中古マンションのメリットとデメリットは、ほぼ新築のメリット・デメリットの裏返しです。
そのため、デメリットは築年数が経っていることによる集客力の低下や、メンテナンスコストの増大などです。これは逆に考えると、これらのデメリットさえ克服できれば利益を出しやすいことになります。
新築マンションのデメリットである価格はこちらの努力でどうすることもできませんが、中古マンションのデメリットは後からでも克服が可能です。
それでは、中古マンション投資についてもシミュレーションをしてみましょう。中古の場合は新築プレミアムがないため、家賃設定が購入後2、3年ですぐに下落することはありません。
購入価格が1,200万円、年間の家賃収入を90万円とすると、5年後も90万円と予想されます。売却価格は90万円÷8%=1,125万円になりますので、家賃収入合計を加えると、1,125万円+450万円=1,575万円で購入価格を上回ることになります。
購入価格1,200万円のうち銀行から1,000万円を上述のケースと同じく金利3.5%、30年で借りた場合の5年後の残債は約900万円です。売却価格から残債を差し引くと、1,125万円-900万円=225万円の黒字となります。
また、市場の変化で、購入時よりも販売価格が上がることがあります。キャップレートが8%から7%になると、売却価格は90万円÷7%=1,285万円になり、購入価格よりも85万円も高く売れるのです。このようなシミュレーションが可能なのも、中古マンション物件には新築プレミアムがないからです。
3.市況を知ることが成功への近道
新築と中古の比較において、かなり具体的なシミュレーションをしてみましたが、いかがでしたでしょうか。何となく想像していたイメージと比べると、意外な部分も多々あったかもしれません。
シミュレーションでは「意外」で済む話ですが、実際の不動産投資ではすべてが現実になります。想定していないことによってマイナスが大きくなり、不動産投資が失敗に終わってしまうのは重大なリスクです。
こうした事態を避けるためにおすすめしたいのが、情報収集と勉強です。不動産投資は収益物件を購入して貸していれば利益が出るというほど単純なものではなく、そこにはさまざまな知識やノウハウの裏づけが必要です。それを事前にしっかりと身につけるためにも、勉強は欠かせません。
だからといって闇雲に勉強しても効率が低くなってしまったり、特に必要のない情報、さらには間違った情報を身につけてしまう恐れもあるので、勉強の方法にもこだわりたいところです。
リズムでは不動産投資の初心者向けに多彩なセミナーを開催しています。外出することなく学べるオンラインセミナーやオープンスクールをはじめ、無料相談会などその内容は多彩です。
いずれも不動産投資や資産運用の初心者向けの内容となっているので、「まずはどんなものか知りたい」という方に最適です。現役の不動産投資家による実践的なセミナーはとても好評で、今すぐ不動産投資を始める予定がない方であっても聴講の価値は大いにあると思います。
3-1.狙い目はリノベ物件
このようなシミュレーションしてみると、新築よりも中古物件はお得になるということがわかります。ただ、ここで注意すべきは、物件が古すぎないということです。あまりに古すぎると、やはり築年数による集客力低下の影響を受けてしまうため十分な利回りを出せるだけの家賃設定が難しくなります。
そこで狙い目となるのが、リノベーション済みの物件です。築年数は経っていても、リノベーションで新築同様になっている物件ならば、家賃を下げなくても入居者がつきやすくなります。
近年では住まいに対する価値観も多様化しており、画一的なマンション空間での生活に物足りなさを感じる人が多くなっています。ファミリータイプのマンションの間取りを見ていると、ほとんどの物件が同じような間取りになっていることにお気づきかと思います。
いわゆる「田の字型」と呼ばれる間取りで、建築する側にとっては作りやすいのかもしれませんが、そのような物件の山を見て「どれも同じ」と思ってしまっている人たちがいるのは紛れもない事実です。
こうした問題も、リノベーションで解決することができます。独創的でスタイリッシュな空間を創りだして「田の字型」のマンションと差別化することができれば、家賃の引き下げ競争に巻き込まれることのないブルーオーシャンな物件となります。特に若い層を中心にこうした自己主張のある物件への人気が高まっています。
新築プレミアムがなく市場価格で取引されている中古物件をリノベーションして集客力の高い物件を創り上げる。この優位性を人生全体のマネー戦略に組み込むことで、安定的な家賃収入が人生を豊かにしてくれるのです。