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コロナ不況で発生した家賃問題を乗り切るには

多くの医療関係者や各種公的機関、日本国民一人ひとりの努力もあり、2020年5月半ばを過ぎると新型コロナウイルスの新規感染者数は大幅に減少し、期日であった5月31日を待たず5月25日に緊急事態宣言が全面解除されました。街の人出は徐々に回復しつつあり、状況が好転し始めたように感じている人も多いのではないでしょうか。

ただし、約1ヵ月半にもおよぶ外出自粛や営業休止要請の影響は大きく、多くの飲食店や小売店が家賃などの固定費の支払いに苦慮しています。不動産投資家の中には、新型コロナウイルスがもたらした景気後退が賃借人の家賃不払いにつながらないかと強い不安を感じている人も少なくないでしょう。

そこで今回は今後発生することが予想される家賃不払い問題について、海外や日本の動向をみながら各種助成策の活用方法などを考えてみます。

コロナ不況で発生した家賃問題を乗り切るには

海外の動向と日本で進む法整備

感染が著しく拡大した2020年3~4月は世界各国で外出禁止措置がとられ、飲食店や小売店などにおいては営業停止命令が出されました。このような世界状況を踏まえたうえで、日本国内でも新型コロナウイルスによる経済への影響を最小限にとどめるため、さまざまな政策が打ち出されています。特に目立ったのは賃貸人による賃借人への立ち退き要求の禁止、および支払いの猶予命令です。

アメリカでは2020年8月下旬まで立ち退き要求が禁止となり、イギリスやオーストラリアでも同様の政策が採択され、ドイツやシンガポールでは支払い猶予を認めるよう命令が出されています。政府が弱者保護の観点からこうした政策を打ち出すことは、やむを得ないといえるでしょう。

海外の動向と日本で進む法整備

「住居確保給付金」など各種制度を活用

日本の場合、外出自粛や営業休止は諸外国のような罰則付きの「命令」ではなくあくまでも「要請」です。また当初は補助制度の発表がなく政府に対して批判が噴出しましたが、海外には少々遅れたものの2020年6月時点では以下のようにさまざまな制度が動き出しています。

  • 住居確保給付金
    住居確保給付金は2015年からある制度です。離職などで生活が困窮した人に対して原則3ヵ月の間、家賃が支給されるというもので、東京都1級地の場合は単身世帯で5万3,700円、2人世帯で6万4,000円が支給されます。今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて生活が困窮した人たちも対象になっており、審査や手続き面において配慮されています。
  • 持続化給付金
    新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて売り上げが前年同月比で50%以上減少している個人事業主や中小企業などが対象で、個人で最大100万円、法人で最大200万円の支給が受けられます。
  • 東京都感染防止協力金
    東京都が定めた緊急事態措置期間に休業や営業時間の短縮に協力した施設を所有する個人や法人のうち、指定された業種の事業者は50万円(2事業所以上の場合は100万円)の支給を受けられます。(※緊急事態措置期間の延長により2020年4月16日~5月6日分と同年5月7日~5月25日分のダブルで受給が可能です)
  • 東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金
    理美容室は生活上必須との判断から東京都の休業要請に含まれておらず、東京都感染防止協力金の対象からも外されていました。しかし、自主的に休業した事業者も多いことから指定期間の休業には15万円(2事業所以上の場合は30万円)の支給が受けられるようになっています。
  • 生活福祉資金
    生活困窮者を対象とした緊急融資制度です。もともとの融資額は10万円ですが、今回の新型コロナウイルス感染拡大で生活に影響があった人は20万円まで融資が受けられます。返済することが前提ですが、翌年以降も生活に困窮する場合は返済の猶予や免除が行われる場合があります。
  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付
    日本政策金融公庫の特別融資制度で、売り上げの減少要件などを満たす個人事業主は3,000万円以下の部分まで、中小企業は1億円以下の部分までの資金に関して実質無利子で融資が受けられます。融資上限額は個人事業主で6,000万円、中小企業で3億円です。
  • 家賃支援給付金
    政府が2020年5月27日に閣議決定した第2次補正予算では、過去最大となる31兆9,114億円の歳出が決められました。その中に2兆円の予算で盛り込まれたのが家賃支援給付金です。家賃の支払いに苦慮している個人事業主を含む事業者の家賃を国が半年間にわたり補助するというもので、月額25万円を上限に家賃の3分の2が支給されます。

    5~12月までの間で売上が前年同月で50%以上減少したか、3ヵ月平均で30%以上減少した事業者を対象にしています。複数店舗を持つ事業者の場合は、月50万円を上限に給付上限超過額の3分の1が支給されます。

  • 学生支援緊急給付金
    アルバイト収入の激減などで生活への影響が顕著となっている大学生や専門学生などを支援する制度です。一定の条件を満たした人たちには、住民税非課税世帯の場合は20万円、それ以外は10万円の給付金が支給されます。

さまざまな支援策を上手に活用

今回ご紹介した制度のほかにも、全国各地の市区町村でさまざまな支援策が打ち出されています。家賃の支払いに困っている入居者がいた場合は、不払いになってしまう前にこうした制度の利用を検討できるようアドバイスをしてみてはいかがでしょうか。

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