不動産投資

マンション投資で「ワンルーム」を選ぶ際のポイント

「マンション投資」とひと口に言っても、一棟購入か区分購入か、新築物件か中古物件かなど、さまざま選択肢があります。もちろんワンルームマンションも、その選択肢のうちの1つです。

家族仕様のファミリータイプと何かと比較されやすいワンルームマンションですが、利回りが比較的高いといった見逃せないメリットもあります。そこで本記事では、マンション投資で「ワンルーム」を選んだ場合のメリット・デメリットについて考えてみます。

マンション投資で「ワンルーム」を選んだ場合のメリット・デメリットについて

1.「ワンルーム」と「ファミリータイプ」の比較

マンションの部屋には、ワンルームタイプもあれば、2LDK、3LDKといった部屋数の多いファミリータイプもあります。実質利回りは、一般的にワンルームは5〜8%、ファミリータイプは3〜5%程度と言われていて、ワンルームのほうが高い傾向にあります。

物件の価格が高い一方でファミリータイプはなかなか高い家賃を設定できず、ワンルームと同程度の利回りが出せないことも少なくありません。

その理由の一つは、ファミリータイプのマンションを購入する人の多くが、自ら住むことを目的としているために、利回りが考慮されずに販売価格が設定されているからです。それをベースに物件価格の相場が形成されています。

一方でワンルームマンションは、自分で住むために購入する人はあまりいません。そのため、投資を前提に利回りを考慮した物件価格が設定できるのです。

また、ワンルームは1世帯当たりの入居期間が短く、ファミリータイプは長めという傾向の違いがあります。特に東京のワンルームは入居期間が短めで入れ替わりが多く空室リスクは高めですが、次の入居者がすぐ決まりやすいのがメリットです。一方ファミリータイプは、入れ替わり頻度が低くても、空室期間は長くなりがちです。

また、修繕費は、ワンルームのほうが退去後の費用は安く済みます。ただし、入退去の頻度を考えると、ファミリータイプと大きな差はないのかもしれません。

これらの比較を一覧表にしてみました。上記で解説した項目以外にもいくつか比較ポイントを追加したので、ワンルームタイプとファミリータイプの違いについてイメージしてみましょう。

ワンルームタイプ ファミリータイプ
実質利回り 5~8%程度 3~5%程度
入居期間 短め 長め
空室期間 短め 長め
修繕費 安め 高め
物件価格 安め 高め
所有形態の傾向 投資家所有がほとんど 自己所有がほとんど
売却時の相手 投資家がほとんど 投資家か実需(自己居住目的)
売却時の流動性 高い(売りやすい) 低い(売りにくい)
賃貸経営のしやすさ 入居居者を見つけやすい 入居者探しの難易度が高い

後半部分には売却に触れている項目があります。売却しやすいことは、不動産投資のゴール地点での失敗を防ぐ効果が期待できます。不動産投資家の目的は最終的な収支をプラスにすることだけに、投資家の多くがワンルームタイプを選んでいることは押さえておくべき事実でしょう。

2.物件選びのポイント

ファミリータイプよりもワンルームの利回りが良いことは、すでに説明した通りです。それでは、物件を選ぶ際に注意すべきことはどんな点でしょうか。

一つは、「新築」と「中古」のどちらを選ぶのかという点でしょう。新築物件は価格も高いため、初期投資は中古に比べて高めです。なぜなら、マンション物件価格の決まり方が、新築と中古で大きく異なるからです。

新築のマンション価格は、そのマンションを建てて広告を打ち、購入者に引き渡すためのコストも踏まえて算出されます。一方、中古マンションは市場価格で決まります。

この違いがあるため、新築物件の価格はどうしても市場価格から乖離してしまい、その価格差は「新築プレミアム」と呼ばれています。新築マンションを購入してすぐに売りに出すとガクンと価格が下がってしまうのは、この新築プレミアムの差分です。

しかし「新築」はそれだけで一つの価値になるため、賃貸市場でも人気があり、高い家賃でも入居者が入りやすいメリットはあります。中古物件は、新築に比べて物件価格が安く、初期投資を抑えられるのがメリットです。

もう一つは、購入後の利用可能年数です。鉄筋コンクリート造のマンションの寿命は60〜80年と言われています。減価償却費を経費として計上できる法定耐用年数が47年と設定されていますが、この47年を経過した瞬間に建物が使えなくなるわけではありません。

仮に実質的な寿命を60年だと考えると、築年数が20年の中古物件の利用可能年数は40年程度です。新築であればそれが60年になりますから、中古はその分だけ収益を得る期間が短くなります。

2-1.リノベーションでデメリットを克服

新築の場合は、価格の変動において一つ注意点があります。新築販売直後の「新築プレミアム」についてはすでに解説しましたが、その次にやってくるマンションの築3〜10年の期間は、第一段階と呼ばれます。この期間の賃料の下落率は比較的高くなります。これは近隣エリアの新築物件の競合が強いからです。

築11〜20年は第二段階と呼ばれ、下落率は緩やかになります。築21年以降は第三段階です。下落率はほぼ横ばいで推移します。つまり、この傾向を利用して下落率が緩やかになった段階以降の中古物件を購入すれば、その時点からの賃料下落は小さくて済む可能性が高く、より高利回りが期待できます。

新築にせよ中古にせよ、経年劣化は免れません。経年劣化による賃料下落を抑えるために、室内のリノベーションで、物件価値を高めるという方法があります。室内の設備や内装・デザインをその時代のトレンドに合わせることで、高めの家賃設定でも入居者を惹きつけることが可能になります。

3.中古ワンルーム×リノベーションをおすすめする理由

ここまでの解説で、「中古」「ワンルーム」「リノベーション」という3つのキーワードがこれからの不動産投資で有利に働くことがおわかりいただけたと思います。この3つのキーワードを満たす、中古ワンルームマンションのリノベーション投資をおすすめする理由を4つの視点から解説します。

3-1.立地の良い物件を入手できる

不動産は動かすことができない資産です。当然ながら条件のよい土地から順にマンションが建ち、後から建てられるマンションが既存の好立地マンションを上回ることは困難です。つまり好立地のマンションを探すのであれば、中古マンションからのほうが見つけやすい傾向があります。

中古マンションは経年劣化によって建物が古くなっていますが、時間が経っても立地条件が劣化することはありません。中古物件をリノベーションによって再生すれば、好立地で状態のよい物件ができあがります。

3-2.新築に比べて費用負担を抑えられる

新築マンションには先ほど解説したように「新築プレミアム」があります。一方で中古物件は市場価格で購入できるため、物件の取得価格を安く抑えられます。リノベーションのための費用は必要になりますが、それでも新築の価格を上回るほどのものではなく、全体の初期費用を抑えることができるのは投資家目線でとても重要なことです。

マンション投資の利回りは「年間の実質的な収入÷物件の取得費用」で算出されるため、分母にあたる取得費用を低く抑えることは利回り向上に欠かせません。投資目的である以上、いかに安く仕入れるかという感覚はとても重要です。その観点からも中古マンションには価格の整合性があります。

3-3.競合物件と大きく差別化できる

多くのマンションの内装やコンセプトは画一的で、室内だけを見てどのディベロッパーが建てたマンションなのかを言い当てることは難しいでしょう。

ワンルームマンションであれば間取りはあまり関係がありませんが、3LDKや4LDKのマンションにおいては間取りも画一的で漢字の「田」の字のように部屋が並んでいる物件が多くあります。

このように多くのマンションが画一的なコンセプトになっているのは、設計や建築のコストを抑えたいというディベロッパー側の事情があるためです。

しかし、すべての入居者が同じ物件を求めているわけではありません。価値観の多様化によって、自分が生活したい空間や生活スタイルに応じてマンションに求める性能も多様化しているのです。

リノベーションの自由度はとても高く、物件のコンセプトそのものを大きく変えて再生することができます。そのため、「今求められているコンセプト」を的確に捉えて反映することで、競合物件と大きく差別化できます。

差別化された物件を選ぶ人は、「その物件しか選ばない人」なので、似たような物件同士の家賃引き下げ競争に巻き込まれることもありません。

3-4.時流に合っている

入居者がマンションに求めるコンセプトや性能は、常に同じではありません。例えばコロナ禍でリモートワークが普及し、リモートワークに適したマンション物件を求める人が増えました。この流れを受けてマンション室内にもう1つのプライベート空間を設けるコンセプトも登場しています。

これまでにはなかったニーズや価値観が続々と誕生していることを受けて、マンションも柔軟にそのニーズに応える必要があります。マンションのコンセプトを固定化することなく柔軟に対応できるリノベーション投資は、まさに時流に合っている不動産投資のあり方です。

4.人口増加が続く東京で「中古ワンルーム×リノベ」を始めよう

弊害も含めて東京一極集中が指摘されるように、東京では今もなお人口の増加傾向が続いています。東京都の推計でも2025年までは人口の増加が続き、日本全体では人口の減少が加速していくなかでも東京都の人口減少は緩やかであるとされています。

人口が増えることは不動産投資の市場拡大を意味するので、投資家として魅力的な市場である東京を選択するのは自明の理です。その東京で「中古」「ワンルーム」「リノベーション」を満たしたマンション投資を始めることが、考えられるさまざまな選択肢の中で最も成功しやすい形だと言えるでしょう。

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