不動産投資

マンションの「外観」はどの程度重視すべき?

中古マンションのリノベーション物件を区分で購入する場合、室内は当然新しくキレイになっていますが、建物の外観は基本的にそのままです。部屋はキレイでも、外観が古臭かったら入居者から敬遠されるかもしれません。

入居者候補の人たちから見て、外観がマンションの「顔」となり、第一印象を決めてしまうといっても過言ではないでしょう。

内装とは別の次元でマンションの価値に大きな影響を及ぼす外観について、どの程度重視するべきなのか、その外観をチェックするポイントについて解説します。

1.第一印象は借り手の評価を大きく左右

マンションを借りようとして実際に物件を見に行くと、最初に目に入るのは建物の外観です。初対面の人も見た目の第一印象が大切なように、マンションも見た目の印象は重要となります。

しかし、住人の退居や入居の都度、マンションの外観までリフォームするわけにはいきません。そのため、築年数が古くなればなるほど、経年による見た目の変化は免れません。

新築物件のようにはいかないわけですが、悪い印象にならないためには、何をすればいいのでしょうか。また、入居者はどんな観点で建物を見ているのでしょうか。それを知ったうえで物件選びをすれば、外観(ルックス)で損をするリスクを軽減できます。

2.マンションの外観を重視すべき理由

不動産投資の観点からマンションの外観を重視するべき理由は、大きく2つあります。どちらも不動産投資の成否に深く関わることなので、しっかり留意しておきましょう。

2-1.買い手が見つかる可能性が高くなる

不動産投資では、所有物件をいつか売却するときがきます。最後は自分で住むと決めている場合はその限りではありませんが、賃貸経営のために購入した物件がその役目を終えたら、次にあるのは売却です。売却を完了してトータルの収支が決まるので、売却でも失敗するわけにはいきません。

どんな売買交渉においても、買い手候補はマンション物件の見学に来るケースがあります。入居者がいる場合は内覧ができない分、外観に目が留まることが多いです。そのときに古ぼけた外観であったり、破損箇所が放置されたままになっている外観だとしたら、買い手候補はどんな印象をもつでしょうか。

マンションの外観で損をしてしまっては、せっかく内装をきれいにしていても買い手が付きにくくなる可能性大です。賃貸物件を探している人向けのポータルサイトには、「写真から探せる賃貸物件」と銘打って外観で比較検討ができるコンテンツ も用意されています。

それほど外観は重要なものであり、入居者探しだけでなく買い手探しにおいても同様です。

2-2.高値で売却できる可能性が高くなる

売却の成功は、不動産投資の成功を意味します。逆に売却に失敗してしまうとそれまで獲得してきた家賃収入の利益分を吹き飛ばしてしまい、最悪の場合はトータル収支がマイナスになってしまうこともあります。不動産投資における売却はとても重要なプロセスです。

マンションの外観は、単に見た目に美しいかどうかだけではなく、そのマンションの管理状態や治安も如実に示しています。破損箇所が放置されていたり、共用部分に私物が散乱しているようなマンションは、どんな住環境なのか自ずと想像がつきます。次にそれを買おうとしている人に好印象を与えないことは言うまでもありません。

マンションの外観が美しく保たれている物件は管理状態がよく、入居者の民度も高いと判断できる材料になります。それゆえに価格交渉が有利になり、高値で売却できる可能性につながります。

3.マンションの外観をチェックする時のポイント

それでは購入物件の検討にあたって外観の視点からチェックするポイントを個別に解説します。

3-1.ひび割れや汚れ

汚れは主観によるところが大きいですが、ひび割れは明確な破損箇所なのでその有無をチェックします。大きなひび割れが放置されたままになっているとしたら、そのマンションは他にも破損箇所が放置されていると推測できます。

手入れの行き届いているマンションなら、破損箇所があってもそれを適切に補修しているものです。古いマンションだと補修箇所があるのは仕方ないことで、むしろ補修されていることは好意的に見ることもできます。

3-2.外壁材

外壁材に何が使われているか、どんな状態であるかも外観の印象に大きく影響します。外壁にタイルを使用しているマンションは多いですが、タイル材にもさまざまなグレードがあります。また、タイルは破損や変色をしている箇所だけを交換できるため、適切にメンテナンスされていて当然と考えるべきでしょう。

タイルではなく外壁が塗装されている物件の場合、塗料の状態をチェックしてください。可能であれば触ってみて、手に粉のようなものがつかないかどうかをチェックします。

これは「チョーキング」と呼ばれる現象で、雨風や空気、紫外線による塗料の劣化を示すサイン です。少し触っただけで大量の粉がついてしまうような外壁は、メンテナンスの時期が来ているのに放置している可能性が高く、避けるべきです。

3-3.マンションの色

色は主観や好みの問題があるので、「何色であるか」という問題よりも「本来の色からどれだけ変化しているか」をチェックします。もちろん塗装状態がよくても突飛な色だと入居者や買い手候補から敬遠される可能性があるので避けるべきですが、オーソドックスな色目のマンションで明らかに変色の形跡がある場合は管理不十分です。

古ぼけて見える、劣化しているのが見た目にもわかる、どことなくくすんだような色になっている、といった印象のあるマンションは外観にあまり配慮をしていないと推測できます。

3-4.エントランス

マンションのエントランスは、遠巻きに見える外観の次に目に入ってくる場所です。エントランスにもマンションの管理状態や住民の民度がよく表れるので、清掃が行き届いていて清潔に保たれているか、汚れや落書きなどはないか、掲示板がある場合は古い掲示物が貼られたままになっていないか といった点に注目するとよいでしょう。

どれだけ禁止しても勝手にチラシを入れられることはあります。そのためのゴミ箱を用意しているマンションは比較的清潔に保たれていますが、そうでないマンションだとチラシが床に散乱しているような光景に出くわすこともあります。これも第一印象に悪影響なので、チェック項目にしてください。

3-5.植栽

マンションの周囲など敷地内に植栽がある場合、これも管理状態を知るバロメーターになります。マンションを魅力的に演出するアイテムでもあるので、人気の植物が植えられているか、その植栽が適切に管理されていて美しく保たれているかはマンションの外観を決める大きなポイントです。

なお、人気の植物というと以下のようなものがあります。

  • ヤマボウシ
  • シマトネリコ
  • ハナミズキ
  • ナンテン
  • ツバキ
  • ソヨゴ など

ご自身でその植物のことをよく知らなくても、仲介をする不動産会社の担当者に聞いてみるのもよいでしょう。

4.マンションの外観以外にも大事なポイントはある

もっとも、マンションの印象を決めるのはもちろん外観だけではありません。それ以外にも重要なポイントがあるので、ここでは入居者目線に立ってチェックすべきポイントを挙げてみます。

4-1.住む人のライフスタイルや価値観を考える

外観がキレイであることに越したことはありません。しかし、部屋の内装がそれに見合っていなければ、かえってその落差に“がっかり感”が大きくなってしまうでしょう。逆に外観はイマイチでも、室内が見た目にも印象が良く住みやすそうな部屋なら、その意外性に好感度が上がることがあるかもしれません。

また、外観という意味ではデザインも重要です。古びていても、壁や屋根などのデザインが今ではなかなか見ない特徴的なものであれば、かえって「レトロでオシャレ」と受け取られることもあります。事実、そういった物件が人気を博していること もあります。

ただし、実際のところは入居者が借りる際の決め手として外観を判断材料にするかどうかは、その人の価値観やライフスタイルによっても大きく変わります。

例えば友人・知人をよく家に招いたりする人は、外観を気にするかもしれません。またベランダ、バルコニーなどの面積が大きい物件の場合は、そこで過ごす時間も多くなることが予想され、眺望と合わせて外壁を気にする人もいるでしょう。

近年増えているリモートワークを自宅ですることが多い人からは、仕事をしやすいスペースであること、背景に映り込む内装が美しく仕上がっていることなどが重視される傾向もあります。

その一方で、外観をほとんど気にしない人もいます。平日は朝から夜遅くまで仕事に出ていて、週末は家の中でゆっくりするか、どこかに遊びに出かけてしまうというライフスタイルの人なら、選ぶ基準は室内の住みやすさや機能性となり「住み始めたら外観なんてほとんど気にしないから」と考えます。

このように、物件に対して何を重視するかは住む人のライフスタイルや価値観によって大きく異なります。

4-2.地域の治安や防犯面の心配をクリアできるか

極端な例かもしれませんが、例えば外壁に落書きされているのを放置しているマンションがあったら、どう思うでしょうか。きっと、その地域の治安が心配になるのではないでしょうか。人目につかずにそうしたことができる場所と思われ、マンション自体の防犯面は大丈夫かと心配になるかもしれません。

特に、一人暮らしの女性を借主のターゲットとして考えている場合であれば、なおさら重視すべきポイントです。何かと物騒なご時世だけに、外観から治安をうかがい知ろうとする人はとても多いのです。

先ほど述べたように、外観はマンション管理がしっかりしているかどうかのバロメーターになります。築年数が古ければ、壁面は劣化してひび割れが生じることもあります。しかし建物が古びていても細かいところが修繕されていると、隅々まで目が行き届いていてきちんと管理されていると見なされるでしょう。

投資用中古マンションを購入する時は、このように借り手の立場から物件を見て評価することが大切です。外壁などをピカピカに修繕している物件よりも、むしろ室内のリノベーションの品質を優先している物件の方が、投資効率が高くなる可能性もあります。

このように外観に加えて、あらゆる面からマンション管理が行き届いていることがわかる物件であることが重要といえます。

3年以上勤めた会社員へ。
あわせて読みたいおすすめコラム