リノベーション

今の住宅トレンドは?「リビング」を中心とした住まいへ

みなさんは今、どのようなライフスタイルを好み、リビングや個室に何を求めるのでしょうか。住まいを供給する側としては、とても気になるところです。リクルートが2016年12月に発表したリポート「2017年のトレンド予測」からヒントを読み解いてみます。

リビングを広く多機能に、個室はミニマムの傾向

同リポートでは、住宅領域における2017年予測のキーワードを「リビ充家族」としています。「リビングを最大に広げて、空間は共有しつつも、各々が好きに充実した時間を過ごす」という意味だそうです。

その背景には、リビングはテレビを見ることなどで家族が集まるくつろぎの場から、仕事・勉強・遊びなど、家族それぞれが自分の時間を過ごす多機能空間へと変貌していることを指摘しています。選ばれる住まいの立地が、都心の「駅近」になると、どうしても専有面積が狭くなる中で、「リビングMAX、個室min(リビングを最大限に広く、個室を最小限に)」という考えになっていることがあるそうです。

リビングの使い方は、この10年でも変遷がありました。2006年、「東大に行く子はリビングで勉強していた」という話が話題となり、子どもをリビングで勉強させる家庭が増えました。3年後の2009年には古い住居を最新設備で再生させるリノベーションが流行り、リビングに自転車を置いたり、ハンモックを吊るしたり、趣味を反映させる動きが出てきます。東日本大震災が起きた2011年には家族の絆が強調され、家族でリビングにいる時間が重視されるようになります。

2014年には、マンション価格が高騰する一方で、都心の駅近と立地が重視される傾向が強まり、狭い専有面積で間取りに工夫があったり、わずかな手間で広さを変えられたりする物件の人気が高まりました。それに加え、2016年からは「ワークライフバランス」の推進から、自宅でも仕事ができる「リモートワーク」が広まってきました。これまでのように、くつろぐだけではなく、仕事の場としても使えるように「リビングの多機能化」がさらに進んできたのです。

テクノロジーが変える、住まいの方向性

また現在は、スマートフォンの普及が進んでいます。電車内を見渡しても、病院の待合室でも、スマホの画面を見ている人がほとんどで、人前でスマホを触るという行為は何の抵抗もないようです。家の中でスマホを触るのに最も適しているのは、広々としたリビングということになるのかもしれません。

スマホが手放せないのは子どもだけでなく、大人も同じです。親子がそれぞれ自分のスマホを眺めながら会話をしている姿が「普通」の光景になってきました。家族がリビングでバラバラなことをしていても、一緒にいることで連帯感・一体感を感じるということもあるようです。これも時代を象徴しているのかもしれません。

リビング中心の住まいになることのメリット

先述した2006年からのトレンドで、リビングに勉強机を置く家庭が増えています。自室にこもって学習すると、子どもは遊びの誘惑に負けてしまいがちですが、親が見ているという緊張感から、集中して勉強に取り組むようです。わからないところを教えてあげれば、そこからコミュニケーションになりますし、子どもの成績アップになるなら大きなメリットと言えるでしょう。

そうなると、子ども部屋は寝るだけになるため、家財の一部を収納するためのスペースに利用することもできます。このほか、リビングに可動式ロフトを設置すればさらに収納力がアップし、縦空間の活用にもつながります。

こうした「リビ充」を支援するため、リビングに置くことを前提とした学習用デスクやベッド付きの0.5~2畳の子ども小屋、ポケットベース(基地空間)などの後付けパーツも続々と販売されています。これらは使い方も多様で、創意工夫をこらすことができるほか、子どもの発育段階に応じて使い分けることも可能なので、限られたスペースの有効活用につながります。

リビングが広い間取りの部屋は、日本人の新しいライフスタイルを反映した人気の物件となりそうです。

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