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COLUMN

不動産投資コラム

2017年度予算から読む国の空き家対策

2017年度予算が成立し、国土交通省は今年度、深刻化する空き家問題の対策事業に本腰を入れることになります。なかでも、「空き家・空き地などへの流通の活性化の促進」(全国版空き家・空き地バンクの構築や空き家などの流通促進に取り組む団体などへの支援)には、1.1億円が盛り込まれています。これは一体どのような施策なのでしょうか。

不十分だった空き家対策

総務省「住宅・土地統計調査」によると、2013年の時点で全国の空き家総数は10年前の1.24倍の820万戸で、空き家率は13.5%でした。そのうち、賃貸にも売却にも別荘としても使っていないのは、同じく10年前の1.50倍にあたる318万戸で、そのうち15%しか活用が望めないといいます。

こうした現状に対して、防災や衛生、景観面などから、全国の多くの自治体が空き家の適正管理についての条例を定めています。相談窓口を開設したり、改修時に助成したり、独自の取り組みを行っているのです。しかし、自治体ごとに仕様が異なっていたり、検索や比較検討がしづらかったりするものが多く、消費者と持ち主のマッチング機能がうまく果たせていませんでした。

また、空き家バンクが存在することのPR活動も、自治体の持つノウハウには限界があり、一般に広く認知もされていないようです。

このほか、空き家の有効活用には、取引の専門家である宅建業者の協力が不可欠でしたが、業者にとってのメリットがあまり用意されておらず、対策として不十分でした。

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施策「空き家バンク」の内容

今回の施策によると、自治体ごとに独自の仕様だった空き家・空き地バンクについては、物件情報の掲載項目を統一し、全国の空き家物件が容易に検索できるように仕組みを整えます。検索は場所だけでなく、物件の特徴などの条件面からもできるように工夫します。

運営は民間に任せ、不動産情報サイトとの連携を進めることで、消費者にとって使いやすいものになり、マッチングが加速していくことが予想されています。

次に、協力してくれる不動産会社への処遇ですが、例えばリフォーム提案と組み合わせた物件紹介や、空き家の管理代行を行い物件の価値を維持するなど、先進的な取り組みをする業者や団体に積極支援をすることが約束されています。

このほか、国土交通省の予算には、民間業者が行うリノベーションなど中古住宅を再生させる事業に出資や融資をする「まちづくりファンド」への支援事業の創設や、クラウドファンディングを活用して、遊休不動産ストック再生の推進なども盛り込まれています。空き家バンクの推進と絡めて、総合的に現状は改善されていくと予想されます。

今回の施策の意義

ここに至るまで、なぜ空き家問題は本腰を入れた取り組みが行われなかったのでしょうか。人口が減少しているのに、「供給を増やせば地価は上がる」「住宅需要があるから供給しているだけで、消費に水を差すようなことを言うのはよくない」として動いてきた「民」と、「市街化調整区域の開発緩和をしてでもウチのまちの人口を増やしたい」という「官」の思惑がマッチしていたとの指摘もあります。

確かに、このままでは空き家は増加する一方でしょう。国や自治体が、空き家や空き地問題は「管理する所有者の責務」というスタンスで、所有権の放棄を希望した場合でも、寄付を受け入れてこなかったという側面もありました。

供給過多となった今、空き家の持ち主の多くは「放置しておいたほうが得」との心理状況にあります。しかし、そのままではいつか限界が訪れます。「放置しておいたら損をする」という方向に転換するための動きを作り出せたとしたら、今回の施策は意義深いといえるのではないでしょうか。

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