不動産投資

華麗なるヴィンテージマンションの世界と投資家目線でのメリット7つ

数あるマンションのジャンルに、ヴィンテージマンションがあります。「ヴィンテージ」という言葉から「古いけれど良いもの」というイメージを抱く人は多いでしょう。

一般的にマンションは新しいことも価値のひとつですが、ヴィンテージマンションには古さゆえの魅力があります。マンションのコンセプトや内装は画一的であることから、20代から40代の層では「新しいこと」よりも趣や風合いなど、ヴィンテージマンションが持つ魅力に惹かれる人も少なくありません。

このようにヴィンテージマンションを好む人が増えていることを受けて、本記事ではヴィンテージマンションの世界を紹介し、投資家目線でヴィンテージマンションのメリット・デメリットなどについても解説します。

華麗なるヴィンテージマンションの世界と投資家目線でのメリット7つ20

1.ヴィンテージマンションとは

「ヴィンテージ」とは、もともとはワイン醸造用のブドウの収穫年を意味する言葉です。特に当たり年のワインは「ヴィンテージワイン」と呼ばれます。そこから派生して、「ヴィンテージ」は、楽器や家具、古着などさまざまな「年代物の名品」を形容する言葉として使われるようになりました。ヴィンテージマンションも、年代物でハイクオリティな物件という理解で問題ありません。

マンションは通常、築年数が古くなればなるほど価値は下がります。しかし、建築後数十年が経っても高い人気を得ていて、むしろその古さによって価値を高めているのが、ヴィンテージマンションです。

もちろん、建てられた時から「ヴィンテージ」だったわけではありません。当初は高級マンションとして売り出されたものが多く、高級住宅街など立地や周辺環境が良く、著名な建築家が設計しているなどデザイン性の高さなどに共通点があります。そして、メンテナンスがしっかり行われていて、管理状態の良いマンションが、時を経て「ヴィンテージ」と呼ばれるようになる傾向があります。

単に古いものではなく、古さに価値があるもの、古いことで一層の魅力が増すもの。これは「ヴィンテージ」という言葉の定義ですが、古さゆえに住み心地や利便性が損なわれるようではマンションとしての魅力が半減してしまいます。ヴィンテージマンションは、「ヴィンテージ」の魅力を備えながら、近代的なマンションの利便性を備えているところにも、ひとつの特徴があります。

1-1.普通の中古物件との違い

「築何年以上からヴィンテージ」といった明確な定義があるわけではありませんが、ヴィンテージと呼ばれるマンションの中には、東京五輪の頃に建てられたものもあります。人気の中心は、1965~1975年代に建てられたものです。

つまり、ヴィンテージマンションの中でも人気の中心は2023年時点で築50年前後の中古マンションです。普通に考えるとマンションの中ではかなり築古の物件に分類されます。

しかし本来は、建築物は30年や40年でガタがくるようなものではありません。木材は時間が経つほどに乾燥して強くなります。コンクリートも水分が蒸発して強度が増すのです。購入する際、新耐震基準が施行された1981年以前の物件については耐震診断済みかどうかの確認は必要ですが、建設当時にハイグレードであることを謳っていた物件の多くは相当な建設費が注ぎ込まれており、しっかりと建てられた物件が少なくないのです。

また、高級マンションとして売り出されているので、そこに住むことは当時の住民にとってはステータスでした。そのため、自分たちの住まいに愛着を持っている住民が多く、管理組合がしっかり機能しているケースも多くあります。そのため、日々のメンテナンスや定期的な修繕工事もしっかり行われていて、築年数が古くても清潔で住みやすさが保たれています。

1-2.ヴィンテージマンションの資産性

ヴィンテージマンションの面白いところは、築古になっても価値が落ちにくいことです。そもそもヴィンテージマンションであることが付加価値なのですから、本来であれば築年数が経過するごとに価格が下落していく中古マンション市場において、ヴィンテージマンションだけは異なる価値観で取引されています。

この「古くなっても価値が落ちない」というのは、投資家目線ではとても重要なことです。資産価値が失われないということは賃貸住宅としての価値も失われないことを意味しますし、売却する際にも満足にいく価格で売れる可能性が高くなります。

マンションを資産として所有する際に、経年による価値の下落は資産の目減りにつながるため、重大なリスク要因です。しかしヴィンテージマンションであればその問題をあまり気にする必要がなく、むしろ古いことが高値売却にもつながるのですから、投資対象として注目されているのも不思議なことではありません。

1-3.東京でヴィンテージマンションが多いエリア

東京はヴィンテージマンションが多い街として知られていますが、その中でも東京にヴィンテージマンションが密集しているエリアがあります。その代表格は、港区の麻布から広尾の周辺です。

もとから都内屈指の閑静な高級住宅街として知られているエリアだけに、古くから高級マンションが建てられてきました。その当時に建てられた高級マンションがヴィンテージマンションとなり、今もその輝きを保っています。

このエリアにある主なヴィンテージマンションを、いくつか紹介しましょう。

  • ホーマットアンバサダー(港区南麻布4丁目)

    周辺に外国の大使館が多いこともあって、外国人向け住宅として開発されたマンションです。ホームパーティを開催できるような広いリビングが設けられていることなど、贅沢な間取りが今も人気の理由となっています。

  • ドムス南麻布(港区南麻布3丁目)

    先ほどのホーマットアンバサダーから近く、高台に建っていることからも分かるように古くから高級マンションとしてその名を轟かせてきました。外観はあまり目立たない控えめなデザインですが、その内部はとても豪華に作られています。

  • 広尾ガーデンヒルズ(渋谷区広尾4丁目)

    著名人が住むことも多い、とても有名な高級マンションです。都内有数の高級住宅地である広尾にあることもあって、周辺環境も含む高級感は群を抜いています。

2.ヴィンテージマンションのメリット

ヴィンテージマンションのメリットは、とてもたくさんあります。それぞれのメリットについて見ていきましょう。

2-1.立地に恵まれている

建物は空き地にしか建てることはできません。立地条件に恵まれた土地にはすでに建物があることが多く、新しい建物ほど立地条件に恵まれた土地に出会いにくくなります。

ヴィンテージマンションは築年数が古いだけあって、立地に恵まれた土地を候補地にしやすかった時代に建てられたものです。ヴィンテージマンションに好立地物件が多いのは、こうした理由からです。

2-2.マンションそのものにブランド価値がある

先ほど紹介したヴィンテージマンションはいずれも、マンションの名前が広く知られています。街やエリアだけでなくマンションにブランド価値があることは資産性の維持だけでなく入居者募集においても有利に働くでしょう。

2-3.建物の価値が高い

十分にお金をかけて建てられたマンションが多いだけあって、建材に高価なものが使われていることが多く、建物自体にも高い価値があります。しかも年数が経つほど味わいが出るようなデザインになっているマンションも多いため、築古であることがむしろ有利になります。

2-4.良好な管理状態

資産価値の高いマンションだけに、その資産価値を維持するための管理が充実している物件が多いのも、ヴィンテージマンションのメリットです。

2-5.入居者のマナーが総じて良好

先ほども述べたように、ヴィンテージマンションは最初から高級マンションとして売り出された物件です。そのため入居者のマンションに対する愛着が強く、住民同士の良質なコミュニティが形成されていることも少なくありません。入居者のマナーが良好であることは投資家にとって、とても大きなメリットです。

2-6.設備が充実している

ヴィンテージマンションは高級マンションなので、古いマンションでありながらオートロックやゲート付き駐車場が設置されていることも多く、近代的な設備を先取りしています。

2-7.資産価値の維持、向上が期待できる

立地やブランド価値などさまざまな理由により、ヴィンテージマンションは資産価値が下がりにくい強みがあります。広く名前が知られているマンションは、むしろ価格が上昇していることもあるため、投資家としては値上がり益も期待できます。

3.ヴィンテージマンションのデメリット

メリットの次に、ヴィンテージマンションのデメリットについても解説します。メリットに対してデメリットが少ないこと自体が、ヴィンテージマンションの強みです。

3-1.築古なのに物件価格が高い

通常、中古マンションの価格は築年数と比例して下落していきます。こちらは公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が2022年4月に発表した、中古マンションの築年帯別平均価格の推移です。

築古なのに物件価格が高い

出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(東日本レインズ)

一時的な上昇はあるものの、築年数が経つごとに中古マンションの価格が下がっていることが見て取れます。購入側の視点で考えると、築古マンションは購入しやすいことがメリットなのですが、ヴィンテージマンションは築古であっても価格が下がらないので、「古くなったら買いやすくなる」といったことがあまりありません。

3-2.耐震性に注意が必要

日本の耐震基準は1981年(昭和56年)に改正されており、これよりも前の物件は旧基準の建物です。2023年時点で1981年に建てられたマンションは築42年なので、ヴィンテージマンションの多くはきわどい築年数です。

旧基準に該当する場合は、建物の耐震補強工事が行われているのかどうかをチェックする必要があります。

3-3.修繕費用が増大する可能性がある

古い建物はあちこちに傷みが出てくるため、それを維持するための修繕費用などが増大しやすくなります。ヴィンテージマンションも例外ではないので、購入後の出費が多くなりがちなことに対して、ヴィンテージマンションによくあることと割り切れるだけの資金力が必要です。

4.ヴィンテージマンションとリノベーションの関係

中古マンションをコンセプトから再生できるリノベーションは、資産価値や集客力の向上につながるとして、不動産投資家からも高い注目を集めています。ここでは、ヴィンテージマンションとリノベーションのとても深い関係について、2つの視点で解説します。

4-1.リノベーションによってさらにバリューアップできる

リノベーションはその空間全体を、コンセプトから変えてしまう全面改修です。ヴィンテージマンションのように古さが価値につながっているようなマンションをリノベーションすることによって、近代的な設備や使い勝手という価値を付加することができます。

リフォームは原状回復のための工事なので傷んだ部分を手直しするのが精一杯ですが、リノベーションでは工事前よりもさらなるバリューアップが可能です。もちろん資産価値は向上しますし、賃貸物件としての集客力も向上します。

4-2.一般的な中古マンションをヴィンテージマンション風にすることも

新築当時に高級マンションとして売り出されたことで今も高い価値を保っているのがヴィンテージマンションですが、一般的な中古マンションであってもリノベーションによって全面改修をすれば、「ヴィンテージマンション風」に仕上げることも可能です。

「風」と表現したのは、やはり建物全体の躯体などを変えることはできないからです。しかし、所有している物件の室内をヴィンテージマンションのようにするだけでも物件は見違えるようになり、高い集客力を発揮することでしょう。

5.投資家目線でもヴィンテージマンションは魅力がいっぱい

あまり知られていないヴィンテージマンションの世界を紹介し、投資家目線でのメリットやデメリットについて解説しました。

最後に一般的な中古マンションをヴィンテージマンション風に仕上げる方法についても紹介しましたが、これなら高嶺の花として手が届かないようなヴィンテージマンションに代わって、それに近いものを手に入れることができます。興味がある方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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3年以上勤めた会社員へ。
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