不動産投資

中古マンション投資が成功しやすい5つの理由と注意点を解説

マンション投資を検討するとき、新築にするか中古にするかは判断に迷うところですが、中古マンション投資を選びたいと考えている方には、以下のような思いがあるのではないでしょうか。

  • 中古マンションだと価格がお手頃なので始めやすそうだ
  • 中古マンションのほうが入居の実績があるので安心して買えそうだ

しかし、これらは事実なのか、また事実なのであればこれらのメリットを現実にするにはどうすればいいのかといった疑問も生じることでしょう。そこで本記事では、中古マンション投資のメリットや注意点を解説しつつ、上記の疑問にお答えしていきたいと思います。

1.中古マンション投資とは

中古マンション投資とは、中古物件として不動産市場で流通しているマンションを購入し、それを用いて賃貸経営をするビジネスモデルのことです。マンション投資には一棟と区分の分類があり、一棟はマンションを建物丸ごと所有する投資形態で区分は1戸単位でマンションを所有する投資形態です。

本記事で解説しているマンション投資は、中古の区分マンションのことを指しているとお考えください。

2.中古マンション投資のメリット

中古マンション投資には、特有のメリットがあります。これらのメリットは投資を成功させる上で大きな意味を持っているので、5つの項目で解説していきます。

2-1.マンションは中古ほど立地が良い物件が多い

マンションを建てられるほど規模が大きく、かつ容積率の高い土地というのは、戸建住宅の敷地と比較すると滅多に市場に出てきません。マンションが建築可能な土地は、とても希少性が高いのです。そのため駅前のような条件の良い場所にマンション用地が売りに出されると、すぐにマンションが建築されます。

マンションは、耐用年数の長い鉄筋コンクリートで建てられるため、建築基準上は90年近く建ち続けます。一度駅前の好立地にマンションが建ってしまうと、その後そのエリアに建つ新築マンションは、少しずつ駅から離れた場所に建つことになります。中古マンションほど好立地に建っているというのは、こうした理由があるからです。

2-2.需要の高い物件を割安で購入できる

新築マンションと比べると、中古のマンションは割安な価格で購入可能です。特にマンションの場合は「新築プレミアム」と呼ばれる価格の上乗せ分を知っておく必要があるでしょう。というのも、新築と中古ではマンション価格の決まり方が異なるからです。

新築マンションの価格は、マンションを建設して販売するための費用にディベロッパーの利益が上乗せされて決まるため、それが市場価格と一致するとは限りません。多くの場合、市場価格よりも高くなります。この価格上乗せ分が、新築プレミアムです。

これに対して中古マンションは市場価格で取引されるため、価格を決めるのは需給です。新築マンションを購入した直後に中古物件として売りに出すと数百万円の価格差が生じるといわれていますが、中古マンションではこうしたことは起きないため、その分割安になるわけです。

2-3.新築より家賃下落リスクが低い

一般的に、マンションの家賃は築年数が進むごとに下落していきます。新築マンションよりも築30年のマンションのほうが家賃が安いというのは、多くの方がイメージしやすいのではないかと思います。

以下は、三井住友トラスト基礎研究所が発表した、東京23区のマンション家賃相場と築年数の関係を表したグラフです。

三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」

出典:三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」

新築時を100とすると、築3年頃から家賃相場は下落していきます。注目したいのは、その角度です。新築マンションを購入すると10年後には89になり、約10%の家賃下落が起きます。

しかし、築11年から20年までは5ポイントしか下落していません。このグラフをマンション投資の戦略に当てはめるのであれば築11年からが買い時となり、買い時を間違えなければ中古マンションのほうが家賃下落リスクが低いことが分かります。

2-4.すでに入居者がいる場合も

中古マンション特有の概念に、オーナーチェンジ物件があります。すでに入居者がいる物件を購入するとオーナーだけが入れ替わるため、オーナーチェンジというわけです。

オーナーチェンジ物件は少なくとも最初の入居者を探す必要がなく、その入居者が継続的に住み続けてくれれば安定的な賃貸経営につながります。新築マンションに入居者がいることはあり得ないので、このメリットは中古マンション特有のものです。

融資を利用してマンションを購入した場合、空室になると手持ち資金でローン返済をしなければなりません。空室期間が長引くと負担が大きくなるため、最初から入居者がいるオーナーチェンジ物件は購入直後の空室期間を作らない意味でも大きな価値があります。

2-5.リノベーションで価値を高められる

立地に恵まれた物件が多く、しかも割安で購入できるなどメリットの多い中古マンションですが、唯一に近いデメリットがあります。それは、「古い」という事実です。

築年数はマンションの年齢なので虚偽の表示をすることはできませんが、リノベーションによって新築のように再生したり、新築時とは異なるコンセプトで付加価値を持たせたりすることができます。「古い」ことが唯一のネックになっている中古マンションであれば、リノベーションによってそれを解決できるわけです。

しかも近年ではリノベーションの技術が飛躍的に向上しており、以前であればできなかったようなことが可能になっています。割安で購入した中古マンションをリノベーションによって再生し、他の物件と差別化することで集客力の高いマンションが出来上がります。

3.中古マンション投資を行う際の注意点

とてもメリットの多い中古マンション投資ですが、もちろん注意点もあります。ここでは5つの項目で中古マンション投資の注意点を解説します。

3-1.借地権付き物件は避ける

売りに出されている中古マンションのなかには、「借地権付き」「旧法地上権」などの表示があるものがあります。この表示がある場合、借地権付き物件といって借地の上に建っているマンションなので、土地の所有者に借地料を支払う必要があります。

1戸あたりの借地料負担はそれほど大きくないことが大半ですが、土地の処遇は所有者の考え方次第になってしまう部分があるため、所有者の都合でマンション投資を継続できなくなる可能性があります。

3-2.都心にある物件に絞って選ぶ

マンション投資は長期目線で取り組むべきものなので、将来にわたる事業の安定性を考慮する必要があります。購入したものの需要が少なくなり、資産価値も下がってしまうようでは失敗につながりかねません。

そこで重視したいのが、都心もしくは都心からの交通アクセスが良好である立地条件です。マンションに入居する人は利便性や交通アクセスを重視する傾向があるため、将来にわたって立地的な価値が失われないマンションを選ぶことで安定的な需要を確保できます。

3-3.新耐震基準を満たした物件を選ぶ

地震大国である日本におけるマンション投資では、地震によるリスクに強い物件を選ぶことも重要です。中古マンションの築年数によっては耐震基準が旧基準のものもあり、その場合は大きな地震が発生した時に破損や倒壊のリスクが高まります。

それだけでなく、旧耐震基準のマンションは入居者からも敬遠される傾向があるため、1981年(昭和56年)に導入された新耐震基準を満たしているマンションを選ぶべきでしょう。

2022年現在、旧耐震基準に該当するのは築41年以上のマンションです。中古マンションといってもかなり古い部類に入るので購入する可能性は低いかもしれませんが、特に安い物件が売りに出されている場合は築年数と耐震基準について確認することが大切です。

3-4.物件価格が安すぎる場合は理由を確認

不動産業界に掘り出し物はないといわれています。仮に、相場よりも安く購入価値のある物件が売りに出されたとしてもプロである不動産業者がすぐに買ってしまう可能性が高く、誰でも見ることができるところで売りに出されている「安すぎる物件」には何か理由があると考えるべきです。

相場よりも明らかに安いと感じる中古マンション物件を見つけた場合は、安易に衝動買いをするのではなく、売主にその理由を確認するようにしましょう。その理由が許容できる場合や自分で解決できる問題なのであれば、購入するという選択もありでしょう。

3-5.迷った際はプロに相談する

これからマンション投資を始めたいと考えている初心者が特に留意しておきたいのは、「迷った際にはプロに相談する」という鉄則です。不動産業界は海千山千で、プロの目利きがなければ無価値な物件をつかまされてしまう可能性も否定できません。

前項で述べたような相場よりも格安な物件を見つけた時など、何か気になること、迷うようなことがあったら安易に行動せずにプロに相談するようにしましょう。不動産投資は物件を購入してからがスタートなので、購入後にも何でも聞けるパートナーを持つことも極めて重要です。

4.理想的な不動産投資を実現しよう

本記事では中古マンション投資のメリットや魅力、成功するための道筋について解説してきました。「これなら自分にもできそうだ」とお感じの方もおられると思いますが、本文中で述べているように中古マンションであれば何でもよいわけではありません。

今後数十年間もしくはそれ以上の期間にわたって安定的な収入をもたらしてくれる物件であるかどうか、プロの意見も交えながらしっかりと精査することが大切です。

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