不動産投資

あなたのマンションは民泊OKですか? 重要事項説明が必要です!

住宅宿泊事業法が改正され、既存の住宅やマンションを活用し宿泊サービスを提供する「民泊」が今年6月に解禁されます。増え続ける訪日外国人の宿泊需要に対応する、新たなビジネスチャンスと捉える向きもありますが、一方で、犯罪の温床にならないかとの懸念も根強く、民泊を禁止する動きもあります。

ただ、民泊を営むための投資用物件として購入する際は、不動産会社(宅建業者)から、民泊が可能かどうか「重要事項説明」が行なわれるため安心です。また、売却する際には、重要事項として買主にきちんと説明する必要がありますので注意しましょう。

今年6月から解禁される民泊とは

ホテルや旅館ではなく、民間の既存住宅を活用して、宿泊サービスを営む民泊は世界で急速に広がっています。日本政府観光局によると、2016年の訪日外国人は約2,400万人でした。2015年が約1,973万人、2014年が1,341万人、2013年が1,036万人ですから、毎年、数百万人単位で訪日外国人が増加していることがわかります。その一方で、ホテルや旅館といった宿泊施設はそれに追いついていません。特に大都市や観光地での宿泊需給が逼迫しており、民泊の普及には必然性があるといえそうです。

ただ、不特定多数の旅行者が一般のマンションに出入りすることは、防犯上や騒音トラブルなどで、同じマンションに住む他住民に不利益を与えることになりかねません。また、これまで宿泊事業を規定してきた旅館業法との整合性も取られていませんでした。

そこで国は、国家戦略特区である東京都大田区や大阪市などで先行実施させたうえで、住宅宿泊事業法を成立させ、2018年6月15日から施行することにしました。民泊事業者は自治体に申請し、認定を受ければマンションで民泊サービスが可能になります。

マンション管理規約で規定される

マンションの専有部分は区分所有者が自由に使用する権利があると区分所有法で定められています。住宅宿泊事業法は住宅での宿泊事業を認めるものですから、専有部分で宿泊サービスを行っても違法にはなりません。

その一方で、区分所有法では、専有部分の用途や用法は、管理規約で制限できることにもなっています。例えば、事業用に部屋を利用することや、ペットの飼育、ピアノなど楽器演奏などを禁止したり、制限したりすることができます。同様の理屈から、民泊禁止を規約に盛り込むことも可能です。

売却時、可否が重要事項説明で必要

ただ、この民泊禁止が管理規約に盛り込まれている場合、マンションの売買仲介を行う仲介業者は、宅建業法上の義務から、これを買主に重要事項として説明する必要があります。

民泊サービスは今、ビジネスチャンスとして大きな注目を集めています。今後、投資用物件の購入を決める際、そのマンションが民泊を認めるのか認めないのかは、大きな決め手になると予想されます。民泊事業を目的に物件を購入する方もいれば、賃貸目的で物件を買う人のなかには防犯上の理由やトラブルを懸念して民泊を嫌がる方もいます。

民泊が解禁になっていない現時点でも、届け出をしていない「ヤミ民泊」が横行しています。報道によると、特区の大阪市でも、ヤミ民泊に関する通報が4,000件を超えているそうです。こうしたヤミ民泊は、海外の仲介サイトなどから予約が可能で、当局も実態把握が追いついていないようです。

パスポートの提示や宿泊者の身元チェックがされない状況での民泊は、テロや犯罪目的で使用される懸念も強く指摘されています。今年6月の解禁後も、ヤミ民泊を根絶することは不可能に近く、マンションの購入者はペットやピアノの可否以上に気を遣うことになる可能性があります。

所有物件を売却する際には、管理規約の規定を仲介業者にきちんと説明し、買主に重要事項として、民泊の可否を説明してもらうようにしましょう。また、購入するときも、事前の確認に加え、重要事項説明で説明されるはずなのでしっかりと把握しておきましょう。

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