市況

訪日外国人の増加が、東京の不動産市況を活性化させる?!

日本政府観光局は、2017年の訪日外国人客数が2,869万900人だったことを発表しました。統計が開始された1964年以来、最多の人数となり、対前年比で約465万人の増加となりました。また、5年前2012年が約836万8,000人だったことと比較すると、わずか5年で年間2,000万人近く増加したわけで、その急増ぶりがわかるでしょう。

現在、インバウンド(訪日外国人)を対象とした観光業や小売業などが、活性化しています。実は不動産業も大きな影響を受けています。残念なことですが、すでに日本の人口は長期減少トレンドに入っています。この人口減少が不動産価格にマイナスの影響を与えると予測される一方で、増加する訪日外国人が、その下落トレンドに歯止めをかけ、都内など特定の地域で、不動産価格の上昇トレンドを生み出すかもしれないと、大きな期待が寄せられています。その詳細をみていきましょう。

訪日外国人は増えている

近年の急激な訪日外国人増加の背景には何があるのでしょうか。要因のひとつは、2012年末以降、為替レートが円安に振れたことがあげられます。2011年から2012年のドル/円相場は、約75円〜85円で推移していました。ところが、2012年の終わり頃から急速に円安が進み、ここ数年間は1ドル約100円〜120円の間を推移しています。

自国の通貨に対して円が弱くなると、外国企業や外国人は、日本から輸入をしたり、日本へ観光に訪れたりするのに必要なコストが下がります。こうした円安傾向が近年の訪日外国人増加を後押ししました。

また、中国などアジア諸国の経済発展も重要な要因です。2017年の訪日外国人約2,869万人のうち、最も多いのは、約736万人の中国人です。2012年に約8兆5,704億ドルだった中国のGDP(名目)は、2017年に約11兆9,376億ドル(IMFによる2017年10月時点の推計値)となりました。こうした経済成長が国民の生活を豊かにし、海外旅行を楽しんだり、海外に留学したりする人たちを増やしています。

日本政府も観光事業を、今後の成長産業のひとつに位置付けています。2015年には通常90日間までが滞在期限の観光ビザを、夫婦合算の預金合計が3,000万円(日本円換算)以上で、国籍がビザ免除国であるなど、特定の要件を満たした場合、最長で1年、滞在期限が延長できるようにしました。

また、留学生の受け入れも積極的に推進しており、文部科学省では、2008年に当時14万人だった留学生数を、2020年までに30万人に増やす計画を推進しています。

東京の不動産を外国人が救う?

訪日外国人の増加は、日本の不動産価格に対して、大きくプラスに働くと考えられています。日本は人口減少局面に突入しました。現在、約1億2,660万人の人口も、2040年には約1億726万人に減少する見通しです。これは不動産業に大きな影響を与えます。例えば、賃貸市場は30%ほど減少すると予測されています。

こうした傾向に歯止めをかけるのが、訪日外国人の増加です。訪日外国人の増加は、国際的知名度の高い東京などの都市や京都・奈良と言った観光地、ウィンタースポーツが楽しめるリゾート地として知られる北海道のニセコなどで、ホテルのような宿泊施設や、移動のための交通機関の需要を増加させています。そうしたことが、新たな都市開発につながり、不動産価格を押し上げることになります。

また、中国人観光客を始めとする訪日外国人の「爆買い」が、テレビや新聞で、しばしば取り上げられます。このような訪日外国人による商品やサービスの大量消費が、商業地の活性化につながり、同時に不動産価格の上昇に寄与しています。

日本に関心を持つ外国人が増加し、日本に対する知識を持つ外国人が増えることで、日本の不動産が投資対象として選考されやすくなり、東京は特にその傾向が顕著です。近年、湾岸部などの不動産価格が上昇していますが、外国人投資家の購入が大きな要因だったといわれています。

人口が減少し、市場が縮小するとしても、まだまだ魅力的な不動産はたくさんあるということです。このような状況を考慮した上で、投資対象を検討してみてはいかがでしょうか。

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