不動産投資

「貯蓄から投資」時代にぜひ検討したい「区分所有」不動産投資の魅力

不動産投資には、さまざまな種類があります。実際に始めるには、マンションなのかアパートなのか、さらに一棟丸ごと所有するのかマンションを1戸単位で区分所有にするのか、といった選択肢があります。

一棟物件と区分所有のそれぞれに運用手法が確立されており、メリットもデメリットも存在します。今回は区分所有の不動産投資が投資として有利になるケースをみていきましょう。

インフレや円安の進行から、預貯金を持っているだけだと資産が目減りしてしまうリスクが現実味を帯びてきました。岸田政権も「新しい資本主義」の一環として「貯蓄から投資へ」という投資シフトを掲げており、今後は資産形成だけでなく資産防衛の観点からも不動産投資の有用性が高まっています。

このことも踏まえつつ、サラリーマンや初心者に最適とされる区分所有の不動産投資について解説します。

1.一棟物件と区分所有、どちらが有利?

同じ不動産投資でありながら、一棟物件所有と区分所有とでは根本的に考え方や性質が異なります。それぞれに一長一短があるので、まずはそれぞれのメリットとデメリットについて解説しましょう。

1-1.一棟物件に投資するメリット・デメリット

アパートやマンションなど建物を一棟丸ごと購入して運営していく一棟物件の優位性には、土地ごと購入するため、資産としての担保価値が高く維持されるという点が挙げられます。担保価値が高いということは、売却時のリスクが低いだけではなく、金融機関からの評価も高まり、融資を受けやすくなります。

区分所有の場合は建物のなかの1戸を購入するだけであり、物件価格には土地の評価はわずかしか含まれていません。しかし、一棟物件であれば、敷地である土地もすべて自分の資産になり、土地の所有権も担保として評価されます。立地条件によっては地価が上昇することもあるため、所有している一棟物件が建っている土地の価値が高くなると外的要因によって資産価値が高くなります。

ただし、投資規模が大きくなることから、購入価格が高いというデメリットがあります。23区内の駅に近い物件であれば1億円未満で購入できる一棟マンションの数は少ないでしょう。また、好立地の一棟マンションの場合、都市部などではさらに莫大な資金が必要となることが予測されます。個人としては手が出しにくいのが実情です。

2020年頃から首都圏ではマンションの価格高騰が起きています。もとより決して安くないエリアだけに、価格高騰によってさらに一棟物件を購入できる人は限られてくるでしょう。

よほど資金的に余裕があれば、東京都内などの都心部の好立地に一棟物件を所有することも可能かもしれません。しかし、資金的な面から考えた場合、個人による23区内の駅近での不動産投資では、新築物件でも中古物件でも区分所有物件を中心に考えるのが現実的といえるでしょう。

1-2.区分所有物件に投資するメリット・デメリット

区分所有物件の最大の特徴は、建物全体ではなく1戸単位で所有するため一棟マンションよりも少ない資金から不動産投資を始められることです。ただし、購入価格の大半が物件の評価額になりますので、築年数による資産価値の低下は避けられません。

しかしそれゆえに物件価格の総額が少ないことに加え、ローンを組んだときの建物部分の比率が高いことから、減価償却費を大きく経費計上できるメリットがあります。

また、建物ごと購入する一棟マンション投資ではどうしても対象となる物件の選択肢が少なくなります。新たにマンションを建てられる用地には限りがありますし、一棟丸ごと売りに出されることはそう多くはありません。マンション供給数の緩やかな減少傾向が続いている(特に東京)ことは、以下のグラフを見ても明らかです。

出典:三井住友トラスト不動産「マンション市場の供給・価格動向と2022年の見通し」

しかし区分マンションは多様なマンションの中から1戸を購入するため、投資先の選択肢は、一棟マンションとは比較にならないほど幅広くなるでしょう。

「立地が駅から徒歩5分以内である」「部屋のフロアが10階以上である」「価格が1,500万以下である」「設備が充実している」など、さまざまな条件の物件が不動産市場に出回っています。

そのなかから自分の目指す運営方針や予算に合わせて物件を自由に選ぶことが可能です。一棟マンションよりも購入価格が低いことから、融資を受ける金額も減らすことができます。

2.初心者やサラリーマンに向いているのは区分所有

一棟マンションは購入金額が高いだけに一般的なサラリーマンの個人投資家にとってはハードルの高い投資となるでしょう。また、運営上の手間もかかります。

良く言えば裁量の自由度が高いため、利益を拡大する余地があります。悪くいえば運営が面倒で時間をかける必要があると言えるでしょう。そのため、一棟マンション投資は専業投資家、つまり不動産投資を本業としている人や企業の「専売特許」といえるかもしれません。

これに対して区分マンションは低予算から投資を始められ、選択肢が広いことから駅近くなど立地が良く高い賃貸需要が見込める物件への投資がしやすくなります。ただし、その分収益性はある程度限られており、運営に個人の裁量を挟む余地は少なくなっています。

本格的に投資で生計を立てていきたい人ならば、将来的に一棟マンションの投資を目指してみるのもよいでしょう。しかし、サラリーマンが「生活に余裕を生むために副業をしたい」「将来の年金代わりに投資を若いころから始めたい」というのであれば、まずは区分所有から始めるのがリスクも手間も少なく始めやすいといえるのではないでしょうか。

3.「中古区分所有・東京23区内」が最も有利な理由

区分所有の不動産投資は、「中古・東京23区内」の物件が最も有利です。特に不動産投資初心者の方にとってはリスクが低いので取り組みやすいでしょう。なぜそういえるのか、その理由は4つあります。

3-1.日本最大の人口密集地で賃貸重要が旺盛

言うまでもなく、東京は日本最大の都市であり東京23区はその東京のなかでも中心といえる地域です。人口が多いということは住宅の需要が高く、依然として多くの人が地方から東京に移り住んできており、これらの人も賃貸オーナーにとって重要なマーケットです。

ビジネスは多くの顧客が見込める場所で行うのが鉄則ですが、東京23区はその鉄則どおりの候補地といえます。

3-2.今後も人口の流入が期待できる

日本全体で見るとすでに人口が減少を始めていますが、東京は依然として人口の流入が続いており、人口は増加傾向にあります。こちらは東京都が発表した東京都の人口推移予測です。

出典:東京都「2060 年までの東京の⼈⼝推計」

東京都による推計では、2025年にはピークをつけてその後は減少に転じると見込まれていますが、それでも人口が高い水準で推移することに変わりはありません。当面は東京への人口流入が続き、旺盛な賃貸住宅需要も続くと考えられます。

3-3.物件数が多く選択の幅が広い

区分所有のほうが1戸単位なので物件の選択肢が広くなると述べましたが、そのメリットはマンションの戸数が多い東京だと最大化されます。

東京カンテイが発表した「全国の分譲マンションストック戸数」のランキングによると、やはり東京都が1位で2019年時点のストック数は約186万戸です。2位の神奈川県が約95万戸なので、2位に2倍の差をつけての1位です。

これだけ多くの物件があれば選択肢がとても広く、「東京23区内の中古区分マンション」を探しやすいでしょう。

3-4.流動性が高いので売却もしやすい

東京は不動産の需要が高いため、マンション物件も活発に取引されています。タウンページデータベースによると人口10万人あたりの不動産業者数の1位は東京都です。1位の東京都と2位の大阪府だけが100件を超えており、ここでも東京の不動産市場がいかに大きなものであるかがわかります。

市場規模が大きいと所有している区分マンションを売却したいときにも買い手を見つけやすく、流動性が高いことは不動産投資をするうえで大きなメリットです。

4.中古区分投資を始めるときのポイント

中古区分投資のメリットは、物件の選択肢が広いことや新築と比べると安い価格で購入できることです。その一方で築年数なりの劣化や設備の古さなどがデメリットになるため、それをいかに克服して付加価値を高めることができるかが成功のポイントとなります。

その点を踏まえて、物件選びと不動産会社選びという2つの視点で重要なポイントを解説します。

4-1.中古物件選び

中古物件選びで重要なのは、何といっても立地条件です。決して新しくないのに高い入居率を維持しているマンションはよくありますが、こうしたマンションのほとんどは最寄り駅から近い、周辺環境に恵まれているなど立地条件が優位性になっていることがほとんどです。

建物や設備が古いことはリノベーションや設備のリニューアルによって解決できますが、立地条件は動かしようがありません。そのため中古区分投資では、立地条件が良く、リノベーションをすれば再生できることをイメージできる物件を選ぶのがポイントです。

4-2.不動産会社選び

不動産投資の成否は不動産会社選びで決まるといって過言ではありません。不動産投資の初心者にとって物件選びや収支のシミュレーション、物件管理などはどれも未知の世界です。

そこで重要な役割を果たすのがパートナーとなる不動産会社です。中古区分マンションの場合、将来にわたって立地条件に恵まれている物件を提案し、それを今の入居者から支持される物件にリノベーションできる不動産会社であることが理想です。

中古区分投資では、「物件選び」と「物件の再生」という2つの視点が求められます。この2つに精通している不動産会社であることが成功に向けて必須の条件といえるでしょう。

5.初心者に優しい「区分」「中古」「東京23区」の不動産投資

一棟所有と区分所有の比較を通じて、区分所有投資の魅力について解説してきました。「区分」に加えて「中古」「東京23区」の不動産投資は初心者にとってもリスクが低く、将来に向けた資産形成にも有効な手段です。まずは中古区分投資に強い不動産会社に相談してみて、その世界を覗いてみてはいかがでしょうか。

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